2013.3.25 カテゴリー|湿潤療法
当院では、熱傷に対する湿潤療法を行っています。
これまで、当院で湿潤療法による熱傷の治療を受けた患者さんは104例、そのうち創部感染を起こした患者さんは8例でした。
創部感染を起こした患者さんは、8例とも、下腿か足のⅢ度(皮下組織まで達する)熱傷でした。そのうち低温やけどは7例でした。
男性4例女性4例 年齢33~68歳(平均47.5歳)でした。
8例とも、セファム系抗生剤の内服で1週間以内に感染がおさまりました。
上のグラフは、湿潤療法を感染を起こすまでの期間と患者数を表しています。
ほとんどの患者さんが1週間以内に感染を起こしています。特に4日後に感染を起こした患者さんが4例と過半数を占めています。
湿潤療法を行うと、徐々に熱傷で壊死した組織が溶けてきます。壊死組織が皮下まで溶けて、皮膚と皮下組織がつながると、そこから細菌が入り込み感染を起こすのだろうと思います。それが、湿潤療法を開始してから4日後くらいに起こるのでしょう。
下腿や足の深い熱傷には、湿潤療法開始から1週間くらいは抗生剤を予防的に投与しておいたほうがいいのかもしれません。
2013.3.20 カテゴリー|湿潤療法
夏井先生からの、ご指摘で、一部マイナーチェンジいたしました。
ラップでヤケドを覆う際、ワセリンを塗ることは必須ではありませんが、ワセリンを塗ることで痛みが劇的に引きます。
2013.3.19 カテゴリー|湿潤療法
湿潤療法においては、ヤケドも擦り傷も基本的には治療は一緒です。
創の状態(大きさ、深さ、浸出液の量、感染の有無)などを診ながら、適切な被覆材を選ぶのが腕の見せ所ですが、ヤケドか擦り傷かでは、治療法は変わりません。なぜなら、ヤケドも擦り傷も、受傷機転が違うだけで、同じ皮膚が欠損している創だからです。
しかし、従来の治療法では、ヤケドと擦り傷の治療は全く違います。消毒とガーゼや軟膏での治療は同じですが、ヤケドの場合、2週間で治らなければ、皮膚移植さを勧められます。しかし、擦り傷は2週間で治らなくても、皮膚移植を勧められることはまずありません。
同じ皮膚が欠損している創なのに、なぜ治療が違うのでしょう。それは、ヤケドの治療の教科書に、「2週間たっても治らないヤケドは皮膚移植をしないと治らない。」書かれているけど、擦り傷の治療の教科書には、そんなこと書かれてないからです。
というか、擦り傷の治療の教科書なんて見たことありません。(湿潤療法の夏井先生の著書は別として、)
世の中の多くの人は、「ヤケドは専門家じゃなきゃ治せないけど、擦り傷は素人でも治せる。」と思っているようです。だから、こども救急相談室に、軽いヤケドでも心配で電話してくる親はたくさんいるけど、擦り傷で電話してくる親あまりいないのでしょう。
関連ブログhttps://nishibori-seikei.com/blog/2013/03/post-205.html
ヤケドも擦り傷も、同じ皮膚が欠損している創です。湿潤療法では治療法も同じです。
子供がヤケドしても、そんなに慌てなくても大丈夫です。ゆっくり落ち着いて、前回のブログのフローチャートを参考に応急処置してください。
2013.3.19 カテゴリー|湿潤療法
前回のブログで、軽いやけどの応急処置について書きましたが、そのあと、湿潤療法の第一人者である練馬光が丘病院の夏井睦先生に相談して、少し改訂いたしました。
「患者のにぎりこぶしより大きい水疱がある」場合は、すぐに救急病院を受診しましょう。
「発赤だけ」の場合、ワセリンがあれば、ワセリンを塗ってからラップで覆うのがベストですが、無ければそのままラップで覆うだけで痛みは改善します。
軽いやけどの応急処置(最新版)はこちら↓
2013.3.19 カテゴリー|湿潤療法
茨城こども救急相談室のアドバイザーをしている看護師さんから相談がありました。
茨城こども救急相談室
http://www.pref.ibaraki.jp/life/hoken/jifuku/jifuku_043.html
「夜間に子供が軽いやけどをして、電話で相談してくる方がたくさんいるが、応急処置をどのように指導したらよいかわからない。ネットで調べても重症の症例の紹介ばかりで、軽傷の症例の応急処置について書かれていない。」
そんなわけで、軽いやけどの時に自宅でできる応急処置のフローチャートを作ってみました。参考になるでしょうか?
軽いやけどの応急処置(最新版)はこちら↓