2018.10.29 カテゴリー|湿潤療法
4歳の男の子
何か(詳細不明)にはさんで右人差し指の爪が剥がれて当院を受診しました。
受診の状態、爪が剥がれて出血していました。ヘモスタパッドを当てました。
翌日の状態、出血は止まっていました。ヘモスタパッドを当てました。
受傷3日目の状態、うっすらと新しい爪が形成されて来ています。プラスモイストを当てました。
受傷6日目の状態、薄い爪が出来たので、治療を終了しました。
爪を剥がしても湿潤療法をすれば、すぐに爪が出来ますよ。
2018.5.11 カテゴリー|湿潤療法
60歳の男性
天ぷらを揚げていたフライパンをひっくり返して左手に油をかけてしまい受傷しました。
その日は近くの病院で応急処置を受けて、翌日当院を受診しました。
初診日の左手 水疱がたくさん出来ていたので、可及的に切除しました。
そのまま、穴あきポリ袋をかぶせて、ペットシートでくるみました。
浸出液が多かったので、家でペットシートだけ交換してもらうように指示しました。
4日後の左手
11日後の左手
20日後の左手
きれいに治りました。
2018.4.04 カテゴリー|湿潤療法
60歳男性
栗の木の剪定をしていて枝が落ちてきて、左手の甲を切りました。昔にケガしたときのもらった軟膏が家にあったのでそれを塗っていましたが、10日経っても良くなるどころかだんだんひどくなってきたので当院を受診しました。
受診時のキズの写真です。
キズの周りの皮膚が茶色く変色していて、キズの中には溶けたさとうのようなものが入っていました。
軟膏はイソジンシュガー(ユーパスタ)だと思われます。
イソジンシュガーは、消毒薬のイソジンと砂糖を混ぜた軟膏です。
砂糖は水をたくさん吸収するので、イソジンによる消毒して砂糖でキズを乾燥されることが目的の軟膏です。
湿潤療法とは真逆の考え方で作られている大昔からある軟膏のひとつです。
消毒も乾燥も、傷の治療にとっては邪魔でしかないので、創はどんどん深くなってしまいました。
イソジンシュガーをきれいに取り除くと、キズは皮膚潰瘍を形成していました。
ヘモスタパッド、プラスモイストDC、ハイドロコロイドなどを使って湿潤療法を行いました。
10日後にはきれいに治りました。
キズにイソジンシュガーとか使っちゃ絶対ダメだよ。
2018.1.23 カテゴリー|湿潤療法
痛風などで10年くらい当院に通院している60代の男性
先月、湯たんぽで低温やけどになり、当院を受診しました。
低温やけどなので3ヶ月から半年くらいかかること、後から皮膚が壊死して悪化したように見えること、壊死した皮膚の下にばい菌が入って化膿したら壊死した皮膚を切開しなければいけないことなどを説明し、穴あきポリ袋を使用して自宅で処置する方法を教えました。
腫れて痛くなったら飲むようにと抗生剤も処方しました。
5日後に痛みが強くなったと受診しました。壊死組織を切開して、抗生剤を飲んでもらいました。
翌日再診してもらいました。壊死組織は白く溶けてきていて、痛みも改善してきたので、同じ処置を続けてもらい3日後に受診するように説明しました。
しかし、来院しませんでした。
そして1ヶ月後、痛風の薬をもらいに来ました。
ヤケドのほうはどうなっているかと聞いたら
「ここ(にしぼり整形外科)は専門じゃないから、専門の○○皮膚科に通っている。」
って、言われちゃった。
あきれて「あっそうすか。」しか答えられませんでした。
何かガーゼに白い軟膏がついていて包帯でぐるぐるまきにされていたけど、もうどうでもいいや。
私、ヤケドの治療にはかなり自信があるんですけどね。夏井先生に太鼓判をいただいているし・・・
トリガーポイント注射にも自信があるけど、痛みは目に見えないから、治ったかどうか患者さん本人しかわからないでしょ。
でも、ヤケドは目に見えるから、うまく治せているなぁという実感があるんですよね。
10年も通っている患者さんに専門じゃないとか言われるとがっかりしちゃうよ。
ブログだけじゃなく、当院のパンフレットや、月1回発行している「にしぼり整形外科新聞」にも湿潤療法について書いているんだけどな。
なんだか切ないよ。
関連ブログ 夏井先生から太鼓判をもらいました
2017.12.08 カテゴリー|湿潤療法
今朝、夏井先生がウェブサイトで乳幼児の熱傷の原因についてまとめてくれたので紹介します。
http://www.wound-treatment.jp/new.htm#1208-3
小さなこどもは好奇心旺盛で怖いもの知らずなので、何でも手を出してしまいます。
だから「熱いものを家におかない」が小さい子供のやけどの予防の基本です。
味噌汁やコーヒーや紅茶は飲まなくても生きていけるので、こどもが小さいうちは家で飲まない。
炊飯器や加湿器は1メートル以上高いところにおく。
ティファールの電気ケトルは使わない。
ウォーターサーバーの冷水だけにして熱湯は出ないように設定する。
ヘアアイロンは使い終わったらすぐにコードを抜いて高いところにしまう。
アイロンも使用中は絶対に目を離さず、使い終わったらすぐにコードを抜いて高いところにしまう。
とにかく、小さなこどもにとっては「熱いものはすべて危険物」です。
ばあちゃんちに遊びに来ていてやけどするこどももよくいます。
正月に孫が遊びに来る前に、熱いものをなくす工夫をしましょう。