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院長BLOG

肩関節脱臼の整復

2012.9.28 カテゴリー|骨折・捻挫の治療

69歳女性 

 

 1年前に転倒して肩を脱臼し、某総合病院で整復してもらいました。3~4週間三角巾とベルトで外固定を受けましたが、外固定を外した直後に転倒し、また脱臼しました。再度、某総合病院で整復を受け、また外固定を4週間しました。その後しばらくは、脱臼しませんでしたが、1年後に寝ていて起き上がる時に肩を少しひねっただけで、脱臼して、当院を受診しました。

 

 肩関節が前方に脱臼していたので、レントゲン室にあおむけに寝てもらい、テレビレントゲンで確認しながら、肩関節内に1%キシロカイン20mlを注射して麻酔しました。10分ほど待って、麻酔が十分に効いたころに、テレビレントゲンで確認しながら、腕を脇につけた状態で、少しずつ腕を外側にゆっくりとひねる方法(外旋法)で整復しました。麻酔が十分に効いていたので、2分ほどでスムーズに整復できました。外固定はしませんでした。

 

 麻酔をして痛みをとってあげると、患者さんの力が抜けるので、比較的簡単に整復できます。麻酔には、全身麻酔や神経ブロックなどいろいろな方法がありますが、今回行った関節内ブロックが一番安全で手技も簡単です。

 

 脱臼の整復方法も、「外転拳上法」「ヒポクラテス法」「コッヘル法」などいろいろありますが、僕は、今回行った「外旋法」が、一番簡便で、患者さんの痛みも少なく整復できると感じています。

 

 また、くせになってしまった肩関節脱臼(反復性肩関節脱臼)は、外固定をいくらしても、再脱臼の予防は出来ません。腕を動かせず、患者さんが不便な思いをするだけなので、当院では再脱臼の整復後は外固定をしないことにしています。脱臼ぐせを治すためには手術を受けるしかありません。

 

腸脛靭帯炎に対するトリガーポイント注射

2012.9.20 カテゴリー|トリガーポイント注射

ソフトボール部に所属している14歳の少女が、左膝痛で受診しました。1週間前から運動により悪化する左膝外側の痛みがあり、腸脛靭帯に圧痛があったので、腸脛靭帯炎と診断しました。

http://www.geocities.jp/junyoshida119/chiryoucyoukeizintai.html 

 

1年前にも、同じ痛みがあり、別の整形外科で物理療法を受け、半年間運動を休んで良くなったそうです。腸脛靭帯炎は運動のやりすぎによる炎症なので、運動を休めば良くなります。また、半年くらい休めば自然と良くなるでしょう。しかし、すぐに新人戦もあるので、なるべく早く治してあげるために、圧痛点にトリガーポイント注射をしました。1週間後に再診してもらったときは、すっかり痛みがなくなっていたので、運動を許可しました。

 

中学校の部活動は、実質2年間しかありません。治療のために、また半年も休んだら、この少女の部活動の思い出は、同級生の半分になってしまいます。なるべく早く痛みをとってあげることも、整形外科医の大切な仕事の一つです。 

 

トリガーポイント注射は、腸脛靭帯炎、シンスプリント、足底腱膜炎、オスグット病などのスポーツ障害にも有効です。

 

槌指に対する石黒法

2012.9.10 カテゴリー|骨折・捻挫の治療

 17歳のソフトボール部の女の子

 練習中にボールと指先にぶつけて受傷しました。レントゲン上、上の写真のような末節骨の骨折を認めました。このような骨折を骨性槌指(マレット変形)といいます。

http://www.joa.or.jp/jp/public/sick/condition/mallet_finger.html 

 折れた骨が、腱に引っ張られて離れてしまうため、ずれてしまっています。装具などによる保存的治療では、時間がかかるし、うまくつかないことが多いので、その日のうちに手術を行いました。

 手術は、鋼線を骨片がずれないように刺入し、もう1本の鋼線で関節を固定する「石黒法」という、この骨折の手術方法として、最もポピュラーな方法で行いました。

 指の付け根に局所麻酔をして、テレビレントゲンを見ながら鋼線を刺入しました。手術時間は5分くらいです。

 手術後のレントゲン

手術後側面.jpg

手術後5週間で、レントゲン上骨癒合が得られたと判断できたので、鋼線を抜去しました。

抜去後.jpg

鋼線抜去後のレントゲンです。関節面の不正もなく、レントゲン上はきれいに治りました。

足の小指の骨折

2012.8.16 カテゴリー|骨折・捻挫の治療

 タンスの角や、机の脚に、うっかり足の小指をぶつけてしまうことはよくあります。打ち所が悪く、腫れや痛みがひどいときは、骨折している可能性が高いので、整形外科でレントゲンを撮ってもらったほうがいいでしょう。

 骨折していても、ギプス固定の必要はなく、下の写真のようにテーピングを巻いて、第4指と固定していれば3週間程度で治ります。(この間、入浴時だけ、テーピングを外してもらいます。)

CIMG0513.JPG

 

トリガーポイント注射が有効だった14歳ハードル選手の肉離れ

2012.7.09 カテゴリー|トリガーポイント注射

先月14歳のハードル選手が来院しました。

4月に練習中に右大腿部を痛めて、近くの整形外科で肉離れと診断され、安静と湿布による治療、物理療法を受けていました。

安静にしていると痛みが改善するけど、練習を再開するとすぐに痛みが再発していました。

そのため、2か月経ってもまともな練習が出来ませんでした。

顧問の先生から、「にしぼり整形外科に行って、注射して、治してもらってこい」

と言われて、通信陸上県大会を5日後に控えた水曜日に当院を初診しました。

 

診察の結果、外側広筋の筋筋膜性疼痛症候群でした。

水、木、金とトリガーポイント注射を行いました。

治療の結果、痛みはかなり改善し、無事、日曜日に行われた県大会に出場し、見事、準優勝しました。

 

中学生や高校生の肉離れのほとんどは、筋断裂ではなく、筋肉の痙攣です。

つまり、外傷性の筋筋膜性疼痛症候群です。

トリガーポイント注射が非常に有効です。

 

ちなみに、ソフトボールなどをしているオジサンの肉離れのほとんどは、筋断裂です。

この場合、トリガーポイント注射だけでは治りません。

安静にして、筋肉が修復されるのを待つ必要があります。

ただ、筋断裂の場合でもトリガーポイント注射をすることで、筋肉の血流がよくなり、ほっとくよりは早く治ります。

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