2013.1.22 カテゴリー|その他の治療について
55歳女性
1か月前から左肩がだんだん痛くなってきたため、当院を受診しました。
上の写真が、その時のレントゲンです。肩関節の上のほうに白い塊が写っています。これは肩の中にある腱(腱板や上腕二頭筋腱)の周囲にたまったリン酸カルシウムです。
画像所見、臨床所見より石灰沈着性腱板炎と診断しました
石灰沈着性腱板炎
http://www.joa.or.jp/jp/public/sick/condition/calcific_tendinitis.html
40~50歳代の女性に多くみられます。肩腱板内に沈着したリン酸カルシウム結晶によって急性の炎症が生じる事によって起こる肩の疼痛・運動制限です。
カルシウム結晶が沈着する理由はよくわかっていません。
カルシウム結晶が溜まって炎症を起こしている部分には、強い圧痛があるので、そこに局所麻酔薬と抗炎症効果が高いステロイドを混ぜた注射をしました。
翌日には痛みはかなり良くなりました。
リンク先にも書いてありますが、この疾患の治療として太い注射針を刺して中のカルシウムを吸引する方法がよく行われています。しかし、当院ではこの石灰吸引をほとんど行ません。理由は、治療が痛い割には痛みを減らす効果があまりないからです。
下の写真は、半年後のレントゲン写真です。カルシウム結晶が自然と消えています。
カルシウム結晶は自然と消えることが多いので、痛い思いをしてまで抜く必要性はあまり高くないとおもいます。
2013.1.18 カテゴリー|その他の治療について
80歳女性
3年前から左手にしびれと痛みがあり、近所の整形外科で頸椎が悪いと言われ、牽引や電気治療を受けていましたが、全然よくならないので、5か月前に当院を受診しました。
診察の結果、母指球筋の萎縮もある典型的な手根管症候群でした。
ケナコルトによる正中神経ブロックで、しびれや痛みはかなり改善しましたが、本人と家族の希望もあり、手術をすることになりました。
手術は、外来で局所麻酔で行いました。
手のひらに約2㎝の切開を加えて、皮下組織を分け、正中神経を圧迫している横手根靭帯を切開しました。
神経の圧迫がなくなったことを肉眼で確認し、創の中にドレーンを留置して皮膚を縫合して終了しました。
手術時間は約10分です。上の写真は手術翌日の創の状態です。
経過は良好です。
2013.1.18 カテゴリー|その他の治療について
膝や腰が痛いのに、痛みを我慢してまでウォーキングをしている患者さんがたくさんいます。
このような患者さんに
「痛みがなくなるまでウォーキングは控えてください」と言うと、
『えっ何言ってのこいつ』という顔をされます。
マスコミに出てくる偉い先生たちが、馬鹿の一つ覚えのようにウォーキングを勧めるものだから、
ウォーキングをしていれば病気にならない
ウォーキングをしないと病気になる(歩けなくなる)
と思い込んでいるのだろうと思います。
このような患者さんを僕は心の中で「ウォーキングをしないと死んじゃう病」と呼んでいます。
以前にもブログに書きましたが、ウォーキングには皆さんが期待するほどのダイエット効果はなく、また血糖値を下げる効果もほとんどありません。
また、ウォーキング程度の軽い負荷の運動では筋力も強化されません。
ウォーキングには痛みを我慢してまでやるほどの効果はないのです。
「ウォーキングはダイエットにいい」は迷信
https://nishibori-seikei.com/blog/2012/11/post-135.html
「糖尿病の人は痛みを我慢してもウォーキングをしたほうがいい」は迷信
https://nishibori-seikei.com/blog/2012/12/post-137.html
ダイエットも血糖値も筋力アップも、毎日1時間ウォーキングをするより、週1回15分だけ加圧トレーニングをしたほうがずっと効果があります。
2013.1.18 カテゴリー|その他
時々、患者さんから
「先生の顔を見ただけで元気になっちゃう」とか
「先生の顔を見ただけで痛くなくなる」とか言われます。
これって、医師にとって最高の褒め言葉ですよね。
そんな時、僕は、
「そんなら、俺のブロマイドでも部屋に飾っとくけ?」
と返します。
2013.1.17 カテゴリー|ビオチン療法
33歳の女性
17歳のころから掌蹠膿疱症にかかり、今まで5軒の皮膚科を受診し、ステロイド外用薬などを処方されていましたが、症状が改善せず。当院を受診しました。
当院で、ビオチン療法を始めて2か月で、足底の皮膚炎はかなり改善し、手の皮膚炎も少し改善しました。
掌蹠膿疱症は喫煙や抗生剤の長期投与などで腸内細菌が乱れることが原因で発症します。
しかし、この患者さんは生まれてこの方一度も喫煙をしたことがありませんし、抗生剤の長期投与を受けたこともなく、便秘や下痢もありませんでした。
では、なぜ掌蹠膿疱症になってしまったのでしょう。
実は、この患者さん、17歳で発症する前に、数か月バイトをしていたのですが、その職場がタバコの煙がモウモウとたちこめる職場だったそうです。
その時の受動喫煙が原因で掌蹠膿疱症になり、15年以上も苦しんでいたのです。
この患者さんにとっては、タバコの煙が毒ガスと同じくらい有害だったのです。
喫煙者が、肺がんや喉頭がんなどになって、早死にするのは自業自得なので、別にかまいませんが、タバコの煙は周りの人の体にも悪影響を与えていることを、よくよく自覚してもらいたいです。