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院長BLOG

半月板損傷でなくMPS

2013.6.07 カテゴリー|トリガーポイント注射

50代男性

 

 仕事中に、豚に引っ張られて、左膝をひねり受傷しました。

 すぐに当院を受診しました。左膝の裏側の痛みのため歩行できない状態でした。

 レントゲン上は異状ありませんでした。

 膝関節の軽度の腫脹をみとめ、関節穿刺で透明な関節液を12ml吸引しました。

 痛みが強いため、念のためMRIも行いました。

 MRIでは内側半月板の後ろの部分に水平断裂を認めました。

 (青丸の中)

 

 私は、半月板損傷は、痛みの原因にならないと考えています。

 なぜなら、半月板などの軟骨には神経がないからです。

 神経がなければ痛みを感じることはできません。

 

 触診で、膝の裏側に2か所圧痛点を認めました。

 トリガーポイント注射をしたら7回程度で痛みが消えました。

 

 半月板損傷ではなくMPS(筋筋膜性疼痛症候群)だったのです。

 

関連ブログ

筋筋膜性疼痛症候群(MPS)とは

https://nishibori-seikei.com/blog/2013/05/mps.html

高齢女性の急性腰痛は圧迫骨折

2013.5.31 カテゴリー|骨折・捻挫の治療

78歳の女性

 

 5月上旬に重いものを持ってから腰が痛くなりました。動けないほどの激痛です。

 最初は鍼灸院に通いましたが、痛みがとれませんでした。

 2週間後に某総合病院の整形外科を受診しました。そこで、 レントゲンを撮り「腰椎すべり症」と診断され、痛み止めのお薬を処方されました。

 

 しかし、それでも痛みがとれないため、その3日後に当院を受診しました。

 レントゲン上、第3腰椎圧迫骨折を認めました。(腰椎すべり症も認めますが、これは痛みとは無関係です。)

 骨粗しょう症治療薬テリボン皮下注射と、骨折部周辺の筋肉に対するトリガーポイント注射を開始しました。

 1週間後には、杖をついて歩ける程度に回復しました。

 

 若い人が重いものを持って、急に腰が痛くなった場合は「ぎっくり腰」です。ぎっくり腰は、腰や臀部の筋肉の痙攣なので、鍼灸やマッサージなどの筋肉に対する治療でも良くなります。(トリガーポイント注射のほうが効きますが、)

 

 しかし、高齢の女性が急に腰が痛くなった場合は「圧迫骨折」です。筋肉に対する治療だけでは良くなりません。

 安静と骨粗しょう症に対する治療が必要です。

 2年前に発売された骨粗しょう症治療薬テリボン皮下注射は圧迫骨折の痛みに対して劇的に効きます。

 

 高齢の女性が急に腰を痛めた場合は、鍼灸院やマッサージ、接骨院に行かず、すぐに整形外科を受診してレントゲンを撮ってもらいましょう。

 

関連ブログ

ぎっくり腰の治療

https://nishibori-seikei.com/blog/2012/12/post-145.html

圧迫骨折による腰痛に対するテリボンの効果

https://nishibori-seikei.com/blog/2013/02/post-183.html

手首や肘の骨折に三角巾固定は不用

2013.5.13 カテゴリー|骨折・捻挫の治療

 当院では、上肢の骨折や捻挫や脱臼などの外傷の治療に対して、三角巾を使用していません。

 

 昔は、骨折に対して石膏のギプスを巻いていました。石膏ギプスは非常に重いため、三角巾で吊るさないと支えられませんでした。

 

 しかし、現在使われているプラスチックギプス(シーネ)は、非常に軽いので、三角巾で吊るす必要はありません。

 

 骨折や捻挫の治療の場合、患部に近い関節はしっかり固定しなければいけませんが、それ以外の関節は固定する必要はありません。

 

 むしろ、固定する必要のない関節はどんどん動かしてもらったほうが、血流がよくなり、痛みや浮腫みや腫脹が早期に改善します。

 

 三角巾で固定してしまうと、動かさなくてはいけない関節まで動かさなくなってしまい、治りが悪くなります。

 

 たとえば、手首の骨折をギプスをしてから三角巾で固定してしまうと、動かさないせいで、関係がない肩や肘や首にまで痛みが出てしまうことがあります。

 

 以上の理由から、当院では骨折や捻挫の治療に対して三角巾固定は行っておりません。

橈骨頸部骨折を保存的に治療した一例

2013.5.10 カテゴリー|骨折・捻挫の治療

12歳の女の子

 

体育の跳び箱で着地に失敗して、右肘を打って受傷しました。

すぐに当院を受診しました。

レントゲン上、上図の矢印の部分(橈骨頸部)が折れて大きくずれていました。

この部位は、前腕を回す運動(回旋)の軸となる部分なので、ずれたままつくと前腕の動きが制限され、日常生活に著しい支障をきたします。

 

手術をして固定したほうが良いと考え、近隣の総合病院数件に電話で転院のお願いをしましたが、すべて忙しいという理由で断られてしまいました。

金曜日の夕方というタイミングが悪かったのかもしれません

 

次善の策として、本人と家族と相談して、当院で保存的に治療することになりました。

 

骨折部に局所麻酔をかけ、テレビレントゲンを見ながら徒手的に骨折を整復しました。

整復後のレントゲン ↓

8465b.jpg

うまく許容範囲内に整復できたので、ギプスで外固定しました。

 

この際のギプスは、肘の屈伸は制限するけど、前腕の回旋は自由にするMacAuslandタイプにしました。

gipusu.jpg

固定しながらも前腕の回旋をさせることで、回旋に適した位置で骨が癒合します。

 

3週間後ギプスを外しました。

 

その後1か月は自宅でお風呂の中で可動域訓練をしてもらい。

 

そのあと1か月間、当院で週2回、加圧リハビリテーションをしてもらいました。

 

4か月後のレントゲンです。 ↓

8465c.jpg

橈骨頸部は10度ほど曲がっています。

左肘に比べて、屈曲と伸展に10度の可動域制限を認めますが、回旋運動には可動域制限を認めていません。

 

現在、日常生活に支障はなく、バレー部に入って頑張っています。

 

 

 

 

母指MP関節ロッキングの症例

2013.3.05 カテゴリー|骨折・捻挫の治療

48歳男性

 

家の片づけをしていて、左親指がひっかかり強制的に伸ばされた(強制過伸展)後から、左親指の付け根の関節(MP関節)に痛みが出現しました。

 

1週間後に当院を受診しました。痛みがある左親指のMP関節に腫脹と圧痛を認めました。親指のMP関節の屈曲は、右80度 左40度で、左親指に可動域制限を認めました。

 

レントゲンでは、上図の矢印の部分のMP関節が右側(小指側)に曲がっていました。

 

これは、母指MP関節ロッキングといって、MP関節にある掌側板という軟骨が、関節の間に挟まってしまっている状態です。

 

治療として、テレビレントゲンを見ながら、MP関節に局所麻酔薬(1%キシロカイン5ml)を注入し、関節を広げました。この患者さんの場合は、これだけでロッキングが外れました。

 

これだけでは外れない場合は、圧迫法という方法で引っかかっている掌側板を押し出します。それでも外れない場合は手術をすることもありますが、手術になることは非常にまれです。

 

受傷から時間がたつとロッキングが外れにくくなり、手術が必要になります。

 

親指が強制過伸展されてから親指が曲がりにくくなった場合、このロッキングを疑って、早めに整形外科を受診しましょう。

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