2012.11.20 カテゴリー|医療に関する迷信
当院では、痛みに対してトリガーポイント注射や関節内注射など、注射による治療を積極的に行っています。なぜなら、注射のほうが、飲み薬や、電気・温熱治療などより、はるかに早く痛みが楽になるからです。
しかし、患者さんの中には「痛み止めの注射をすると癖になる」と言って、注射を拒否する人がいます。しかし、この「注射をすると癖になる」という話は、完全に迷信です。
「癖になる」という言葉を辞書で調べると、 【悪い習慣や前例になる。 例「夜更かしが癖になる」】 と書いてあります。
「注射をすると癖になる」といっている人は、「注射が悪い習慣」と思っている人なのでしょう。治療のために行っている注射が「悪い習慣」というのは、ちょっと違うと思います。
「覚せい剤の注射」は、悪い習慣です。覚せい剤は、一時の多幸感と引き換えに、健康を害し、一度打ったら、二度と止められない強い依存性があります。まさに体に悪い習慣です。
痛み止めの注射は覚せい剤とは違います。。痛み止めの注射に使用される局所麻酔薬は、中毒性も依存性もない、安全なものです。一度受けたら、二度と止められないなんてことは、決してありません。
急性の痛みだったら、1回~数回の注射で良くなります。慢性の痛みは完全に治るということが難しい場合があります。この場合は、痛みをコントロールする治療のために定期的に注射を続ける必要があります。でも、患者さんがやめたくなれば、いつでも注射の治療をやめることができます。けっして癖になることはありません。
「痛み止めの注射をすると癖になる」というのは迷信です。
2012.11.13 カテゴリー|トリガーポイント注射
72歳の女性
オクラの根っこを抜きをした2日後くらいから、首から背中に激痛が出現しました。接骨院で4日間治療を受けましたが、痛みが改善しないため、当院に紹介になりました。
高齢女性なので、脊椎圧迫骨折を疑い、頸椎と胸椎のレントゲンを撮りましたが、骨折は認めませんでした。
触診で、肩甲骨周囲の筋肉にトリガーポイントを認めたので、トリガーポイント注射を行いました。
1回の注射で、痛みは半減しました。
2回の注射で、痛みはほぼ消えました。
急性期のトリガーポイントの痛みは、注射ですぐに治すことができますが、痛みを我慢して慢性化した痛みは、なかなか良くなりません。この方の場合、痛みが出てから、早い時期に、トリガーポイント注射をしたので、すぐに良くなりました。
オクラの根っこは、土に深く拡がっていて、抜くのにものすごく力が要るそうです。その根っこを無理やり抜いたので、肩甲骨の周りにトリガーポイントが出来てしまったのでしょう。
「苦労するわりに、ちっとも儲からないから、来年はオクラをやらない!」と言っていました。
2012.11.13 カテゴリー|その他の治療について
上のグラフは、以前に書いたブログ記事『「交通事故の治療は長くかかる」は迷信』という記事で提示したグラフです。
「交通事故の治療は長くかかる」は迷信 https://nishibori-seikei.com/blog/2012/11/post-108.html
グラフでもわかるとおり、8%くらいの人は6か月以上治療に通っています。交通事故の治療に長期間通院する人は、3種類に分けられます。
交通事故の怪我で、当院に長期間通院している人のほとんどが、上の2.事故の衝撃で筋肉にトリガーポイントが出来てしまった人です。
トリガーポイントによる痛みなら、早期にトリガーポイント注射をすればよくなるはずですが、交通事故でけがした人のほとんどの人が、注射による治療を拒否します。他人に負わされた痛みの治療のために、注射という痛い治療を受けることが、精神的に受け入れられないのだと思います。
トリガーポイント注射 https://nishibori-seikei.com/trigger/index.html
この、他人に負わされた痛みというのがくせ者で、次のような痛みの悪循環に陥ってしまいます。
【事故にさえ合わなければ、こんな痛くつらい思いをしなくて良かったのに】
↓
【加害者や痛みに対する怒りとストレス】
↓
【自律神経の調子が悪くなり、筋肉の血流が悪くなる】
↓
【トリガーポイントの痛みがさらに悪化する】
↓
【事故にさえ合わなければ、こんな痛くつらい思いをしなくて良かったのに】
この痛みの悪循環に入ってしまうと、どんな治療をしても痛みはなかなか良くなりません。
それでも、保険会社から治療を打ち切られると、ほとんどの人の痛みがよくなります。治療を打ち切られたことによって、痛みの悪循環が止まるのだと思います。
2012.11.12 カテゴリー|トリガーポイント注射
82歳女性
骨の変形がかなり進行した両変形性膝関節症があり、30年前から某総合病院に通院していました。しかし、レントゲン上の変形のわりに、痛みはたいしたことなく、畑仕事もできていたので、湿布を貰っていただけでした。
3週間ほど前に転倒してから、痛みのため左膝が伸ばせなくなり、歩けなくなりました。痛みのため夜も眠れないほどなので、近所の接骨院を受診しました。そこで、膝が伸びないのは膝が脱臼しているからではないか?と言われ、当院を紹介されました。
すぐにレントゲンを撮りました。上がそのレントゲンです。骨折や脱臼はなく、高度の変形性膝関節症を認めるだけでした。触診をすると、左腓腹筋が腫れて緊張していて、圧痛を認めました。
腓腹筋の外傷性筋筋膜性疼痛症候群と診断し、圧痛部にトリガーポイント注射を行いました。
1回の注射で、夜眠れるようになりました。
5回の注射で、圧痛部を押さえれば歩けるようになりました。
7回の注射で、杖歩行ができるようになりました。
8回の注射で、膝が元通り伸ばせるようになりました。
レントゲンで骨がものすごく変形していると、痛みの原因をそこに求めたくなりますが、骨折や脱臼をしてなければ、骨が痛むことはありません。(正確には、骨折や脱臼で痛むのも骨ではなく、骨膜や筋肉などの周辺組織です。)
痛いのは骨ではなくて筋肉なのです。
2012.11.06 カテゴリー|トリガーポイント注射
38歳の女性
2年前から肩こりがあり、1年前からうめまいが出現するようになりました。
めまいについて、数件の総合病院で診察と検査を受けましたが、どこにいっても原因不明と言われていました。
1か月前に当院を受診しました。
両方の胸鎖乳突筋と僧帽筋にトリガーポイントを見つけ、トリガーポイント注射を行いました。
注射したその日からめまいが軽快しました。
2日後くらいに、再びめまいが出現しましたが、再度トリガーポイント注射を行ったら軽快しました。
首の両脇にある、胸鎖乳突筋にトリガーポイントができると、めまいのほかに、頭痛などの症状が出ます。
原因不明のめまいや頭痛の多くが、胸鎖乳突筋のトリガーポイントが原因で起きているのではないかと思われます。