HOME > 院長BLOG

院長BLOG

痛みは気から(ヒートテックでしびれが改善?)

2016.2.15 カテゴリー|その他

 80代の男性

 10年以上前から腰痛と両下肢のしびれがあり、某総合病院で腰椎の手術を受けましたが、症状は改善しませんでした。

 半年ほど前に当院に紹介されました。

 思い込みが激しい人で、筋肉が原因の痛みとしびれだと説明しても、全然納得してくれませんでした。それもあってか、トリガーポイント注射をしてもほとんど効果がありませんでした。

 

 しかし、先日受診したときに、はじめて足のしびれが少し楽になったと言ってきました。

 理由を尋ねると

「ためしてガッテンで、しびれは血の巡りが悪いせいだからタイツをはけば良くなると言っていた。それでタイツをはいたら、しびれが楽になった。」

 と答えてくれました。

 

 早速、「ためしてガッテン」でググってみました。どうやら、この番組を見たようです。

足の疲れ&むくみ撃退 一番効くのはコレだ!

http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20160127.html

 あれっ、これって、まとめると「下肢静脈瘤の症状は弾性ストッキングで楽になる」って話だよね。

 

 この患者さんは下肢静脈瘤じゃないし、はいてるタイツを見せてもらったら、弾性ストッキングじゃなくて、ヒートテックのタイツだし・・・・・・

 

 ヒートテックで暖めたから良くなったのかもしれないけど、一番は「テレビが言ってるんだから、良くなるはずだ」という思い込みが症状を改善したんだと思います。

 まあ、症状が良くなればなんだっていいんだけどね。

 

 しかし、私の話には全然ガッテンしてくれなかったのに、テレビの話にはすぐにガッテンしたんだなぁ。テレビってすごいな。

医師から「一生歩けない」と宣告。武井壮が1ヶ月で自ら完治させた驚きの方法とは?

2016.2.15 カテゴリー|その他

今日はこの記事の紹介

 

医師から「一生歩けない」と宣告。武井壮が1ヶ月で自ら完治させた驚きの方法とは?

http://89323952.mastv.jp/archives/3997

 あまり知られていませんが、武井さんは十種競技の選手時代に大怪我をして下半身不随になり、医者から「一生歩けない」と宣告されたそうです。そんな衝撃的な宣告を受けながらも、武井さんは見事に自力で完治させたのです。このエピソードはあるテレビ番組で武井さんが語ったのですが、完治させた方法に思わず驚愕してしまいます。
 
 武井壮が行った治療法とは?
 
 まず彼は、病院のベッドに寝ながら「骨の図鑑書」を読んで、骨の仕組みを視覚的に勉強したのだそうです。そうして、図鑑に載っている骨を見ながら
 
 ”自分の骨は、こうなるだろう”
 
 そう自らに言い聞かせ、自分の骨が治るイメージトレーニングを行いました。
 
 武井さんは「ストレスで胃潰瘍になるくらいだから逆も絶対イケる!」と本気で信じていたそうです。そしてイメージした通りに下半身を動かそうとしたのです。
 
 そんなイメージトレーニングを続けることわずか1ヶ月…
 
 本当に骨が元通りに治りました。下半身不随をわずか1ヶ月で治してしまうなんて、信じられないですよね。その後武井さんは陸上競技・十種競技元日本チャンピオンになったのです。皆さんもご存知のように、現在も後遺症など全くなくご活躍されています。

 イメージすることで、怪我が早く治るという方法を否定しませんし、武井さんが百獣の王であることも否定しませんが、「元々、1ヶ月くらいで治る怪我だった」という可能性も否定できません。
 
 怪我をした患者さん。特に脊髄損傷などで麻痺が出ている患者さんの場合、自然と治るか、一生麻痺が残るかは経過を見なければわかりません。
 
 その場合、医師は(後から訴えられないために)もっとも悪い予後を患者さんに伝えることが多いです。
 
 だから、武井さん場合も「(もしかしたら)一生歩けない(こともあるかも)」くらいの怪我だった可能性があると思います。
 
 そうは言っても、武井さんの「絶対治すんだ!」という超前向きな気持ちが、怪我を早く治したことは間違いないと思いますけどね。

その腰・肩・ひざの痛みの治療はまちがっている!加茂淳

2016.2.08 カテゴリー|トリガーポイント注射

 トリガーポイント注射の第一人者、加茂整形外科院長加茂淳先生の新書を読みました。

 加茂先生が、ご自身のウェブサイトに書いていることをまとめたものなので、そのサイトをいつも眺めている私にとっては新しい知識はあまりありませんでしたが、これからMPSやトリガーポイント注射について知りたいという人には、すごくわかりやすくまとまっている本だと思います。

 慢性の痛みで悩んでいる方は、是非読んでみてください。

抗うつ薬も使いよう

2016.2.01 カテゴリー|トリガーポイント注射

 60代の女性

 30年前から腰痛があり、2年前から両ふくらはぎからつま先にかけての痛みとしびれが出現しました。近所の整形外科医院や総合病院を受診して投薬治療を受けていましたが、痛みが取れないため、当院を受診しました。

 

 腰、ふくらはぎ、足背部(第1,2中足骨の間)にトリガーポイントを認めたので、トリガーポイント注射をしました。注射や、痛み止めの座薬(ボルタレン座薬)で痛みは少し改善しましたが、夜中に出現する右つま先の激痛はとれませんでした。

 

 1ヶ月ほどしたときに、付き添いの娘さんが、「診察室では元気に振る舞っているけど、家ではいつも死にたいと泣いている」と教えてくれました。

 

 痛みによる不安から「うつ状態」になってしまったと診断して、すぐに抗うつ薬のドグマチールを処方しました。ドグマチールは著効して、すぐに精神的に楽になり、痛みもどんどん改善して、座薬をほとんど使わなくても生活できるようになりました。

 

 抗うつ薬の使いすぎがかえってうつ病患者を増やしているという意見もあります。

http://www.3houki.jp/hihan.html

 私も、精神科から20種類近くの薬を処方されている患者さんを診ると、「薬のせいでよけい具合が悪くなってるんじゃないかな」と思ったりすることもあります。

 

 でも、この患者さんには抗うつ薬が非常に良く効きました。「馬鹿とハサミは使いよう」といいますが、「抗うつ薬も使いよう」なんだと思います。

当院におけるテレパラチド週一回製剤の使用経験 ~骨折抑制作用と疼痛改善作用について~その③

2016.1.26 カテゴリー|その他の治療について

痛みの経過

 テリボン投与開始、1週間後と4週間後の痛みの経過です。

痛みの経過.png

著効例の検討

 1週間後に「だいぶ良くなった」または「痛くない」と答えた患者さんと、4週間後に「痛くない」と答えた患者さんは、圧迫骨折の自然経過より早く痛みが軽減しているので著効例としました。このような著効例は31例で全体の約4割(39.2%)でした。

 しかし、もしかすると「痛みが良くなった」と答えた後で治療を自己中断した患者さんも、痛みがなくなったから治療を中断した可能性が高いのではないかと思われます。このような患者さんも著効例に加えると、著効例は39例で全体の約半分(49.4%)になります。

 胸腰椎圧迫骨折の患者さんにテリボンを投与すると、約半分の患者さんが自然経過より早く痛みが楽になることが分かりました。

 

著効例とそれ以外の症例の比較

比較.png

 著効例とそれ以外の症例を比較すると、平均年齢、男女比、外因の有無、骨密度には大きな違いを認めませんでした。

 痛みが出てからテリボンを始める期間が1週間以内では43例中26例(60.5%)に著効したのに対し、テリボンを始めるまでの期間が1か月以上だと13例中2例(15.4%)にしか著効しませんでした。

 また、骨折部位では胸腰椎移行部の骨折では36例中24例(66.7%)が著効したのに対して、その他の部位の骨折では28例中4例(14.3%)しか著効しませんでした。

 表にはありませんが、痛みが出てから1週間以内かつ胸腰椎移行部の圧迫骨折では24例中19例(79.2%)で著効したのに対し、痛みが出てから1か月以上で胸腰椎移行部以外の圧迫骨折では著効した症例は2例中0例(0%)でした。

 以上のことからテリボン皮下注が胸腰椎圧迫骨折の痛みに著効しやすい症例は、「痛みが出てからテリボンを投与するまでの期間が短い症例」かつ「胸腰椎移行部(第11胸椎から第2胸椎)の圧迫骨折の症例」であろうと推察できます。

 
考察
 テリボン皮下注射で圧迫骨折の痛みを早くよくなる理由は、テリボンを打つことで、骨折部の骨形成が促進され、自然経過より骨折が早く癒合するため、骨折部の不安定性が無くなるので痛みが無くなると考えられます。
 骨折から1か月以上経過していると、自然経過でもすでに骨癒合していて、激痛ではなく、重苦しい痛みのことが多い。この時期の痛みは、骨折の不安定性が原因ではなく骨折が変形癒合したことで、脊柱起立筋が伸張され血流が悪くなることが原因と思われます。そのため、テリボンを打っても骨折の変形癒合が治るわけじゃないから効きにくいのだろうと推察できます。
 だから、痛みが出て1週間以内の新鮮な胸腰椎圧迫骨折のほうがテリボン皮下注射が効きやすいのであろうと推察します。
 
まとめ
1.テリボン皮下注は圧迫骨折症例の再骨折を抑制する
2.圧迫骨折による腰痛に対して、テリボン皮下注が劇的に効くことがある
3・著効する確率は、約5割
4・罹病期間が短く、胸腰椎移行部の圧迫骨折の患者さんに効きやすい傾向があった
5・テリボンが骨癒合を促進し、骨折の不安定性を解消するため痛みが早く消えると思われる
 
 
 

最近の記事

カテゴリー

月別アーカイブ