HOME > 院長BLOG > トリガーポイント注射

院長BLOG

嘘つくわけないじゃん。

2014.2.23 カテゴリー|トリガーポイント注射

60代の女性

 3か月ほど前から、右臀部痛があり、昨日急に痛みがひどくなったため、当院を受診しました。診察の結果、右臀部の筋筋膜性疼痛症候群でしたので、いつもと同じように説明しました。

「右のお尻にある筋肉が、疲労などが原因で緊張しているための痛みです。緊張している筋肉に注射をして、筋肉の緊張を止めてしまうトリガーポイント注射が一番効きます。注射するほど痛くないというなら、お薬で様子を見て治らなかったら注射でもいいですよ。」

「注射、痛いんじゃないの?」

「いや、そんなに痛くはないですよ。」

「嘘つけ!」

 

 

 

ちょっとカチンときちゃいました。

「なんで、初めて会ったばかりのあんたに、嘘つき呼ばわりされなきゃならないんだ!俺があんたに嘘をついてまで注射して何の得があるというんだ!」

と怒鳴ってやりたい衝動に駆られましたが、ぐっとがまんして、

「嘘だと思うなら、注射はやりません。お薬だけで様子を見てください。」

と説明して、お帰りいただきました。

 

私自身、腰痛持ちなので、トリガーポイント注射を何度も受けていて、それほど痛くないことを知っています。だから「そんなに痛くない」と自信を持って説明できます。逆に、手の腱鞘炎(ばね指)の注射は非常に痛いので、そういう注射の時は「すごく痛い注射です。」と正直に説明しています。痛みの治療においては、医師と患者さんの間に信頼関係を築くことが最も大切です。だから嘘はつきません。しかし、この方のように最初から医者を嘘つき呼ばわりするような患者さんと信頼関係を気づくことはかなり難しいので、治療もうまくいきません。

なんでも頸椎のせいにしちゃダメだよ

2014.2.19 カテゴリー|トリガーポイント注射

65歳男性

 犬の散歩中に、急に犬がダッシュして右腕を引っ張られてから、右肩から肘、手にかけての痛みとしびれが出現しました。痛みのため夜寝ることも困難になり、また腕を下げているだけで重苦しい痛みとしびれが出るようになりました。近くの整形外科を受診して、頸椎から来ていると診断され、ロルカム(痛み止め)とメチコバール(ビタミンB12)が処方され、頸椎牽引と温熱電気療法に通いましたが、ぜんぜんよくならなかったため、10日後に当院を受診しました。

 

10248.jpg

 図の部位にトリガーポイントを認めたので、トリガーポイント注射を行いました。

 1回目の注射で夜眠れるようになりました。

 2回目の注射で肩の痛みが消えました。

 3回目の注射で肘の痛みが消え、手のしびれがわずかに残っている程度まで回復しました。

 

 犬に腕を引っ張られて、肩や肘周辺の筋肉を損傷し、トリガーポイントが出来てしまったのです。頸椎は関係ありません。肩から腕や手の痛みやしびれをなんでもかんでも頸椎のせいにしちゃダメですよ。

 

画像所見・神経所見に異常がないからと言って痛みがないとは言えない

2014.2.07 カテゴリー|トリガーポイント注射

40代の女性

 交通事故に遭い、首と背中、右肩から右手にかけての痛みとしびれがあり、当院に通院していました。半年間治療をしましたが、強い痛みが残ったため、後遺障害の申請をしました。しかし、「画像所見・神経所見に異常がない」という理由で、後遺症として認められませんでした。患者さんはその判断に不服だったため、弁護士をたてて保険会社を相手に裁判を起こしました。その際、私に依頼があり意見書を書きましたが、なぜか取りに来てくれなかったので、もったいないからここに載せます。


 平成〇年〇月〇日に発行されたMさんに対する後遺障害の結果について反論させていただきます。要するに、画像所見や神経所見などの客観的証拠がないため、後遺障害には当たらないと結論されたようですが、随分と古い医学常識を基にした判断で、正直驚きました。

 まず、画像所見や神経所見が客観的証拠といえるのかどうかについて検証してみます。神経学所見で、真に客観的所見といえるのは深部腱反射だけです。運動麻痺や、知覚異常に関しては、所見をとる際に患者本人に嘘の演技をされてしまっては、それを見抜く方法がないため、全くあてになりません。運動麻痺や知覚異常の有無は客観的証拠とはいえません。

  画像所見についてですが、画像所見に異常がないのに強い痛みを訴えている患者さんがたくさんいることは、臨床医なら誰でも知っていることです。たとえば、腰痛の患者さんの85%は画像所見に異常がないことが分かっています。これらの画像所見に異常がない患者さんは、痛くないのに痛いと嘘をついているのでしょうか?日本人の9割は一生のうち一度は腰痛になるといわれています。1億2000万人×9割×85%=9180万人もの人が嘘をついているというのでしょうか?そんなはずありません。肩こりの患者さんも五十肩の患者さんもテニス肘の患者さんもほとんどの場合が画像所見に異常を認めません。画像所見が痛みの客観的証拠になる患者さんは、痛みを訴える患者さんのごく一部でしかありません。それでも、画像所見に異常がないから後遺障害に当たらないといえるのでしょうか?これらの画像所見に異常がない患者さんの痛みの原因は、骨や軟骨の異常ではなく筋肉に出来たトリガーポイントです。トリガーポイントとは筋線維の一部が痙攣を起こしてシコリとなっている部分で、強い圧痛を認めます。スポーツ外傷や交通事故などで、急激に強い力が加わったときや、繰り返し無理な負担がかかったときなどに出来ます。このトリガーポイントが原因で痛みが出る病気が、筋筋膜性疼痛症候群です。トリガーポイントが出来た筋肉に力を入れると痛みが出るため、無意識に力を入れないようになり、筋力低下を起こします。またトリガーポイントが出来ると、そこに関連した部位に痛みやしびれが出ます。たとえば、棘下筋にトリガーポイントが出来ると、肩から腕から手にかけて痺れが出ます。

  Mさんの場合、当て逃げした車を追いかけて、サイドミラーをつかんだときに急発進されたため、首と前腕と肩の筋肉が急激に牽引され、肩甲挙筋、棘下筋、橈側手根伸筋などにトリガーポイントが出来ました。現在残っている症状、頚部痛、背部痛、右上肢の痛み、右上肢の脱力感(握力低下)は、これらのトリガーポイントが原因と考えれば、全て説明がつきます。また、触診すると、筋肉の中に圧痛を伴うシコリ(トリガーポイント)を触れることが出来ます。これは、神経所見などと比べるとはるかに他覚的で客観的な所見です。繰り返しになりますが、運動麻痺や知覚鈍麻はいくらでも嘘をつくことが出来ますが、故意にトリガーポイントをつくることは不可能だからです。Mさんの場合、事故によってトリガーポイントが出来てしまい、それが現在も続く痛みなどの症状の原因であることは明白です。画像所見や神経所見に異常がないという理由で、後遺障害に当たらないという判断は、「痛みには、画像所見や神経所見で客観的に評価できる異常を伴う」という古い間違った常識を元にした誤った判断です。

  医学は日々進歩しています。特に痛みの分野の研究は急激に進んでいます。古い常識は新しい常識にどんどん置き換わっています。交通事故の後遺障害を決める現場で、今だに古い常識にとらわれた判断が行われていることに対して、強い不安と懸念を感じています。

トリガーポイント注射をすると一時的に痛みが悪化することがあります

2014.2.07 カテゴリー|トリガーポイント注射

 トリガーポイント注射をすると一時的に注射した部位が突っ張って腫れたようになり痛みが悪化することがあります。ほとんどの場合、数時間から数日で痛みは楽になります。注射した時にトリガーポイントの中心にジャストミートして局所収縮が起きたあとにこの現象が起きることが多いようです。なのでおそらく注射の針の刺激によりトリガーポイントの緊張が一時的に高まってしまうことが原因と思われます。

 

 私も、あちこち痛いところがあるので、自分で自分にトリガーポイント注射をすることがよくあります。自分で打つのでトリガーポイントの中心にジャストミートすることが多く、そんな時は1日くらいの間、痛みがひどくなることもあります。でも、そういう時のほうが後から痛みが楽になることが多いような気がします。

医療をダメにする医師 「MKノー」の口癖とは?

2014.1.30 カテゴリー|湿潤療法

 ネットでこんな記事を見つけました。

会社をダメにする上司 「MKノー」の口癖とは

http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20140130-00032129/

 

 要は、改革を提案すると「見たことも聞いたこともない」という低レベルな反論で、改革を拒否するダメ上司がいると、会社がダメになる。という話でしょう。これは医療に対しても当てはまりますね、湿潤療法や糖質制限、ビオチン療法、トリガーポイント注射など革新的で効果的な治療を受け入れられない医師も、このダメ上司と一緒で、結局は、現状を変えたくないので、自分の頭で考えることなく「見たことも聞いたこともない」とか「教科書に載っていない、学会で推奨していない」とか言って拒否しているのです。

最近の記事

カテゴリー

月別アーカイブ