2014.7.08 カテゴリー|トリガーポイント入門
50代の女性
4月半ばごろから、歩くと左大腿前面に痛みが出るようになりました。5月初めごろから、立ち上がるときや歩いているときに激痛が走るようになりました。5月末に近くの整形外科を受診して、腰から来ている痛みだと言われ、腰椎ベルトと痛み止めの飲み薬が出たけど、あまり良くならないため、6月末に当院を受診しました。
初診時、図のように腸腰筋にトリガーポイントを認めました。
トリガーポイント注射1回で痛みはほぼ消えました。
股関節から大腿前面の痛みの原因は腸腰筋のトリガーポイントです。下前腸骨棘の2横指位内側を押すと圧痛点を認めることが出来ます。
2014.5.27 カテゴリー|トリガーポイント注射
楽天球団は27日、腰痛悪化のため26日から一時休養となっている星野仙一監督(67)の病状について発表した。
球団によれば26日、都内の病院で検査した結果、腰椎椎間板ヘルニアと厚労省指定の難病である胸椎黄色靱帯骨化症と診断されたという。
黄色靱帯骨化症は2012年に巨人の越智大祐投手が発症。手術を受けている。
この日、都内の宿舎ホテルで星野監督と今後ついて話し合った立花球団社長は、「(手術は)監督とお医者さんが決めること。代行は佐藤(義則投手コーチ)さんで調整している」と話した。
画像所見に異常があるからって、それが腰痛の原因とは限らないんだよね。症状のない胸椎黄色靭帯骨化症や腰椎椎間板ヘルニアなんていくらでもあるんだから。
星野監督の腰痛は、たぶんストレスと疲労が原因の、筋筋膜性疼痛症候群じゃないかな。マー君が抜けた穴はデカすぎるからね。ストレスは相当だと思うよ。
トリガーポイント注射や、リボトリールや抗うつ薬の投与でよくなると思うけど。というか、監督をやめればすぐ治るんじゃないかな。
2014.5.20 カテゴリー|トリガーポイント注射
仕事は運動ではなく労働です。
腰痛や肩こりの患者さんに原因を聞かれ、「疲労や運動不足や精神的ストレスなどが原因です。」と答えると、「俺は仕事をたくさんしているから運動不足はないな。」と答える患者さんがいます。でも仕事は運動ではなく労働です。
運動と労働は何が違うのでしょう。労働は基本的に同じ動作を繰り返すことが多いので、常に同じ筋肉ばかりに負担がかかってしまいます。その結果、その筋肉が痛くなってきます。また労働には精神的ストレスが伴います。精神的ストレスは痛みを強くします。
仕事が楽しくてしょうがないからストレスは感じないという方も稀にいますが、たいていの人は仕事にストレスを感じているはずです。私だって、整形外科医という職業が好きで楽しんで働いていますが、やっぱり休みが恋しいです。休みの日に家族と過ごしたり、ゴルフに行ったりした方が仕事よりずっと楽しいです。それはやはり、いくら楽しくても仕事にストレスを感じているからです。
運動で、普段仕事に使っていない筋肉を使うことで、筋肉のバランスが整い、痛みが軽くなります。また、何と言っても運動することでストレスが解消されます。その精神的効果は絶大です。
まあでも、運動しなくちゃいけないと思い込んで、痛いのに無理に運動して、余計痛みと精神的ストレスをため込んでは逆効果です。運動の目的はあくまでストレス解消です。運動で余計ストレスがたまるようならやめたほうがいいです。
2014.4.24 カテゴリー|トリガーポイント注射
70代の男性
15年以上前からある、左手小指側のしびれを主訴に来院しました。15年前、某総合病院で頸椎症性神経根症と診断され、頸椎牽引を受けるように指示され、近所のクリニックで頸椎牽引を数年受けていましたが、そのクリニックが代替わりして頸椎牽引の機械を捨ててしまったので、以後はずっと治療を受けずに様子を見ていました。治療中もその後も症状に変化はありませんでした。
先日、頸椎牽引をして欲しいと当院を受診しました。以前にもブログに書きましたが、当院には頸椎牽引の機械はありません。そのことを告げ、そもそも首のせいの症状かどうかも怪しいので、詳しく診察させていただきました。
症状をよく効くと、左手がしびれているのではなく、時々左の小指と薬指が痙攣するというのです。案の定、前腕の指屈筋群にトリガーポイントを認めました。
「筋肉にできたしこりが原因の症状だから、トリガーポイント注射をすればよくなること、頸椎が原因の症状ではないから頸椎牽引をしても無駄であること」を説明しましたが、いまいち納得がいかない顔をしておられたので、注射はせず湿布だけ処方しておかえりいただきました。きっと、心の中で「某総合病院の先生の診断が間違っているわけないだろう。なにわけのわからないこと言ってんだ」と思っていたのではないでしょうか?
神経生理学的事実として、頸椎で神経が圧迫された場合、筋肉の麻痺が出ることはあっても、痙攣が出ることはありません。なので、頸椎牽引をしても治るはずがありません。
2014.4.04 カテゴリー|トリガーポイント入門
前回のテニス肘で、痛みで外来を受診する患者さんの症状の9割がたを網羅することが出来たと思うので、これでひとまずトリガーポイント注射入門を終わりにしたいと思います。
このブログではトリガーポイント注射について、ものすごくシンプルに説明しました。すでにトリガーポイントに対する治療を行っている医師や鍼灸の先生方には、「トリガーポイント治療はそんな単純な物じゃない!」と怒られてしまいそうですが、今回の目的は痛みの専門ではないけど、痛みを抱える高齢者の診察をすることが多い内科や外科のお医者さんがトリガーポイント注射を始めるきっかけにしてもらうことなので、可能な限り簡単に分かりやすく書きました。その点ご容赦ください。
とにかく、あまり難しく考えず、「圧痛点に局所麻酔を打ってあげると、痛みがけっこうよくなる」からためしに注射してあげるという感じで始めてください。トリガーポイント注射をしてもぜんぜんよくならないときは、「骨折、悪性腫瘍、感染」など可能性がありますから整形外科に紹介してください。