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2013.1.10 カテゴリー|医療に関する迷信
手あれに対して、ハンドクリームは使ってはいけないと思います。
理由は,クリームの成分が界面活性剤だからです。界面活性剤,つまり中性洗剤と本質的に同じです。こんなものを皮膚に塗る方が異常です。この点,乳液も同様に界面活性剤を含み,同等に危険な物質でしょう。
クリームは水と油が溶け合ったものです。皮膚に塗るとスベスベするし,ツルツルになります。しかし,クリームを洗い落とすとなぜか皮膚はゴワゴワ,シワシワになっていませんか? これは恐らく,クリームに含まれる界面活性剤が皮膚の油を分解してしまったためです。皮膚の油(皮脂)は人間を感染から守ってくれている皮膚常在菌の生存になくてはならない栄養源です。それを洗い落とすのはとんでもない愚行です。
クリームに含まれる界面活性剤の疎水基は細胞膜の蛋白質に結合し,細胞膜を破壊します。皮膚科の教科書に「クリーム製剤は健常の皮膚にのみ用いること」と明記されているのは,健常の皮膚は角化層で守られているからクリームを塗っても大丈夫だよ,という意味でしょう。逆に言えば,角化層が正常でない皮膚(傷ついている皮膚,乾燥肌,アトピーの創部など)にクリームを塗ると,そこに含まれる界面活性剤が牙をむいて傷口に襲い掛かるわけです。
女性に手あれが多い理由は、女性が食器洗いや洗濯などで、男性より多く界面活性剤を含む洗剤を使う機会が多いからです。界面活性剤のせいで、手あれになったのに、同じ界面活性剤であるクリームで治療するなんて、火に油を注ぐのと同じことです。
ハンドクリームがどのくらい強力な界面活性剤かを、簡単に実験する方法があります。
手に油性ペンで落書きをしてください。油性ペンの落書きは石鹸やハンドソープではなかなか消えません。そこにハンドクリームを塗ってみてください。魔法のように油性ペンの落書きが消えてしまいます。ハンドクリームは石鹸や油性ペンより強力な界面活性剤なのです。こんな恐ろしいものを塗ってはいけません。
「手あれにはハンドクリームがきく」というのは迷信です。
2013.1.09 カテゴリー|湿潤療法
冬になると空気が乾燥するため、皮膚も乾燥してカサカサになり痒くなります。特に高齢者は皮膚の乾燥を防いでくれる皮膚の油(皮脂)の分泌が少ないためひどくなります。
この乾燥肌も手荒れと同様にワセリンを塗って皮膚の乾燥を防ぐことで治すことができます。起床時とお風呂上りなどに、乾燥している部分にワセリンをたっぷり塗りこんでください。ベタベタして気持ち悪い時は、バスタオルなどで拭きとってしまっても大丈夫です。
また、お風呂で体を洗う時に石鹸やボディーソープつかわないようにしましょう。
垢などの体の汚れは湯船につかるだけで90%以上落ちます。
ボディーソープなどで体を洗うと大切な皮膚の油(皮脂)が洗い落とされてしまうため皮膚がより乾燥するようになります。
石鹸は陰部や腋の下など臭いの強い部分のみに使用して、後の部分はタオルでやさしく拭くだけにしましょう。
2013.1.09 カテゴリー|湿潤療法
踵のひび割れは、厚くなった角質が乾燥により硬くなり割れてしまうことが原因です。
前回のブログで紹介した「手あれの治療」と同様に、ワセリンを1日数回塗りこむことでよくなります。
手あれの治療
https://nishibori-seikei.com/blog/2013/01/post-164.html
角質が、すごく固くなっていて、ひびわれもひどい場合は、踵にワセリンを塗った後に「穴あきポリ袋」を適度な大きさに切ったものを貼り付けて、その上から靴下をはいて、半日ぐらいそのままにしておくと、かなり柔らかくなります。
2013.1.07 カテゴリー|湿潤療法
当院でお勧めしている手あれの治療法です。
(すべて夏井先生の受け売りです。)
① 小さじ半分くらいの白色ワセリンを両手によく揉み込む。体温で溶けて柔らかくなる感触を楽しむように時間をかけて,満遍なく揉み込みましょう。荒れている部分には特に念入りに。
② 乾いたペーパータオルなどでべたつきが気にならなくなるまでふき取ります。「車のワックスがけ」と同じで,ゴシゴシと拭き取りましょう。
これでおしまいです。2分もあれば完了です。皮膚の亀裂や皺は油の膜で覆われるため,手洗いによる手荒れを防いでくれます。数日で手の状態が変わってきて,ツルツルの手になるはずです。
これを一日何度か行います。例えば水仕事が多い人なら,「朝起きてすぐ(仕事を始める前)」,「昼食後」,「夕方(仕事が終わったとき)」,「お風呂上り」,「就寝前」に行ったほうがいいと思います。もちろん,これでもまだ皮膚が荒れている場合には,ワセリンを塗る回数を増やして対応して大丈夫です。ワセリン自体,極めて安全な物質だからです。しかも,とても安価です。
なお,肌が弱い人,敏感肌の人は柔らかい材質で繊維が残らない紙でゴシゴシしてください。
ハンドクリームや尿素入り軟膏は手あれを悪化させるので使用しないでください。
2013.1.07 カテゴリー|トリガーポイント注射
67歳の男性
2か月くらい前から、右ひざの裏(膝窩部)に痛みが少しありました。
1月5日に踏み台に上がろうと右足を高く上げたときに、激痛が走り、それから、右ひざに体重をかけると痛みが走り、歩けなくなりました。
1月6日に当院を受診しました。レントゲン上に異常はなく、右膝窩筋にトリガーポイントを認めました。
トリガーポイント注射を行ったところ翌日には、多少痛みはあるものの、普通に歩けるようになりました。
この患者さんは、膝窩筋の筋筋膜性疼痛症候群(MPS)でした。
もし、MPSについて知らない整形外科医が診察していたら、レントゲンで異常がないからMRIをとり、MRIで痛みとは関係がない半月板損傷が見つかり、半月板損傷と診断され、手術を受けるように勧められていたかもしれません。