2012.4.27 カテゴリー|その他の治療について
約1年前に右股関節痛のため歩くのが困難になった80歳代の女性が受診しました。変形性股関節症に伴う筋筋膜性疼痛症候群と診断し、股関節周囲のトリガーポイントにトリガーポイント注射を週1回ずつ10回ほど行ったところ、症状が改善し杖で歩けるようになりました。
ところが、親戚の人に「痛み止めの注射をすると、歩けなくなる」と言われて、不安になり治療を中断してしまいました。
その後痛みが再発し、徐々に歩けなくなっていきました。しかし、「注射をすると歩けなくなる」と思い込んでいるので、家族がいくら説得しても当院を受診しませんでした。
いよいよ痛みがひどくて我慢できなくなり、昨日、当院を受診しました。トリガーポイント注射を行ったところ、痛みは劇的に改善して、また杖で歩けるようになりました。しかし、もう少し治療の再開が遅れていたら、本当に歩けなくなってしまう可能性もありました。
歩けなくなるのが怖くて、治療を受けなかったら、そのせいで歩けなくなってしまうところだったのです。笑い話にもなりません。医学の勉強をしたわけでもないのに、知ったかぶりをして医療についてアドバイスするのは、それが親切からきている行為だとしても、やるべきではありません。もし、そのアドバイスのせいで患者さんの状態が悪化した場合、どのように責任をとるのでしょう。
2012.4.05 カテゴリー|その他の治療について
50代の男性、10年くらい前から両手の痺れがあり、5年ほど前に某総合病院で首の手術を受けました。手術後、両手の痺れは若干改善しましたが、1年ほどで元に戻りました。
主治医はMRIの画像を見ながら、「神経の圧迫はきれいに取り除かれている。後は自然と回復するのを待つしかない。」と説明し、ビタミン剤や抗うつ薬を処方しました。しかし、薬を飲んでも症状は悪化するばかりで、患者さんは途方に暮れていました。
昨年、知人に勧められて当院を受診しました。診察したところ、両手の親指から薬指にしびれがあり、理学所見からも典型的な手根管症候群でした。
手根管症候群とは、手を使いすぎることにより、手首のところで腱が炎症を起こし腫れることで、同じ場所にある正中神経が圧迫され、しびれや麻痺が出る病気です。
患者さんの手首に腱の炎症を鎮めるステロイドの注射を行ったところ、翌日には10年間悩んでいた痺れがほとんど消えました。
「手の痺れは首が原因」と思い込んでいる人が、(医師も含めて)たくさんいるようですが、首が原因で手がしびれることはほとんどありません。
頸椎が変形して首の神経(脊髄)を圧迫する病気を頸椎症性脊髄症といいます。この病気では多くの場合、手の痺れだけではなく、指がうまく動かせない(巧緻障害)、脚が突っ張ってうまく歩けない(痙性歩行)が伴います。腕や脚の深部反射がかならず亢進します。手術をして、脊髄に対する圧迫を取り除かなければ、絶対に治りません。
しかし、実際には頸椎症性脊髄症の患者さんはめったにいません。多くの患者さんが、巧緻障害や深部反射亢進などの症状がないにもかかわらず、MRIなどで脊髄への圧迫が認められるだけで、頸椎症性脊髄症と誤診されているのではないかと思われます。
手の痺れの原因の多くは、手根管症候群や肘部管症候群などの末梢神経障害です。首や肩の筋筋膜性疼痛症候群が原因の場合も多いです。その他、糖尿病性神経障害で痺れることもあります。しかし、首(頸椎)の変形で手がしびれることはめったにありません。頸椎が原因かどうかは反射が亢進しているかどうかですぐにわかります。
とにかく、「手の痺れの原因は首からくることはほとんどない。」ということだけ覚えておいてください。
2012.3.16 カテゴリー|その他の治療について
今回は歯磨きの際に、歯磨き剤を使わないほうがいいという記事を書きます。
以下、兵庫県姫路市にある山田歯科医院のホームページhttp://www.yamadashika.jp/からの引用です。
以下引用
我々の所では 歯磨き剤を使わない…
我々の所では 歯磨き剤を使わないようにしてもらっています、理由は…
(1) 歯磨き剤でプラークは落ちない
もし歯磨剤でプラークが落ちるのであれば、使っておられるかたはむし歯、歯周病にはならないことになりますが、むし歯、歯周病の人はたくさんいます。
(2) 磨けていなくても磨けた気がする
これは磨けた気がするような香料などを入れているから磨けていなくても磨けた気がするのです。磨けていないのは困ります。
(3) 中に含まれている研磨剤で歯が磨り減って知覚過敏になる
力任せに磨く人や、多量につけて一生懸命磨く人に多く見られます。
(4) どこを磨いているか分からない
手を洗うときや、ひげをそるときのことを想像してみてください。手を洗うときどこに汚れが付いているか確かめて落ちる様子を見ながら洗うでしょう。そして綺麗になったのを確かめますね。ひげをそるとき鏡を見てそりますね、鏡を見ずに剃ると、剃り残ししやすいでしょう。歯磨きも同じで鏡を見ずに磨いたら磨き残しがありそうだと思いませんか。ぜひとも手鏡を持ってどこを磨いているか確認しながら磨くことをお勧めします。ところが歯磨き剤を使うと泡が邪魔して、どこを磨いているか分からなくなります。たまには磨けたかどうかの確認染めもお勧めします。
(5) 磨いているとよだれが出てくるのでうがいをしたくなる
歯磨剤を使わないで一度磨いてみれば分かります。うがいの必要が無ければどこでも歯磨きが可能です。ちなみに私の子どもたちは歯磨剤を使った事がありません。私も大学卒業以来使っていません。
お勧めはノンペースト・ノンウオーター
歯磨きは洗面所でしないこと、手鏡を見ながら居間で余裕のある時間に丁寧に磨くことをお勧めします。忙しいときにあわてて磨いても磨けません。磨けていない歯磨きを一日三回しても磨いたことにはなりません。一日一度でいいので磨ける歯磨きをしたほうがいいと考えています。それには歯磨き技術を身につけることが必要です。歯磨き剤を使わないと口臭のことを気になさる方がいらっしゃいますが、歯磨き剤で口臭は取れません。口臭の原因は歯周病です。口臭が気になる方は歯周病の検査をしてもらい歯周病になっているなら、治しましょう、治れば口臭はなくなります。生理的な口臭は誰にでもあります。また口臭は朝起きたときが一番強いので気になる方は、朝も磨いてください。もちろん歯磨剤無しです。
磨こうと思えば自分の歯の隅々まで磨ける技術の習得をするために歯磨き練習をするのです。磨く技術が無ければ何時間磨いても磨き残しができます。磨いていると磨けているは違います、磨いても磨き残しがあれば磨けた事にはなりません。歯磨きは指先の作業ですから歯ブラシは指先で軽く持って磨いてください。決して手でしっかり握って、腕でごしごし磨くものではありません。そのような磨き方をすると力が入りすぎて歯とか歯茎が磨り減りますし、細かい歯と歯のあいだは磨けません。
引用終わり
歯科は私の専門ではないので、はっきりしたことは言えませんが、山田先生の意見には、なるほどと思います。実際に歯磨き剤をつけずに歯みがきをするとよだれが出ないので、居間でテレビを見ながらゆっくり時間をかけて磨くことが出来ます。これだけでも虫歯や歯周病予防の効果がアップすると思います。
また、山田先生は触れていませんが、歯磨き剤にもハンドクリームと同様の界面活性剤が入っています。界面活性剤は口の中の粘膜を著しく傷害しますから、歯磨き剤が口内炎などの原因にもなっている可能性があります。
歯磨き剤を使っていたころは口内炎が頻繁にできて、かつなかなか治らず辛い思いをしていましたが、歯磨き剤の使用をやめたとたん、口内炎はほとんどできなくなり、出来たとしても一晩で治ってしまいます。これだけでも歯磨き剤をよかったと心から思います。
急に歯磨き剤を止めるのは不安だという方には「パックス石けんハミガキ」がお勧めです。合成界面活性剤が含まれていないので、口腔粘膜に対する刺激が少ない歯磨き剤です。
2012.2.21 カテゴリー|その他の治療について
2週間前に、10歳の女の子が両手両足のしもやけで受診してきました。
両手両足の指が著しく腫れあがっていて、見るからにかゆそうで、かわいそうでした。
痒みのため夜も眠れないということだったので、抗アレルギー剤とステロイド軟こうを処方しましたが、1週間たっても症状は改善しませんでした。
そこで「新しい創傷治療」のhttp://www.wound-treatment.jp/を参考にして、血管拡張薬プロサイリン(ドルナー)を処方してみました。
すると、薬を飲んだその日から痒みが引いて、夜も眠れるようになり、1週間後には腫れもすっかり引いていました。
あまりの効果に、処方したこちらまで驚いてしまいました。
今後は、しもやけの患者さんにはプロサイリンを処方することにします。
しもやけどお悩みの方は是非当院を受診してください。