2012.11.05 カテゴリー|湿潤療法
76歳男性
狭心症があり、ワーファリン、ニトロールなど薬を8種類内服中
飼い犬に右手をかまれて受傷しました。
手の甲の皮膚が、逆フラップ状にはがれていました。
壊死する可能性が高いことを説明し、創内にドレーンを入れて、テープで皮膚を固定し、湿潤療法を行いました。
1週間後 、予想通り皮膚の一部が壊死しました。(創の中央の黒い部分が壊死組織です。)
壊死組織は無理にはがさず、そのまま湿潤療法(プラスモイストトップ+ガーゼ)を続けて自然と溶けるのを待ちました。
2週間後、壊死組織はきれいに溶けてなくなりました。
この患者さんはワーファリンを飲んでいるので、壊死組織を無理にはがした場合、出血して止まらなくなった可能性があります。
そのまま湿潤療法(プラスモイストV)を続けて、5週間後には皮膚がほぼ再生されました。
犬などの動物に咬まれた創は、そのまま縫合してしまうと、かなり高い確率で感染を起こします。
無理に縫合しなくても湿潤療法を行えば、キズはきれいに治ります。
2012.11.02 カテゴリー|その他
今週もふれラジいばらき金曜日にメッセージを送りました。
ラジオネーム ぼりぼりぼりいいいいいいいい
今さん 梅島さん
お元気ですか?
節目といえば
今日は、僕の43回目の誕生日です。
日本人男性の平均寿命は79.44歳なので、すでに人生の折り返し地点を過ぎました。
振り返ってみれば、子供のころからの夢だった医師という職業につくことが出来、
やさしい妻と、朗らかで賢い3人娘に恵まれ、順風満帆、幸せすぎる前半生でした。
普通のサラリーマン家庭出身の僕が、医師になれたのは、両親と兄弟の協力があってこそです。
その感謝をこめて、毎年3回、両親と兄弟の家族みんなを温泉旅行に招待しています。
来年のお正月も、みんなで「ひたち海浜公園」で遊んで、「袋田温泉」に泊まる予定です。
幸せな人生が、これからもずっと続くように油断せずに努力を続けていきたいと思います。
2012.11.02 カテゴリー|トリガーポイント注射
58歳の男性
6年前から、腰痛と両下肢の痺れが出現し、某総合病院で腰部脊柱管狭窄症と診断されました。
4年前に、腰椎椎弓切除術(腰の骨を削って神経への圧迫を除く手術)を受けましたが、痛みも痺れも改善しませんでした。
2年半前に、腰椎固定術(金属で腰の骨を固定する手術)を受けましたが、痛みやしびれはさらに悪化しました。
2年前に、ネットでMPSについて知り、当院を受診しました。
受診時は、痛みとしびれのため歩行も歩行器なしでは歩行できない状態でした。
上図のように、腰部と左ふくらはぎにトリガーポイントを認めました。
週1回、トリガーポイント注射に通ってもらいました。また、リリカの内服も開始しました。
3か月後には、痛みはかなり改善し、杖で歩けるようになり、職場にも復帰しました。
この患者さんのように、腰の手術を受けても治らない、あるいはしばらくはよかったけど半年くらいしたら元に戻ってしまったという患者さんはたくさんいます。
それは、ほとんどの整形外科医が、骨の変形を治すことばかり考えていて、筋肉の痛みやしびれ(MPS)があることを知らないからです。
2012.11.01 カテゴリー|トリガーポイント注射
74歳女性
5日前から、右背部から右胸にかけて皮疹が出現し、徐々に痛みが出てきたため当院を受診しました。
皮疹の状態から、帯状疱疹と診断し、バルトレックスの内服を開始しました。
1週間で皮疹は消失しましたが、右背部から右胸にかけての痛みが残ってしまったため、リリカの内服を開始しました。
リリカを漸増していき、鋭い痛みは無くなりましたが、重いような鈍い痛みが残りました。
発症から3週間後から、週2回、右広背筋と大胸筋に対してトリガーポイント注射をおこないました。
1か月後には痛みは消失しました。
この症例に出会うまで、帯状疱疹後の痛みは、神経由来の痛みなので、筋肉由来の痛みに対する治療であるトリガーポイント注射は効かないと思っていました。
しかし、帯状疱疹後神経痛では、その痛みで、「痛みの悪循環」が起き、患部の筋肉の血流が悪くなり、筋肉にトリガーポイントが出来てしまい、痛みをさらに悪化させる現象が起きることがあるようです。
トリガーポイント注射で痛みの悪循環を遮断することにより、帯状疱疹後神経痛もよくなるかもしれません。