HOME > 院長BLOG > 湿潤療法

院長BLOG

チェーンソーによる挫創

2014.5.09 カテゴリー|湿潤療法

40代男性 理髪師

 

 チェーンソーで家の木を切っていて、うっかり刃に触ってしまい、左薬指を切ってしまいました。その日は〇〇大学付属病院で応急処置を受け、その後□□病院で消毒と軟膏とガーゼによる治療を受けていたが、治りが悪いため受傷16日後に当院を受診した。

 初診時の画像です、薬指の曲げる方の皮膚が大きくえぐれていますが、幸い屈筋腱は切れていませんでした。

10515a.jpg

 プラスモイストを自宅で交換してもらうことにしました。仕事もできる範囲でやってもらいました。

 8日後

10515b.jpgのサムネイル画像

 15日後 

10515c.jpg

 上皮化が進み、浸出液がほとんどなくなったのでハイドロコロイドを自宅で交換してもらうことにしました。

 25日後

 

10515d.jpg

 伸ばした時に少し突っ張るくらいで、可動域障害はなく、機能的な支障なく治りました。

転んで顔を擦りむいた男の子

2014.5.02 カテゴリー|湿潤療法

3歳の男の子

 幼稚園で遊んでいて、転んで顔を擦りむいた。幼稚園の近くのクリニックでイソジン消毒とガーゼの処置を受け、「キズが残る」と言われ不安になり、翌日当院を受診した。

 初診時の状態

10552a.jpg

 キシロカインゼリーで表面麻酔をしてから、創をについた泥をぬぐいっとって、ハイドロコロイドで覆った。

 翌日キズの状態を確認し、以後は自宅でハイドロコロイドを交換してもらって、週1回通院してもらった。

 2週間後の状態

10552b.jpg

 きれいに治った。鼻頭の傷跡も遮光していれば半年くらいでほとんど目立たなくなると思う。

浸出液の量やキズの状態で創傷被覆材を変更することがポイント

2014.3.11 カテゴリー|湿潤療法

 60代の女性

 脱衣所でよろけて大腿部をストーブに押し付けてしまいジュッと肉が焼ける音がして受傷しました。翌日当院を受診しました。

 

 初診時 太ももに10×20㎝のヤケドを認めました。ヤケドの表面に焦げた皮膚がくっついていたので、やさしく除去してハイドロコロイドで覆いました。

10288a.jpg

 治療開始1日後 焦げた皮膚はきれいになくなりました。まだ浸出液が少なかったので再度ハイドロコロイドで覆いました。

10288b.jpg

 治療開始3日後 浸出液がかなり増えてきたので、吸収力が高いモイスキンパッドを自宅で自分で交換してもらうことにしました。

10288c.jpg

 治療開始8日後 上皮化が進み浸出液が減ってきたので、自宅でプラスモイストを交換してもらうことにしました。

10288d.jpg

  治療開始11日後 上皮化がほぼ終了し、浸出液がほとんどなくなったため自宅でハイドロコロイドを交換してもらうことにしました。

10288e.jpg

 治療開始15日後 きれいに治りました。

10288f.jpg

 湿潤療法においては、浸出液の量やキズの状態を見ながら、適切な創傷被覆材に変更するのがポイントです。

医療をダメにする医師 「MKノー」の口癖とは?

2014.1.30 カテゴリー|湿潤療法

 ネットでこんな記事を見つけました。

会社をダメにする上司 「MKノー」の口癖とは

http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20140130-00032129/

 

 要は、改革を提案すると「見たことも聞いたこともない」という低レベルな反論で、改革を拒否するダメ上司がいると、会社がダメになる。という話でしょう。これは医療に対しても当てはまりますね、湿潤療法や糖質制限、ビオチン療法、トリガーポイント注射など革新的で効果的な治療を受け入れられない医師も、このダメ上司と一緒で、結局は、現状を変えたくないので、自分の頭で考えることなく「見たことも聞いたこともない」とか「教科書に載っていない、学会で推奨していない」とか言って拒否しているのです。

赤ちゃんの顔のヤケド

2014.1.21 カテゴリー|湿潤療法

1歳2か月の女の子

食事中にあんかけを顔面にかけてしまいヤケドしました。すぐに県立こども病院の救急外来を受診して、プロペトと抗生剤の内服薬を処方されました。翌日近所の皮膚科を受診したところ、マキロンと抗生剤軟膏が処方され、毎日マキロンで顔のヤケドを消毒してから軟膏を塗るように指導されました。マキロンで消毒するときに、赤ちゃんがあまりに痛がるので心配になり、ネットで調べて当院を受診しました。

初診時の顔の写真です。かわいそうに顔全体にヤケドがあります。

10109a.jpg

瘡蓋ができている両頬の下の部分だけハイドロコロイドで覆って、後の部分は頻回にプロペトを塗るように指導しました。もちろんマキロン消毒は絶対にやらないようにと付け加えました。

6日後の状態です。きれいに治りました。

10109b.jpg

マキロンを傷を消毒するとものすごく痛いです。マキロンの主成分過酸化水素水は組織障害性がものすごく強い化学物質です。マキロンを塗った時の痛みは、過酸化水素水が皮膚の細胞を焼き殺していることによる痛みです。つまり、マキロンで消毒するとキズはより深くなります。女の子の顔に塗るようなものでは決してありません。もし、間違って目に入ってしまったら目の角膜を傷つけてしまいます。失明するようなことはないと思いますが、目に障害が残ってしまう可能性もゼロではありません。顔のヤケドにマキロンを塗られていた時のこの子の痛みを想像すると、かわいそうで涙が出てきてしまいます。

 

ちなみに、県立こども病院の救急外来では、以前から湿潤療法がおこなわれているようです。しかし、こども病院でヤケドの患者さんのフォローは出来ないので、近くの皮膚科を受診するように勧められるようです。この時に、湿潤療法をやっている医療機関を紹介してくれれば一番いいのですが、県立病院という立場だとちょっと難しいのかもしれませんね。

 

関連ブログ

ティファールの電気ケトルでヤケドした乳児

https://nishibori-seikei.com/blog/2013/07/post-297.html

 

最近の記事

カテゴリー

月別アーカイブ