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2017.8.09 カテゴリー|トリガーポイント注射
最近テレビなどでトリガーポイント注射が紹介されることが多くなってきました。
テレビを見て、ネットでググって当院を受診される患者さんも増えてきました。
ちなみに、以前から当院でトリガーポイント注射を受けている患者に、
「この間テレビでこの注射のことやっでたわ、先生とおなじこと言っでた。」
と言われたときは、
「そうだっぺ。テレビがやっと俺に追いついてきたんだわ。」
と答えてます。
でも、実はトリガーポイント注射にも、考え方ややり方の違いによっていくつかの流派(?)に分かれています。
私がやっているのは、トリガーポイント注射のパイオニアであられる石川県小松市の加茂整形外科の加茂淳先生と同じやり方のトリガーポイント注射です。
加茂式トリガーポイント注射はシンプルで、圧痛点(押して痛いところ)に細い針で局所麻酔薬のネオビタカインを注射するだけです。
圧痛点は自分でも見つけることが可能なので、私の場合は患者さんに自分で圧痛点を探してもらって印をつけてきてもらうこともあります。
注射針の先端が筋肉に届いているかどうかは、解剖学的知識と筋膜を貫いたときに感じるプツッというの感覚で決めます。
注射針の深さを毎回エコーで確認している流派の先生もいますが、そんなこといちいちやっていたら、1人あたり10分以上かかっちゃうし、30カ所くらい打つ患者さんだったら、その人だけで1時間くらいかかっちゃう。
当院にもエコーはありますが、時間的に無理だし、患者さんに余計な金銭的負担がかかるし、何より面倒くさいからやりません。
トリガーポイント注射から派生した治療で筋膜リリースというものがあります。痛みの原因は筋膜の癒着であり、エコーをみながら筋膜の隙間に生理食塩水を注入して痛みを取る方法ですが、時間はかかるし健康保険が効かないしそもそも筋膜の癒着って話があやしいのでやりません。
当院のトリガーポイント注射は加茂式です。
関連ブログ 筋膜リリースってどうよ
2017.8.07 カテゴリー|湿潤療法
いま、湿潤療法の考案者である夏井先生のサイトで、湿潤療法に「夏井式、夏井法、夏井流」など考案者である夏井先生の名前をつけることの是非について議論されています。
先日、私が夏井先生に送った意見もサイトに載せて頂きました。
まだ、夏井式湿潤療法という名前にするかどうか決まっていませんが、私は勝手に夏井式湿潤療法をしていると宣言いたします。
何せ私は茨城県の夏井式湿潤療法のエキスパートですから(笑)
2017.8.01 カテゴリー|その他
今月行われる茨県知事選挙の有力候補である橋本現知事と大井川かずひこ候補が公約を発表しました。
残念ながら両候補とも受動喫煙防止については全く触れていません。
橋本現知事は「健康長寿日本一、寝たきりゼロを目指すとともに、認知症対策を勧めます」
大井川候補は「健康長寿日本一を目指す」
とか言ってるくせに、健康長寿の一番の敵である受動喫煙に対しては何一つ公約に書いていません。
受動喫煙で認知症が3割も増えるのに無視しています。
茨城県の葉たばこ農家は平成15年には719戸いましたが、平成24年の時点で102戸しかいません。
10年で7分の1に減っていますので、今は100戸を切っているでしょう。
この100戸足らずの葉たばこ農家に気兼ねして、県民の特に子供たちの健康を害する受動喫煙の防止を公約に掲げなかったのだとしたら、非常に残念な気持ちです。
いずれにしろ、どちらに投票しても受動喫煙防止は進みそうにありません。
2年後には国体、3年後にはオリンピック(カシマスタジアムがオリンピック会場になっています)がくるのに、これでいいのでしょうか?
日本中や世界中に恥をさらさなければいいのですが・・・・
きたる知事選挙では投票用紙に「どっちもダメ」と書いて投票しようかと思います。
橋本まさる候補公約
http://www.h-masaru.com/mani/img/kouyaku_ura.pdf
大井川かずひこ候補公約
2017.7.28 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
80代の女性
認知症があり施設に入所中
椅子から転落して受傷しました。
初診時のレントゲンで左上腕骨外科頚骨折を認めました。
転位も軽かったので、手つり固定だけで保存的に治療することにしました。
しかし、認知症があるため、手つり固定はすぐに外してしまったようです。
2週間後のレントゲンで骨折は大きく転位してしまいました。
ここまでずれちゃうと普通はもうくっつかないので、手術の適応ですが、以下のように家族に説明して納得してもらいました。
「ここまでずれちゃうと骨はくっつかないので普通は手術が必要です。しかし、高齢だし、認知症があるので手術は危険です。骨がくっつかないと腕は上がらなくなりますが、時間が経てば折れた骨の角が丸くなって痛みは無くなります。なのでこのまま様子をみましょう。」
さらに2週間後、再診してもらいました。
施設の職員の話では、ほとんど痛がらなくなったというのです。
レントゲンを撮ると、なんと仮骨ができて骨がくっついていました。
びっくりです!
曲がってくっついたので、左肩は70度くらいまでしか上がりませんが、元々食事や着替えは全介助だったので特に支障はないようです。
でも、若くて元気な人は手術しなきゃダメですよ。
2017.7.27 カテゴリー|トリガーポイント注射
50代の女性
10日前から左背部の痛みと左腕のしびれが出現して当院を受診しました。
話を聞いただけで肩甲骨周囲の筋痛症と診断できたので、触診をすると思った通り下図の部位にトリガーポイントを認めました。
この患者さんのお父さんが、当院でいつもトリガーポイント注射を受けているので、
「肩甲骨周囲の筋肉が攣ったための痛みとしびれです。注射をすれば良くなります。」
と言う説明にすぐに納得してくれたので、すかさずトリガーポイント注射を打ちました。
診察室に入って出るまで2分もかかっていないと思います。
初診料とあわせても自己負担は1510円です。
筋痛症について知る前だったら、症状を聞いて頚椎ヘルニアを疑いました。
10分以上かけて頚椎の理学所見と神経所見をとりレントゲンを撮ったでしょう。
レントゲンに異常がなければ、後日MRIをとったと思います。
MRIにも異常がなければ原因不明なので、ロキソニンとメチコバールと湿布を出して誤魔化すか、精神科に紹介していたでしょう。
MRIで頚椎ヘルニアが見つかったら、(本当は筋痛症だから症状と関係ないのに)手術を勧めていたでしょう。
診断がつくまで何日もかかるし、治療費も10倍以上かかったと思います。手術したらその数倍かかりますね。
時間とお金をかけても診断がつかなければ、あるいは誤診されていれば、治療もうまくいかず、患者さんにとっては踏んだり蹴ったりです。
もちろん、トリガーポイント注射を打っても良くならないこともあります。
経過を見る中で、レッドサイン(悪性腫瘍、感染症、骨折、内科的疾患)の可能性を疑った場合は、レントゲン検査や血液検査、MRIも必要になります。
でも、そういうケースはごく稀です。
筋痛症(MPS)を知っていると診察と診療は早く安くできます。