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ぎっくり腰の治療

2012.12.07 カテゴリー|トリガーポイント注射

54歳の女性

 

腰を少しひねったときに、ギクッとなり、動けなくなりました。

翌日、当院を受診しました。

 

ぎっくり腰は、ほとんどの場合、腰方形筋や中臀筋の急性の筋筋膜性疼痛症候群です。

この患者さんも、同部にトリガーポイントを認めました。

 

トリガーポイント注射を行い、マックスベルト(腰椎ベルト)をきちんと締めてあげると、だいぶ動けるようになりました。

(この、マックスベルトをきちんと締めるということが、重要です。きちんと締めることが出来ていない方がたくさんいます。)

 

翌日、再診した際には、痛みはほとんど取れていて、スムーズに動けるようになっていました。

 

ぎっくり腰は的確なトリガーポイント注射と、マックスベルトをきちんと締めることで、すみやかに良くなります。

骨粗しょう症患者の腰椎圧迫骨折は、最初はわからないことがある

2012.12.04 カテゴリー|骨折・捻挫の治療

82歳女性

 

膠原病があり、某総合病院のリウマチ科に通院中で、ステロイドを内服中(PSL8㎎/day)のおばあちゃんです。同じ総合病院の整形外科で骨粗しょう症の治療も受けています。

 

7月末に、草むしりをしてから、右腰痛と右臀部痛が出現しました。上がその時のレントゲンです。第12胸椎から第2腰椎が、つぶれていて圧迫骨折になっています。でも、ここは骨硬化もしてて、古い圧迫骨折と思われました。新しい圧迫骨折は、はっきりしませんでしたが、痛がり方やステロイド内服中などから、圧迫骨折とそれに伴う筋筋膜性疼痛症候群と診断しました。

(圧迫骨折の痛みは、寝たり起きたりする時はすごく痛いけど、1度起きてしまえばあまい痛くなくなるという特徴があります)

 

「骨粗しょう症がひどい方は、骨折したばかりの時は、レントゲンでどこが折れているかわからないことが多いので、どこが新しい骨折かは、わかりませんが、おそらく圧迫骨折の痛みでしょう。圧痛部にトリガーポイント注射をして、2週間ほど、なるべく安静にしていれば、痛みがとれると思います。」と説明しました。

 

そして、予想通り、2週間後には痛みがかなり改善しました。

 

しかし、そのあと、某総合病院の整形外科を受診して際、再度腰椎のレントゲンを撮り、

「4年前のレントゲンと比べて変わっていないので、圧迫骨折ではなく、筋肉痛だ。」と言われたそうです。

それで、しばらく当院には通院しませんでした。

 

11月末ごろから、また痛みがひどくなり、当院を受診しました。下がその時のレントゲンです。

5376a.jpg

7月のレントゲンに比べて、第5腰椎がつぶれていて、骨硬化像を示しています。

わかりにくいので、第5腰椎だけクローズアップすると下のようになります。

 

7月のレントゲン5376bbp.jpg                                    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

12月のレントゲン5376abp.jpgのサムネイル画像

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7月の腰痛は、第5腰椎圧迫骨折が原因だったのだろうと推測できます。今回の腰痛も、おそらく、正常に見える第3腰椎か第4腰椎が圧迫骨折を起こしているのだろうと思われます。某総合病院の診断より、僕の診断のほうが正しかったのです。

 

ひどい骨粗しょう症のある方は、草むしりをしたくらいでも、あるいは何もしなくても、腰椎圧迫骨折を起こすことがあります。

 

また、そういう方の、圧迫骨折は受傷直後にはレントゲンに写らないこともよくあります。  

 

圧迫骨折の痛みは、「寝たり起きたりする時にすごく痛いけど、起きてしまえばあまり痛くない」という特徴があります。

加茂先生のブログで僕のコメントが紹介されました。

2012.11.22 カテゴリー|トリガーポイント注射

トリガーポイント注射の第一人者 

加茂整形外科の加茂淳先生の11月21日のブログで、

僕のコメントが紹介されました。

 

心療整形外科 http://junk2004.exblog.jp/19536177/

 

 

「痛み止めの注射をすると骨がとける」は迷信

2012.11.21 カテゴリー|医療に関する迷信

当院では、痛みに対してトリガーポイント注射や関節内注射など、注射による治療を積極的に行っています。なぜなら、注射のほうが、飲み薬や、電気・温熱治療などより、はるかに早く痛みが楽になるからです。

 

しかし、患者さんの中には「痛み止めの注射をすると骨がとける」と言って、注射を拒否する人がいます。しかし、この「注射をすると骨がとける」という話は、完全に迷信です。

 

数十年前まで、痛み止めの注射にステロイドという薬を使用してました。このステロイドは痛みを抑える効果は非常に強いのですが、骨を弱くしてしまう副作用があります。数十年前までは副作用についてよくわかっていなかったので、毎週のようにステロイドの注射を痛み止めとして打たれていた患者さんもたくさんいました。そのうちの何%かの患者さんが、ステロイドの副作用で膝などの骨がとけて、手術が必要になったり、歩けなくなったりしたことは事実です。

 

しかし、医学は日々進歩しています。同じ過ちを繰り返すことはありません。

 

当院で行っている痛み止めの注射はおもに2種類あります。

 

一つは腰痛や肩こりなど筋肉の痛みに行うトリガーポイント注射です。トリガーポイント注射にはネオビタカインという局所麻酔薬を使用しています。この薬に骨を溶かすような副作用はありません。

 

もう一つは、膝や肩の痛みに対して行う、関節内注射です。関節内注射にはヒアルロン酸ナトリウムという、膝の中で潤滑油のような働きをする物質を使用しています。この薬にも骨を溶かすような副作用はありません。

 

当院でも、ステロイドの注射を使用することはあります。痛風や偽痛風などのひどい関節炎を起こしているときや、腱鞘炎の時などです。しかし、その場合も、量を最低限にして、また注射の期間を1か月以上あけるようにして、副作用が出ないように細心の注意を払って注射してます。

 

「痛み止めの注射をすると骨がとける」というのは迷信です。

リリカ webシンポジウム

2012.11.20 カテゴリー|トリガーポイント注射

リリカwebシンポジウムを聞きに行きました。
「脊椎変性疾患における術後遺残痛」
「術後遺残痛に対する取り組み」
の2題でした。
筋性疼痛(筋筋膜性疼痛症候群)という考えがすっぽり抜けている講演内容だったので、残念ながら、あまり勉強になりませんでした

 

 

今回のシンポジウムで出されたデータです。

 

手術後、手術部に痛みが残った人の割合

頸椎      52.6%

腰椎      37.8%

TKA・THA   43.8%

その他     21.3%

 

痛みが残る可能性はこんなに高いのです。それでも手術をうけますか?

 

こんなデータもありました。

 

腰痛や坐骨神経痛が全くない人でも、MRIを撮ると、

20~59歳で20% 60歳以上で40%に椎間板ヘルニアが見つかる。

そして、60歳以上の20%に脊柱管狭窄症が見つる。

 

ヘルニアや狭窄症があっても症状がない人はたくさんいるのです。

 

あと、2回も手術をしてもよくならなかった患者さんに、リリカを飲ませたら良くなったという症例を紹介していました。

 

「だったら、最初からリリカを飲ましていたら、無駄な手術を2回もしなくて済んだんじゃね」と心の中でつっこみました。

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