2013.4.19 カテゴリー|医療に関する迷信
以前に『「五十肩はほっとけば治る」は迷信』という記事を書きました。
https://nishibori-seikei.com/blog/2012/11/post-129.html
ほっといても自然に五十肩が治る人がいることも確かです。しかし、ほっといたことによって悪化してしまう人がいることも事実です。
先日来院した40代の女性も、痛くなってすぐに治療を開始すれば、数回の治療で治った可能性が高いのに、4ヶ月くらいほっといたために悪化し、肩の周りの筋肉がカチカチに固まった状態でした。
こうなってしまうと治療が大変です。しばらく、注射と可動域訓練で治療をしてみますが、もしそれで良くならなければ手術をして関節の動きをよくしなければいけないかもしれません。
医師でもないのに、不適当なアドバイスをして、患者さんの具合が悪くなったら、それはもう立派な傷害罪です。先ほどの患者さんにも冗談交じりに、
「間違ったよけいなアドバイスをした人を、傷害罪で訴えてください。」
といったら、
「大勢いすぎて、訴えられません。」
と答えられてしまいました・・・・・・・・・・・・・・・
2013.4.19 カテゴリー|その他の治療について
当院では健康保険で、禁煙治療を受けることができます。
一度禁煙治療を受けて失敗しても、1年たてば2回目の禁煙治療を受けることができます。
当院で、2回目の禁煙治療を受けた患者さんの数は14例で成功は7例です。成功率は50%です。
1回目の禁煙治療の成功率は約60%なので、2回目は若干成功率が下がります。
性別では、男性の成功率が83%もあるのに対し、女性の成功率はたった25%です。
年齢別では、若い人ほど成功率が高い傾向がありました。
これは、男性より女性のほうがニコチンに対する依存度が強くなりやすく、また喫煙歴が長いほどニコチンに対する依存度が強くなるからだと思われます。
治療方法では、治療法を変える(例えば、チャンピックスからニコチンパッチ)より、前回と同じ治療法で再トライしたほうが成功率が高いことがわかりました。
女性は一度喫煙を始めると、なかなか止められないのです。最初から吸わないのが一番です。
2013.4.01 カテゴリー|その他の治療について
交通事故による痛みに対する治療は、基本的に事故の相手または自分の自動車保険から治療費が支払われるので、自己負担なしで受けられます。
交通事故では、6か月以上治療しても痛みがとれなければ、症状固定と診断され、自動車保険からの支払いは中止されます。
それ以後は、自分の健康保険(国保や社保)で治療を受けることになります。その場合、自己負担(1~3割)が必要になります。
自動車保険での治療が中止になった時点で、痛みなどの症状が強く残っていた場合、後遺症の申請をすることになります。
これまで交通事故で当院に通院していた患者さんで後遺障害の申請をした患者さんは14例です。
そのうち、自動車保険の治療が終了した後も、健康保険で治療に通院した患者さんは3例だけです。
3例のうち、2例は当院の近所の方です。2例とも、健康保険での治療を開始して2か月以内に治療を自己中断しています。
3例のうちの、残りの1例は、保険会社相手に裁判中の方です。
14例とも、後遺症申請をした時点では、強い痛みを訴えていました。強い痛みが残っているなら治療を、その後も続けているはずですが、裁判中の方を除くと全員、治療を中断してます。
なぜでしょう?
痛みは心と密接に関係しています。
自動車保険でタダで治療を受けているうちは、事故の被害者意識もあり、我慢できなかった痛みが、自分でお金を払って治すと思うと、我慢できるようになります。そのうち、だんだん痛みが気にならなくなってきて、いつの間にか痛みがなくなるのです。
交通事故による痛みは、ほとんどの場合、自動車保険の治療を中止するとよくなります。
2013.3.29 カテゴリー|その他の治療について
交通事故にあった後に、
「どこも痛くない。でも、後で後遺症が出ると困るから診察してください」
といって、整形外科を受診する患者さんがたくさんいます。
どこも痛くない人の、どこを診察したらいいのでしょう?
全身の関節の動きを確認して、全身の筋肉を触診して、全身のレントゲンを撮れというのでしょうか?
もし、事故によって、骨が折れていたり脱臼していたら、事故直後からすごく痛いはずです。
筋肉を損傷している場合でも、3日以内に痛みが出てくるはずです。
(それ以降に出た痛みは、事故とは無関係です。)
人間の体のどこかが損傷されれば、必ず痛みという危険信号を出します。
どこも痛くなければどこも悪くないのです。
どこも悪くなければ後遺症が出るはずありません。
交通事故にあった患者さんに、
「念のため病院で診察を受けてください」
と勧める馬鹿な保険会社や、おせっかいな素人がたくさんいますが、無視してください。
病院での診察は痛みが出てからで十分間に合います。
2013.3.26 カテゴリー|その他の治療について
13歳女性
8か月前から右手首の小指側に痛みが出現しました。5か月前に痛みがひどくなったため、某整形外科を受診しました。
そこで、TFCC損傷と診断され装具による外固定を受けていましたが、良くならないために当院を受診しました。
TFCC損傷じゃない可能性もあると考え、丹念に触診をしました。
TFCC部には圧痛を認めませんでしたが、尺側手根伸筋腱が通る腱鞘(第6コンパートメント)に圧痛を認めました。
TFCC損傷ではなく、腱鞘炎だったのです。
手首の小指側を痛がっている人には、この部位の腱鞘炎の方がけっこうたくさんいます。