2012.6.27 カテゴリー|湿潤療法
トビヒの医学的な正式名称は『伝染性膿痂疹』です。黄色ぶどう球菌などの細菌が原因です。膿(うみ)をもった水ぶくれやそれがペロッとむけていたり、黄褐色のかさぶたが出来たりして、あちこちに散らばって発生します。かかるのは十歳くらいまでの子供だけで成人では稀です。虫さされ、擦り傷、あせも、引っかき傷などから細菌が皮膚に入り込みトビヒになります。暑い夏に圧倒的に多く見られます。すぐに治るはずのケガや虫さされのあとがいつまでもジクジクとして乾かない時は要注意です。
これまでトビヒに対して行われていた治療法は、細菌を殺すために消毒して、抗生剤入りの軟膏を塗って、ガーゼなどで乾かす方法が主流でしたが、なかなか良くならずかえって全身に広がってしまったりすることがありました。
当院は開業時から、擦り傷やヤケドなどのキズを「湿潤療法」で治療しています。「湿潤療法」は、キズを消毒しない、キズを乾かさないことにより、痛みがなく、早く、きれいに治す新しいキズの治療法です。トビヒもこの「湿潤療法」を応用することで、従来の方法より早く治すことができます。具体的な方法を以下に記します。
① トビヒは消毒せず、お風呂でよく洗い、かさぶたも出来るだけ取り除く。
② トビヒの部分をプラスモイスト(うるおい療法のために開発された特殊なシート)で被う。
③ 抗生物質の内服薬を飲んでもらう。
これだけで、たいてい3日以内に治ります。トビヒかも。と思ったら、当院にご相談ください。
2012.6.26 カテゴリー|湿潤療法
下校中に転んで右目の周りをすりむいた6歳の女の子が受診しました。
受傷後3日たっていたので、擦り傷は瘡蓋になっています。
瘡蓋を剥がさず、そのままその上からハイドロコロイドを貼って、湿潤療法を始めました。
2日後にハイドロコロイドを剥がしたらきれいに治っていました。
日焼けをすると色素沈着が残る可能性がるので、遮光テープを貼って、日焼けを予防するように説明しました。
この子の夢は「家の庭にジャスコをつくること」だそうです。
大きな夢ですね。
2012.6.25 カテゴリー|湿潤療法
8歳の元気な女の子が、坂道で転んで、おでこと鼻と左目の周りをすりむいて当院を受診しました。
キシロカインゼリーで鏡面麻酔をしてから、赤ちゃん用のおしりふきで、創をきれいに拭って、ハイドロコロイドを貼りました。
2日間は通院してもらい。創の状態が落ち着いたので、その後は自宅でハイドロコロイドの交換をしてもらいました。
6日後にはきれいに上皮化しました。
しかし、この上皮化した皮膚を日焼けさせてしまうと、黒く色素沈着が残ってしまうので、下の写真のように遮光テープを貼ってもらって、半年間は日焼けさせないように注意するように説明しました。
ただ、心配なのは、この子がキャンディキャンディクラスのお転婆だということです。
真夏の太陽のもと遊びまわって、気が付いたらテープがはがれていて真っ黒に日焼けしちゃうんじゃないかな?大丈夫かな?
2012.6.22 カテゴリー|湿潤療法
「新しい創傷治療」のホームページでミズイボの治療について紹介されていました。
http://www.wound-treatment.jp/title_new.htm
要点をまとめると
①ミズイボはとっても、とらなくても半年から1年半くらいで自然と治るから、痛い思いをさせてまで取る必要はない。
②ミズイボは接触感染で伝染するので、一緒にプールに入っただけではうつらない。バスタオルやビート板などを共用するとうつる可能性がある。
③ミズイボを掻いて、湿疹やトビヒになった場合は、湿疹やトビヒに対する治療を行う必要がある。
以上から、当院にミズイボの患者さんが来た場合、
とってもとらなくても自然と治るし、プールに入っても大丈夫だから、痛い思いをしてまで取らなくてもいいことを説明します。
それでも、保護者がとることを希望した場合は、スピール膏を1日貼ってふやかしてからとります。
ミズイボ周囲の湿疹やトビヒに対しては湿潤療法を応用した方法で治療します。
2012.6.11 カテゴリー|湿潤療法
当院にずっと通院している女性の息子さんが転倒し、膝をすりむいたそうです。
近くの整形外科を受診したところ、消毒されガーゼを当てられたそうです。
本人は遠くて当院には通えないけど、湿潤療法で治療したいと希望してきました。
写メでキズを確認したところ、比較的きれいな擦り傷だったので、お母さんに処置のやり方を教えて、プラスモイストを購入してもらいました。
処置のやり方
①お風呂に入れてキズの周りを洗う
②きれいなタオルで水気をふき取ってもらう。
③適度な大きさにプラスモイストを切って、創にはってもらう。
④その際、消毒は決してしないこと
⑤痛みが出てきたら速やかに医療機関を受診すること。(痛みは感染のサインです。感染した場合、抗生剤の内服などの治療が必要になります。)
プラスモイストは夏井睦先生が開発した創傷被覆材です。値段も安く扱いも簡単です。
浅い擦り傷程度なら、これがあれば自分で湿潤療法で治療することができます。
もしもの時のために1枚くらい常備しておくといいかもしれません。
プラスモイストのHP
http://www.zuiko-medical.co.jp/producttop.html
プラスモイストを販売している薬局
http://www.wound-treatment.jp/dr/plus.htm