2013.3.10 カテゴリー|その他の治療について
ファイザー製薬が女優の小西真奈美さんを女医役に起用して「すぐ禁煙」というテレビCMを流しています。
「すぐ禁煙」で検索すると以下のサイトにつながります。
http://sugu-kinen.jp/?utm_source=overture&utm_medium=cpc&utm_campaign=10
テレビCMの影響は今でも大きいので、禁煙治療を受けにくる患者さんがきっと増えると思いますが、ファイザー製薬で販売している禁煙補助薬のチャンピックスは車の運転をしている人には処方できないので、注意してください。
チャンピックスを飲むと1万人に1人くらいの割合で、原因不明の意識消失発作を起こすことがわかっています。この意識消失発作が原因で、はっきりわかっているだけで9件の交通事故が起きています。幸い、今のところ死傷者は出ていません。しかし、万が一、運転中に意識消失を起こし、小学生の登校班などに突っ込んでしまったら、取り返しのつかない悲惨な事故になってしまいます。
なので、車の運転をしている人には、チャンピックスは処方できません。当院のある岩間は、路線バスも地下鉄もなく、ほとんどの人が日常的に車を運転しているので、当院に禁煙治療を受けにくる患者さんでチャンピックスを処方できる患者さんはほとんどいません。
チャンピックスが処方できない場合は、ニコチネルTTSというパッチ剤を処方します。これは市販されているニコチンパッチとほぼ同じものです。
チャンピックスもニコチネルTTSでも、禁煙成功率は約6割です。
成功するのは本気で禁煙したいと思っている患者さんだけです。
「禁煙治療を受ければ、簡単にやめられんじゃね」なんて、軽く考えている人は禁煙治療を受けに来ないでください。時間とお金の無駄です。
2013.3.06 カテゴリー|ビオチン療法
30代女性 美容師
19歳のころから両手に皮膚炎があり、皮膚科で美容液による接触性皮膚炎と診断されました。美容師をしばらく止めていた間は皮膚炎は落ち着いていました。
昨年4月に美容師の仕事を再開したら、また両手の皮膚炎が再発しました。
皮膚科で接触性皮膚炎と診断され、デルモベート(最強の外用ステロイド剤)とセレスタミン(ステロイドと抗アレルギー剤の合剤)を処方されましたが、症状は改善しませんでした。
2か月ほど前に、当院を受診しました。経過や、皮膚所見からはやはり美容液による接触性皮膚炎が一番疑われました。
しかし、タバコを吸っていること、足の裏にも皮膚炎が出来たことがあることなどから、掌蹠膿疱症の可能性もあると考え、ビオチン療法を開始しました。もちろん禁煙もしてもらいました。
1か月後受診した際には、皮膚炎がきれいに治っていました。
接触性皮膚炎にビオチンが効いたのか?
接触性皮膚炎ではなく掌蹠膿疱症だったからビオチンが効いたのか?
どちらかは、わかりませんが、ビオチン療法には副作用がないので、接触性皮膚炎にも、ためしにビオチン療法をやってみる価値はあると思います
2013.3.05 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
48歳男性
家の片づけをしていて、左親指がひっかかり強制的に伸ばされた(強制過伸展)後から、左親指の付け根の関節(MP関節)に痛みが出現しました。
1週間後に当院を受診しました。痛みがある左親指のMP関節に腫脹と圧痛を認めました。親指のMP関節の屈曲は、右80度 左40度で、左親指に可動域制限を認めました。
レントゲンでは、上図の矢印の部分のMP関節が右側(小指側)に曲がっていました。
これは、母指MP関節ロッキングといって、MP関節にある掌側板という軟骨が、関節の間に挟まってしまっている状態です。
治療として、テレビレントゲンを見ながら、MP関節に局所麻酔薬(1%キシロカイン5ml)を注入し、関節を広げました。この患者さんの場合は、これだけでロッキングが外れました。
これだけでは外れない場合は、圧迫法という方法で引っかかっている掌側板を押し出します。それでも外れない場合は手術をすることもありますが、手術になることは非常にまれです。
受傷から時間がたつとロッキングが外れにくくなり、手術が必要になります。
親指が強制過伸展されてから親指が曲がりにくくなった場合、このロッキングを疑って、早めに整形外科を受診しましょう。
2013.3.02 カテゴリー|その他の治療について
ネットで見つけたハイヒールを履いている女性の足のレントゲンです。
足関節は過剰に底屈していて、MP関節は過剰に伸展しています。
足のとってはかなり不自然な格好です。
これじゃ変形しても仕方ないですね。
2013.3.01 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
10歳の女の子
体育で、サッカーをしていて右足首をひねって受傷しました。痛くて右足がつけないため、片足ケンケンをしながら当院を受診しました。
右足首の外くるぶしを押すと痛がりますが、腫れは認めませんでした。レントゲン上も異常はありませんでした。
診断は骨端線損傷です。
上の図の矢印の先の部分に線が入っているのがわかると思います。これは骨端線とよばれる部位で、成長軟骨があります。
大人の場合、足首をひねると、靭帯を損傷します。外傷による靭帯損傷を捻挫と言います。
しかし、子供の場合、靭帯より骨端線のほうが構造的に弱いので、足首をひねると靭帯ではなく骨端線を損傷します。これを骨端線損傷と言います。
受傷当初は歩けないほど痛がっている場合が多いですが、3日間ほどしっかり外固定すれば、痛みを残さず治ります。
(成長軟骨の損傷がひどい場合は、手術が必要になったり、後から成長障害を起こす場合もあります)