2012.11.27 カテゴリー|糖質制限
11月27日の湿潤療法の第一人者である夏井先生のHPに「糖質制限と掌蹠膿疱症」についての記事が載りました。
新しい創傷治療 更新履歴
http://www.wound-treatment.jp/title_new.htm
「糖質制限と掌蹠膿疱症」についてのメールです。糖質制限をしただけで,掌蹠膿疱症の症状が消えたそうです。
この方の足の皮疹が、本当に掌蹠膿疱症によるものだったのかどうかは、診察していないのでわかりませんが、糖質制限で良くなったのなら、それはそれでとてもよかったと思います。
当院では掌蹠膿疱症に対して、ビオチン療法を行っています。
ビオチンとはビタミンの一種です。本来は腸内細菌によって生成されるものなので、薬やサプリメントとして摂取する必要がありません。しかし、喫煙や抗生剤の長期投与、便秘などが原因で腸内細菌が乱れると、ビオチンが生成されなくなり、ビオチンが不足して掌蹠膿疱症になると考えられています。
糖質制限をすれば、縄文人と同じ、人間本来の腸内細菌叢を形成することになると思います。その結果、ビオチンが生成されるようになり、掌蹠膿疱症が治ったのかもしれません。
今後は、掌蹠膿疱症の患者さんにも糖質制限を勧めてみます。良くも悪くも結果が出たら報告いたします。
2012.11.15 カテゴリー|ビオチン療法
32歳の女性
6月ごろから、右手のひらと右足底に皮疹が出来ました。某総合病院に通院してステロイド外用による治療を受けていましたが、皮疹は徐々に悪化して、8月ごろに掌蹠膿疱症と言われました。9月に別の皮膚科を受診して、クラリス(抗生剤)の内服と、オキサロール(角化症・乾癬治療薬)の外用による治療を受けましたが、よくなりませんでした。6月ごろには、前胸部の痛み(胸鎖関節炎の症状)もあったようです。
10月に当院を受診しました。掌蹠膿疱症と診断し、ビオチン療法を開始、皮膚炎にはワセリンを塗ってもらうことにしました。
ビオチン療法 https://nishibori-seikei.com/biotin/index.html
1か月後に再診した際には、まだ皮疹はよくなっておらず、特に右足の皮疹はひどく、痛みのためビッコをひいている状態でした。右手足以外に乾癬を疑われる皮膚炎も認めました。
そこで、皮膚炎に対してステロイド軟こうを塗ってもらい、右足は穴あきポリ袋で覆い、その上に靴下をはくようにしてもらいました。
2週間後の写真です。右足底は劇的に良くなっています。その他の部位の皮膚炎もよくなりました。
前々医の治療で、ステロイド外用だけでは良くならなかったので、ステロイドだけではなく、穴あきポリ袋とビオチンが効果的だったのだと思います。
2012.10.15 カテゴリー|ビオチン療法
当院でビオチン療法を1か月以上受けた患者さんは27名です。
27名中23名に皮膚症状の改善を認めました。
皮膚症状が改善しなかった患者さんのうち3名は禁煙できなかった患者さんです。
1名は皮膚症状が悪化したため、中止しました。(原因は不明です。)
27名中10名に掌蹠膿疱症性関節炎を認めました。
10名中9名に関節炎症状の改善を認めました。
関節炎症状が改善しなかったのは、やはり禁煙できなかった患者さんです。
皮膚症状は手のひらからよくなる患者さんが多いようです。
手のひらがよくなっても足の裏がなかなか良くならない患者さんも数名います。
関節炎の症状は、ビオチン療法を始めると、1週間くらいで良くなる患者さんが多いようです。
喫煙を続けていたり、受動喫煙が避けられない患者さんは、ビオチン療法をしてもあまりよくなりません。
2012.10.15 カテゴリー|ビオチン療法
当院では、掌蹠膿疱症に対してビオチン療法を行っています。
https://nishibori-seikei.com/biotin/index.html
当院では皮膚科の診療も行っていますが、僕の専門は整形外科です。そんな僕がビオチン療法を始めたきっかけについて書きます。
10年以上前、まだ勤務医だったころ、掌蹠膿疱症性関節炎による動けないほどの激痛で、50代の女性が入院してきました。
掌蹠膿疱症性骨関節炎http://www.nmnweb.net/wadai/11.html
当時、掌蹠膿疱症性関節炎に対する有効な治療法は知られていなかったので、痛み止めの投与や、関節内ブロック、神経ブロックなどで対症的に治療を行っていましたが、激痛がなかなか良くなりませんでした。そんなある日、患者さんの息子さんがインターネットでビオチン療法について調べてきて、ビオチンを処方してほしいと頼んできました。
その時、僕にはビオチンに関する知識が全くなかったので、急いで医局に戻って、インターネットでビオチンについてググってみました。
そこには、ビオチンはビタミンの一種であること、副作用はないこと、東北大学の内科出身で秋田県の本庄第一病院に勤務している前橋賢先生が掌蹠膿疱症に対するビオチンの有効性を発見したことなどが書いてまりました。
「ビタミンで副作用もないみたいだから、まあいいか」と考え、その患者さんにビオチンを処方したところ、1週間くらいで激痛がなくなり、歩けるようになりました。
動けるようになったので、患者さんの希望もあり、秋田県の前橋先生に紹介状を書いて診察してもらいました。前橋先生からのお返事で、ビオチンのほかに整腸剤やビタミンCを処方したほうがよいことを教えていただきました。
以来、ビオチン療法を続けています。