2015.6.15 カテゴリー|湿潤療法
2年前にヤケドの応急処置のフローチャートを夏井先生と相談して作って、当ブログに掲載しましたが、ウエブサイトをモバイル用に変更したらなぜか表示できなくなってしまったので、再度掲載します。
ヤケドしたらまず、水で数秒間冷やして患部の粗熱を取ります。
何十分も冷やす必要はありません。ヤケドが深くならないように粗熱を取るだけでいいのです。
冷やしたらヤケドをよく観察して以下のフローチャートに沿って応急処置をしてください。
2015.6.04 カテゴリー|湿潤療法
2歳になったばかりの女の子
エスカレーターで転倒してステップの隙間に指を挟まれて受傷しました。某大学病院に救急搬送され形成外科を受診。フィブラストスプレー、プロスタンディン軟膏が処方され、石鹸でキズを良く洗うように指導されました。
ネットで調べて練馬光が丘病院の夏井先生の外来を受診、湿潤療法について説明を受け創部をハイドロコロイドで被覆してもらい、当院に紹介されました。
受傷後13日の状態
左の人差し指と中指が爪の根本で切断されていてます。
引き続き、ハイドロコロイドを1日1回自宅で交換してもらい、当院には週1~2回通院してもらいました。
受傷後1ヶ月の状態
指が再生されて、爪もちゃんと生えています。子供の再生力はすばらしい。
2015.5.21 カテゴリー|湿潤療法
30歳の女性
包丁で左人差し指を切ってしまいました。自宅にあったキズパワーパッドを切り傷に貼って応急処置しましたが、剥がすときにまた創が開いてしまい、出血したため、当院を受診しました。
当院では、切り傷をステリーストリップというテープで固定してその上からガーゼを当てました。翌日には切り傷はくっついていました。
キズパワーパッドは擦り傷などには非常に高い創傷治癒効果がありますが、切り傷に貼っちゃダメです。キズパワーパッド自体に強い粘着力があるため、剥がすときに皮膚を引っ張ってしまって創が開いてしまうからです。
切り傷の応急処置としては、まず指で傷口を押さえて止血をします。止血できたら、普通の絆創膏(カットバンなど)を貼ってください。
2015.4.24 カテゴリー|湿潤療法
今日はこの記事から
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150423/k10010058081000.html
愛知県で去年4月、当時11か月の女の子がウォーターサーバーのお湯で大やけどをしていたことが分かり、女の子は1年たった今も手にやけどの跡が残っています。このケースでは製品に「チャイルドロック」の機能がついていましたが、当時2歳の姉と2人で触っている間に機能が解除されてしまったということです。
実は、当院にもウォーターサーバーでヤケドした子供のついて下記のブログを読んだNHKの記者からの取材がありました。
https://nishibori-seikei.com/blog/2012/12/post-175.html
当院のケースでは、早い時期に湿潤療法を行ったこともあり、後遺症が残らなかったので記事にはなりませんでした。しかし、ウォーターサーバーが危険なことに変わりはありません。
当院も外来に、ウォーターサーバーを置いていますが、冷水のみで温水は出ないようにしてあります。一番の理由は、小さい子供がいたずらしてヤケドをしないためです。もう一つの理由は、当院は患者さんを待たせないように努力しているので、温水でお茶やコーヒーを入れても、それが冷めて飲めるようになる前に診察室に呼ばれてしまうからです。
子供のヤケドは親の責任です。子供がヤケドをする前に、想像力を膨らませて、危険を回避するのも親の仕事です。
2015.4.13 カテゴリー|湿潤療法
今朝の夏井先生のウェブサイトに載っていた記事「○○大学附属病院皮膚科のあほ医者とのバトル」から
http://www.wound-treatment.jp/new.htm#0413-06:00-17
要するに、大学病院で皮膚潰瘍に対して古い間違った治療を受けていた患者さんが、内科医院でこっそり湿潤療法を受けて、すごくうまく治ったという話です。
大学病院の皮膚科の先生はきっと、自分たちの治療でうまく治ったと思っているはずです。その結果、今後はより自信を持って、この古い間違った治療を続けていくことになるでしょう。恐ろしいことです。
この患者さんが、実は湿潤療法で治ったことを大学病院の医師に告げていれば、大学病院に湿潤療法が広まるきっかけになったかもしれません。しかし、本当のことを告げれば、医師のプライドを傷つけ、怒りを買い、大学病院に通いづらくなる可能性があります。がんの治療で大学病院に通わなければいけない以上、そんなリスクを負えるはずがありません。
患者さんから「本当のことを話したら怒られるかも」と思われていたら、とても残念なことです。大事なことを内緒にされていたら、うまく治せるものもうまく治せません。患者さんから「この先生なら何でも話せる」と思われるようにするには、やはり信頼関係を築けるかどうかが大切なんだろうなと思います。