HOME > 院長BLOG > その他の治療について

院長BLOG

交通事故の治療に長期間通う人

2012.11.13 カテゴリー|その他の治療について

上のグラフは、以前に書いたブログ記事『「交通事故の治療は長くかかる」は迷信』という記事で提示したグラフです。

 

「交通事故の治療は長くかかる」は迷信 https://nishibori-seikei.com/blog/2012/11/post-108.html

 

グラフでもわかるとおり、8%くらいの人は6か月以上治療に通っています。交通事故の治療に長期間通院する人は、3種類に分けられます。

 

  1. 骨折や脱臼、脊髄損傷などの大けがをした人
  2. 事故の衝撃で筋肉にトリガーポイントが出来てしまった人
  3. 保険金目的で通院している人

 

交通事故の怪我で、当院に長期間通院している人のほとんどが、上の2.事故の衝撃で筋肉にトリガーポイントが出来てしまった人です。

 

トリガーポイントによる痛みなら、早期にトリガーポイント注射をすればよくなるはずですが、交通事故でけがした人のほとんどの人が、注射による治療を拒否します。他人に負わされた痛みの治療のために、注射という痛い治療を受けることが、精神的に受け入れられないのだと思います。

 

トリガーポイント注射 https://nishibori-seikei.com/trigger/index.html

 

この、他人に負わされた痛というのがくせ者で、次のような痛みの悪循環に陥ってしまいます。

 

【事故にさえ合わなければ、こんな痛くつらい思いをしなくて良かったのに】

【加害者や痛みに対する怒りとストレス】 

 ↓

【自律神経の調子が悪くなり、筋肉の血流が悪くなる】

【トリガーポイントの痛みがさらに悪化する】

【事故にさえ合わなければ、こんな痛くつらい思いをしなくて良かったのに】

 

この痛みの悪循環に入ってしまうと、どんな治療をしても痛みはなかなか良くなりません。

 

それでも、保険会社から治療を打ち切られると、ほとんどの人の痛みがよくなります。治療を打ち切られたことによって、痛みの悪循環が止まるのだと思います。

 

小指の痺れの原因は?

2012.11.07 カテゴリー|その他の治療について

58歳男性

1年くらい前から小指にしびれが出現し、半年前に当院を受診しました。

知覚障害はなく、深部反射の異常もありませんでした。

左肘のレントゲンで肘部管内に遊離骨を認めたので、軽い肘部管症候群と診断しビタミンB12製剤を処方しました。

 

肘部管症候群 http://www.joa.or.jp/jp/public/sick/condition/cubital_tunnel_syndrome.html

 

2週間後再診した際、痺れが全くよくなっていなかったので、尺骨神経の神経伝導速度測定を行いましたが、肘部管における神経伝導速度の低下は認めず、肘部管症候群は否定的になりました。

 

そこで、MPS(筋筋膜性疼痛症候群)によるしびれを疑い、棘下筋や尺骨手根伸筋などにトリガーポイント注射を行いましたが、痺れは全く取れませんでした。

 

MPS(筋筋膜性疼痛症候群)http://www.jmps.jp/general/whatsmps

 

原因不明の痺れということで、リボトリールやリリカを処方して、4か月間様子を見ましたが、やはり痺れはとれませんでした。

 

2か月くらい前から両手に力が入りにくくなりました。神経学的所見には異状ありませんでしたが、頸椎症脊髄症を疑い、頸椎のMRIを撮りましたが、脊髄に対する圧迫所見は認めませんでした。

 

頸椎症脊髄症http://www.joa.or.jp/jp/public/sick/condition/cervical_spondylotic_myelopathy.html

 

そこで、もう一度よく手のひらを診察してみました。すると、両方の中指と小指の手のひら側の付け根に圧痛を認めました。

もしかしたら腱鞘炎(ばね指)による症状なのではないかと考え、それぞれの圧痛部にケナコルトで腱鞘内注射を行いました。

 

腱鞘炎(ばね指)http://www.joa.or.jp/jp/public/sick/condition/snapping_finger.html

 

1週間後に再診した時には、両手の力が入るようになり、あれほど治らなかった小指の痺れもなくなっていました。

 

小指の痺れも、腱鞘炎が原因だったのです。腱鞘炎の患者さんは、たいてい痛みや引っ掛かり感を訴えてきます。この患者さんは何度聞いても痛みはなくしびれだけだと訴えていたので、腱鞘炎という診断になかなかたどり着けませんでした。腱鞘炎によるこわばった感じを痺れと訴えていたのだと思います。

 

びりびりした感覚の異常のほかに、関節のこわばり、筋力の低下なども「しびれ」と表現する患者さんがいることを、もう一度、頭にしっかり叩き込まなければいけないと反省しました。

 

成長痛

2012.10.29 カテゴリー|その他の治療について

成長痛とは

子供(3~5歳くらい)が夕方から夜になると膝などの痛みを訴えるが、朝になるとケロッとしており、検査をしても原因が見つからない。このような時に「成長痛」と診断されます。成長痛という名前が誤解を招きやすいのですが、骨の成長とは無関係です。

 

成長痛の症状

膝の裏側、太股、ふくらはぎ、足首などを痛がります。どこが痛いのかはっきりしない場合もあります。痛みの特徴は夜(特に就寝前)になると痛み、朝にはケロッとしている事です。

 

成長痛の治療

子供の成長とともに治りますので、基本的にはほおっておいてもかまいませんが、成長痛は昼間の遊び疲れに加えて、親や周囲の人からかまってもらいたい気持ちの表現とも言われています。家庭環境の変化(弟ができた、母親が仕事を始めた)があるような時などは特にそうです。ですから、子供の訴えを無視せずに、積極的にスキンシップをはかる事も大切なことです。湿布をしたり、暖めたり、マッサージをするなどは自由にしてかまいません。

 

成長痛の原因

小さな子どもは、「さみしい」「不安だ」「怖い」などの精神的ストレスを感じると、太ももからふくらはぎにかけての筋肉の一部が痙攣するのだろうと思います。大人でも、ストレスを感じると、肩こりや腰痛がひどくなることはよくあります。子どもの場合、精神的なストレスをどう処理して、どのように訴えたらよいかわからないため、痛みと言う形で表現するのだと思います。

実際、成長痛で受診するお子さんのほとんどに、もっと小さい赤ちゃんの弟や妹がいます。弟や妹にお母さんをとられてしまってさみしい気持ちが、痛みとなって表れるのでしょう。

なので、子供が成長痛で痛がっているときは、お母さんが抱っこしてあげて、痛いところを撫でてあげれば、たいてい痛みが治まります。



注意点

足の痛みを訴える原因は成長痛ばかりではありません。昼間も痛がったり、歩き方がおかしい場合、次第に痛みが強くなるような時には、一度は医療機関(整形外科が担当します)を受診し、適切な指示を受けるようにして下さい。

正しい止血方法

2012.10.12 カテゴリー|その他の治療について

手や足を切って、血が止まらないと、当院を受診する患者さんがたくさんいます。その中の多くの患者さんが、間違った止血法をしていて、そのせいでよけいに血が止まらなくなった状態で来院されます。

 

一般的に出血している時は、出血部位より体に近い部分をきつく縛って締めて血を止める方法(止血帯法)がよく知られています。しかし、普通の切り傷などで、出血している場合は、たとえ動脈性にピューピュー出血していても、止血帯法による止血は行うべきではありません。

 

なぜなら、止血のために腕や脚を締めても、静脈のみを止めてしまい動脈は止められないので、ちょうど、採血の時に腕にゴムバンドを巻いたときと同じように、血管が怒張して開いてしまい、より出血が増え、よけい血が止まらなくなってしまうからです。

 

それなら動脈を止められるほどきつく締めればいいと、思うかもしれませんが、動脈を止めるほどきつく締めると、締めた部分の痛みがひどく、意識がある人はとても耐えられません。また、その圧迫により神経が麻痺してしまうこともあります。

 

では、正しい止血方法とはどのような方法でしょう。

 

出血している部位に、きれいなガーゼやハンカチ、布切れなどを直接当て、その上から手や三角巾等で圧迫して止血する方法です。片手で圧迫しても止血できないときは、両手で体重を乗せながら圧迫します。可能なら、腕や脚を心臓より高くしましょう。この方法を直接圧迫法といいます。 

 圧迫止血.jpg

この直接圧迫法で、ほとんどの出血は止めることが出来ます。

 

腕や脚を切断したとか、太い動脈が切れたとかの大怪我で、直接圧迫法では止血できずに、大量に出血していて、すでに意識が盲瘻としていて、すぐに止血しないと出血性ショックで死んでしまうような状態のときには、最終手段として止血帯法を用います。

外反母趾の変形が包帯療法で治ってきた!

2012.10.05 カテゴリー|その他の治療について

以前、手術しないで外反母趾を治す「包帯療法」についてこのブログで紹介いたしました。

https://nishibori-seikei.com/blog/2012/06/post-9.html

 

「包帯療法」は、夜寝るときに、足に包帯を巻くだけで、手術しなくても外反母趾の変形が治る新しい外反母趾の治療法です。

 

今回は包帯療法を1年間続けてもらい、外反母趾の変形が、少しですが元に戻った症例を紹介いたします。

 

59歳女性

 

1年前外反母趾による変形を主訴に、当院を受診しました。上の写真がその時のレントゲン写真です。外反角32度の変形を認めました。包帯療法について説明しました。

 *外反角 第1趾基節骨と第1中足骨の角度(正常値19度前後)

 

下の写真が1年後のレントゲンです。外反角26度と1年前に比べて6度、変形が改善しています。

 

20121005090229201001.jpg

 

手術をしないと治らないと思われていた外反母趾の変形が、毎晩包帯を巻くだけで治るのです。これって、すごいことです。「包帯療法」のコツは、毎日、まじめに続けることです。外反母趾でお困りの方は、ぜひ相談に来てください。

最近の記事

カテゴリー

月別アーカイブ