2012.11.27 カテゴリー|糖質制限
11月27日の湿潤療法の第一人者である夏井先生のHPに「糖質制限と掌蹠膿疱症」についての記事が載りました。
新しい創傷治療 更新履歴
http://www.wound-treatment.jp/title_new.htm
「糖質制限と掌蹠膿疱症」についてのメールです。糖質制限をしただけで,掌蹠膿疱症の症状が消えたそうです。
この方の足の皮疹が、本当に掌蹠膿疱症によるものだったのかどうかは、診察していないのでわかりませんが、糖質制限で良くなったのなら、それはそれでとてもよかったと思います。
当院では掌蹠膿疱症に対して、ビオチン療法を行っています。
ビオチンとはビタミンの一種です。本来は腸内細菌によって生成されるものなので、薬やサプリメントとして摂取する必要がありません。しかし、喫煙や抗生剤の長期投与、便秘などが原因で腸内細菌が乱れると、ビオチンが生成されなくなり、ビオチンが不足して掌蹠膿疱症になると考えられています。
糖質制限をすれば、縄文人と同じ、人間本来の腸内細菌叢を形成することになると思います。その結果、ビオチンが生成されるようになり、掌蹠膿疱症が治ったのかもしれません。
今後は、掌蹠膿疱症の患者さんにも糖質制限を勧めてみます。良くも悪くも結果が出たら報告いたします。
2012.11.22 カテゴリー|医療に関する迷信
五十肩とは五十歳代を中心とした人におこり、いつとはなしに肩の痛みが生じて関節の動きが悪くなる病気です。
五十肩 http://www.joa.or.jp/jp/public/sick/condition/frozen_shoulder.html
五十肩は痛みが出てすぐの急性期に治療を開始すれば、割と簡単に治療できるので、痛くなったらすぐに受診して欲しいのですが、近所の人に「五十肩はほっとけば自然と治る。」と言われて、慢性化して痛みがひどくなり、関節が動かせなくなってから受診する患者さんがたくさんいます。
慢性化してしまうと、肩周りの筋肉のすべりを良くするヒアルロン酸の注射や、肩の筋肉の緊張をほぐすトリガーポイント注射を打ちながら、体操をしてもらって時間をかけて治すしかなくなくなります。さらに、これらの治療をしても肩の動きが改善しない時は、肩の関節の袋を切開する手術が必要になることもあります。
たしかに五十肩の患者さんの中には、特に治療を受けなくても自然と治る人がいます。しかし、治療せずにほっておいたせいで手術が必要になるほどひどくなってしまう人がいることも事実です。また、「腱板断裂」や「石灰沈着性腱板炎」、「変形性肩関節症」などの五十肩と症状が似ている別の病気の可能性もあります。肩に痛みが出たら五十肩だといってほっておかないで、なるべく早く整形外科を受診して治療を受けることをお勧めします。
「五十肩はほっとけば治る」はというのは迷信です。
2012.11.22 カテゴリー|トリガーポイント注射
トリガーポイント注射の第一人者
加茂整形外科の加茂淳先生の11月21日のブログで、
僕のコメントが紹介されました。
心療整形外科 http://junk2004.exblog.jp/19536177/
2012.11.21 カテゴリー|医療に関する迷信
当院では、痛みに対してトリガーポイント注射や関節内注射など、注射による治療を積極的に行っています。なぜなら、注射のほうが、飲み薬や、電気・温熱治療などより、はるかに早く痛みが楽になるからです。
しかし、患者さんの中には「痛み止めの注射をすると骨がとける」と言って、注射を拒否する人がいます。しかし、この「注射をすると骨がとける」という話は、完全に迷信です。
数十年前まで、痛み止めの注射にステロイドという薬を使用してました。このステロイドは痛みを抑える効果は非常に強いのですが、骨を弱くしてしまう副作用があります。数十年前までは副作用についてよくわかっていなかったので、毎週のようにステロイドの注射を痛み止めとして打たれていた患者さんもたくさんいました。そのうちの何%かの患者さんが、ステロイドの副作用で膝などの骨がとけて、手術が必要になったり、歩けなくなったりしたことは事実です。
しかし、医学は日々進歩しています。同じ過ちを繰り返すことはありません。
当院で行っている痛み止めの注射はおもに2種類あります。
一つは腰痛や肩こりなど筋肉の痛みに行うトリガーポイント注射です。トリガーポイント注射にはネオビタカインという局所麻酔薬を使用しています。この薬に骨を溶かすような副作用はありません。
もう一つは、膝や肩の痛みに対して行う、関節内注射です。関節内注射にはヒアルロン酸ナトリウムという、膝の中で潤滑油のような働きをする物質を使用しています。この薬にも骨を溶かすような副作用はありません。
当院でも、ステロイドの注射を使用することはあります。痛風や偽痛風などのひどい関節炎を起こしているときや、腱鞘炎の時などです。しかし、その場合も、量を最低限にして、また注射の期間を1か月以上あけるようにして、副作用が出ないように細心の注意を払って注射してます。
「痛み止めの注射をすると骨がとける」というのは迷信です。
2012.11.20 カテゴリー|トリガーポイント注射
リリカwebシンポジウムを聞きに行きました。
「脊椎変性疾患における術後遺残痛」
「術後遺残痛に対する取り組み」の2題でした。
筋性疼痛(筋筋膜性疼痛症候群)という考えがすっぽり抜けている
今回のシンポジウムで出されたデータです。
手術後、手術部に痛みが残った人の割合
頸椎 52.6%
腰椎 37.8%
TKA・THA 43.8%
その他 21.3%
痛みが残る可能性はこんなに高いのです。それでも手術をうけますか?
こんなデータもありました。
腰痛や坐骨神経痛が全くない人でも、MRIを撮ると、
20~59歳で20% 60歳以上で40%に椎間板ヘルニアが見つかる。
そして、60歳以上の20%に脊柱管狭窄症が見つる。
ヘルニアや狭窄症があっても症状がない人はたくさんいるのです。
あと、2回も手術をしてもよくならなかった患者さんに、リリカを飲ませたら良くなったという症例を紹介していました。
「だったら、最初からリリカを飲ましていたら、無駄な手術を2回もしなくて済んだんじゃね」と心の中でつっこみました。