2013.3.01 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
10歳の女の子
体育で、サッカーをしていて右足首をひねって受傷しました。痛くて右足がつけないため、片足ケンケンをしながら当院を受診しました。
右足首の外くるぶしを押すと痛がりますが、腫れは認めませんでした。レントゲン上も異常はありませんでした。
診断は骨端線損傷です。
上の図の矢印の先の部分に線が入っているのがわかると思います。これは骨端線とよばれる部位で、成長軟骨があります。
大人の場合、足首をひねると、靭帯を損傷します。外傷による靭帯損傷を捻挫と言います。
しかし、子供の場合、靭帯より骨端線のほうが構造的に弱いので、足首をひねると靭帯ではなく骨端線を損傷します。これを骨端線損傷と言います。
受傷当初は歩けないほど痛がっている場合が多いですが、3日間ほどしっかり外固定すれば、痛みを残さず治ります。
(成長軟骨の損傷がひどい場合は、手術が必要になったり、後から成長障害を起こす場合もあります)
2013.2.22 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
65歳女性
段差で滑って、右足首を内側にひねって受傷しました。足の甲の外側が腫れて痛いため、翌日当院を受診しました。レントゲン(上図)で第5中足骨基部結節部に骨折を認めました。
わかりにくいので骨折部をアップにしてみました。矢印の先に骨折線が見えます。
下駄をはいていて転倒するとここが折れることが多かったので、かつては「下駄骨折」とよばれていました。「下駄をはかせているだけで治る」ともいわれているほど治りやすい骨折です。しかし、痛みがあるので2~3週間は、下のような靴型のシーネ固定をします。
2年ほど前にサッカー日本代表の香川真司選手がこれと同じ骨折をしました。新聞やテレビは「足の小指の付け根の骨折」と報道していましたが、実際は「足の甲の外側の骨折」です。新聞やテレビなんて、適当だから、あまり真に受けちゃダメですね。
2013.2.13 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
21歳女性
スノーボード中に転倒して受傷し、某総合病院の救急外来を受診しました。レントゲン上、手首に骨折を認めたためシーネ固定を受け、連休が明けたら整形外科を受診するように言われました。
受傷2日後に当院を受診しました。上図のレントゲンが示すように、手首の近くの橈骨が折れていて、手背側にずれています。このままでは痛みや動きの悪さが残ってしまう可能性が高いので、局所麻酔をしてテレビレントゲンを見ながら整復しました。
下図が整復後のレントゲンです。まあまあの形に戻りました。
今回気になったのは、来院時、患者さんがシーネの包帯を、自分で外して巻きなおした形跡があったことです。
「シーネは自分で勝手に外しちゃダメだよ。」と注意したら、
「救急で診てくれた外科の先生から、シーネが固まったら包帯を外してお風呂に入って湿布を交換するように言われました」との返事
「・・・・・・・・・」思わず絶句してしまいました。
骨折の痛みは、折れた骨がぐらぐら動くことが原因です。動かないようにしっかりシーネ固定することで痛みがとれます。湿布なんて、骨折の痛みに対して、ほとんど何の役にも立ちません。シーネを外して、湿布を交換するなんて、その時に骨がずれてしまうリスクが高すぎます。
また、シーネは包帯の巻き方ひとつで、骨折部の固定性が大きく変わります。(そこがプロの腕の見せ所です)素人が包帯をきっちり巻きなおせる可能性はゼロです。実際この患者さんも、全く役に立たないごじゃっぺな包帯の巻き方をしていました。
骨折やねんざなどの治療においては、受傷初期にしっかりとシーネ固定して、なるべく早く痛みをとってあげることが最も大事です。痛みをしっかり取ってあげないと、慢性痛になってしまい、骨折やねんざが治っても痛みが残ってしまうことがあるからです。
自分でシーネを外して湿布を交換するなんていう、ごじゃっぺな治療法を、いったいどこで習ったのでしょう。
この総合病院の整形外科医からじゃなければいいのですが・・・・・・
2013.2.05 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
前回のブログで、圧迫骨折による腰痛に対してテリボンが劇的に効いた症例を紹介しました。そこで、今回は圧迫骨折による腰痛に対して、テリボンがどのくらい効くのかを検討してみました。
ここ1年くらいの間に当院を受診した「圧迫骨折による腰痛」に対してテリボンの投与を受けた患者さん24例について検討しました。
2013.2.05 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
72歳女性
5年前から、骨粗しょう症で当院に通院している患者さんです。
昨年10月に、特に何もしていないのに急に右腰痛が出現しました。
右腰痛に対して、トリガーポイント注射を週1回合計3回行いましたが、痛みは改善しませんでした。
痛みがよくならないので、圧迫骨折による痛みを疑いレントゲンを撮ってみました。
レントゲン写真(上図)では、背中から腰にかけての骨が何カ所も(ほとんど全部)つぶれています。
これは圧迫骨折といって、骨粗しょう症で骨が弱くなった方が転んだ時などに発生する骨折です。
ただ、骨粗しょう症がひどい場合、この患者さんのように何もしていないのに折れることもあります。
圧迫骨折による痛みと診断できたので、新しい骨粗しょう症治療薬テリボンを注射しました。
このテリボンが劇的に効いて、1週間後には痛みはほとんどなくなりました。
テリボン
http://www.re-bone.jp/support/gateway.php
テリボンはこの症例のように、
骨粗しょう症を伴う胸腰椎圧迫骨折による腰痛に対して、劇的に効くことがあります。