HOME > 院長BLOG > その他の治療について

院長BLOG

「にしぼり接骨院」じゃないよ!

2012.9.25 カテゴリー|その他の治療について

 最近はだいぶ減りましたが、開業して2~3年は、当院を接骨院と勘違いしている患者さんがたくさんいて困りました。

 

 そこで、今回は整形外科医院接骨院整体院カイロプラクティックの違いについて書きたいと思います。

 

 整形外科医院は、医師免許を持った医師が治療を行っています。そのため健康保険の使用できます。また、整形外科医院の医師のほとんどが日本整形外科学会専門医の資格を有しています。医師になるためには、まず、医学部の試験に合格し、6年間医学部で内科から外科、小児科、産婦人科などすべての科目の勉強と実習を受け、卒業後に医師国家試験に合格しなくてはいけません。医師になった後は2年間の初期研修をうけ、その後6年間整形外科専門医の下で研修をうけ、専門医試験に合格して初めて整形外科専門医になれます。つまり整形外科専門医になるためには最低でも14年間の勉強と研修が必要になります。

 

 接骨院は柔道整復師が治療を行っています。基本的に健康保険での治療は出来ません。捻挫や打撲の応急処置と、医師からの同意があった場合のにのみ特例で、健康保険が使える場合があります。医師ではないので注射や投薬、レントゲン撮影などの医療行為は出来ません。代わりに、低周波や牽引、温熱療法、マッサージなどの慰安治療を行っています。柔道整復師になるには、専門学校に3年間通学し柔道整復師の国家試験に合格する必要があります。

 

 整体院は整体師が治療を行っています。マッサージや温熱療法などを行っています。整体師には国家資格がありませんので、全く勉強や研修をしていない素人でも開業することが出来ます。そのため健康保険は使えません。

 

 カイロプラクティックはカイロプラクターが治療を行っています。日本では関節をボキボキ鳴らす手技をカイロプラクティックと呼んでいることが多いようですが、本来は脊椎の微妙なゆがみを矯正する非常に繊細な技術です。そのためカイロプラクティックの本場のアメリカでは、専門の大学を卒業し国際資格に合格した人だけしかカイロプラクターになれません。日本では基準となる法律がないので誰でもカイロプラクターと名乗ることが出来ます。健康保険は使用できません。

 

 一般の方には整形外科医院接骨院整体院の区別がつきにくいようです。これまでの整形外科医院の治療が接骨院などと同じ慰安治療が中心であったことが誤解を与えている原因ではないかと思います。当院では、研修期間を含めた長い経験から得た医学的な知識を元に、レントゲンやエコーなどの画像データを参考にして、病因を正確に診断し、整形外科医院でしか受けられないトリガーポイント注射や関節内注射などを中心にした治療をしていきたいと考えています。これからも、よろしくお願いいたします。

 

(止血について)ひとこと言いたい

2012.8.31 カテゴリー|その他の治療について

今週も「ふれラジいばらき金曜日」にメッセージを送りました。

メッセージテーマは「〇〇にひとこと言いたい」でした。

 

ラジオネーム ぼりぼりぼりいいいいいいいいいいい

今さん 梅島さん こんにちは

僕は整形外科の開業医です。

整形外科医の立場として、皆さんにひとこと言いたい。

「手や足を切って、出血したときに、止血のために、心臓に近い部分を強く縛る方法は、間違いで、かえって出血をひどくすので、やらないでください」

止血のために、キズより心臓に近い部分を縛ると、静脈だけ止めて、動脈は止められないので、ほとんどの場合、出血がひどくなります。

そこで、動脈も止めるほど、さらにきつく縛ると、今度は、神経や筋肉などの重要な臓器が死んでしまいます。

そのあと、縛った部分を開放するときに、死んだ筋肉から、ミオグロビンやカリウムなどの物質が一気に流れ込み、心臓が止まったり、腎臓がダメになったりする場合もあります。

怪我をして出血しているときの正しい止血方法は、出血している部位をタオルなどで直接圧迫して、心臓より高くすることです。

この方法で、ほとんどの出血は止まります。

と、たまには真面目なメッセージを送ってみました。

 

禁煙治療に失敗する人

2012.8.06 カテゴリー|その他の治療について

 当院は開業当初から禁煙治療を行っております。

 実際に禁煙治療を行った患者さんの数は100例を超えています。成功率は60%くらいです。

 つまり40%くらいの患者さんは禁煙治療に「失敗」しています。

 

 どういう人が、禁煙治療に「失敗」するのかというと

 

①1日のタバコの本数が30本以上のヘビースモーカー

②禁煙治療を受ければ、努力しなくても簡単にやめられると軽く考えて受診する人

③周りの人間に言われて、しぶしぶ禁煙外来を受診する人

 

 これらのうち一つでも該当する方は、禁煙治療の成功率が極めて低いので、医療費の無駄です。

 30本以上吸っている方は、少なくとも自分で努力して、本数を20本以下にしてから受診してください。

 

 禁煙治療が「成功」する人は、

 「タバコをどうしてもやめたいけど、自分の努力だけではやめられないから、助けて欲しい。」と真剣に禁煙治療を受けにくる方です。

 

 真剣に禁煙したいけど、止められない方はいつでも「禁煙外来」を受診してください。

蜂さされの治療

2012.7.23 カテゴリー|その他の治療について

 右母指を蜂に刺された患者さんが受診しました。右母指に刺し口があり、右手全体が赤く腫れあがっていました。痛みが強いので、刺し口にケナコルト(ステロイド)5㎎+1%キシロカイン(局所麻酔薬)0.5mlを皮下注射しました。蜂さされは、この注射で痛みも腫れも、速やかに改善します。

 

 蜂に刺されたときに、怖いのは「アナフィラキシーショック」です。以前に蜂に刺されていて、その時の体の中に、蜂の毒に対する「抗体」ができると、2度目に刺されたときに、激しいアレルギー反応が起きて、呼吸が止まってしまう病気です。蜂に刺される機会が多い人は、念のため「蜂毒に対する抗体価」を調べておいたほうがいいでしょう。(この検査は当院でも出来ます。)

 

 先ほどの患者さんですが、当院を受診する前に、某病院の救急外来を受診しています。救急外来では、刺し口を消毒しただけで、内服薬も塗り薬も出してもらえなかったそうです。その上、「蜂に刺されたくらいの人が、みんな救急外来を受診したら、毎日50人も100人も診なくちゃいけない。」と嫌味を言われたそうです。・・・・・・この救急の先生、きっとすごく疲れていたんでしょう。同情します。基本的に救急外来は、すぐに治療しなければ死んでしまうような人の治療を対象としているのに、そうでない方がたくさん来て、救急医はみな疲弊しています。

 

 でも、蜂に刺されたらすごく痛いし、場合によってはアナフィラキシーショックで死亡することもあるので、救急外来を受診してもいいような気もします。この救急の先生も、嫌味を言ったり、刺し口の消毒なんていう、無意味な処置をする時間があったなら、ケナコルトの皮下注射をしてくれればよかったのにと思いますが、この治療法は夏井先生のHPhttp://www.wound-treatment.jp/ を毎日欠かさず読んでいる医師以外は知らない可能性が高いので、仕方ないかな。

 

高血圧に塩分制限は必要か?

2012.7.13 カテゴリー|その他の治療について

先日紹介した。汗疱の患者さん

https://nishibori-seikei.com/blog/2012/07/post-48.html について、夏井先生に報告したところ、夏井先生のHP

 http://www.wound-treatment.jp/title_new.htm で塩分制限って本当に必要なのか?という議論になりましたので、まとめてみました。

 

  6月5日のこのコーナーで紹介した「汗疱の原因は塩分摂取不足では?」というメールを紹介しましたが,茨城県のにしぼり整形外科の西堀先生からこんなメールをいただきました。

 先日、両手足の汗庖の患者さんが受診しました。3か月前から急に出現し、3か所の皮膚科に通い、ステロイドの概要による治療を受けたけど、良くならずに当院を受診しました。
 その時、先生のHPに汗庖と塩分不足の話が出ていたのを思い出し、その点について患者さんに聞いてみました。

 すると、汗庖ができる1か月前に心筋梗塞を起こし、主治医から塩分を1日6g以下に制限するように言われたそうです。もともと屋外で働く肉体労働者で、去年までの夏は塩をなめながら水を飲んで脱水症の予防をしていたそうです。
 塩分不足が原因でしょうと説明したら、患者さんはすごく納得がいったようで、「今までの皮膚科では病状の説明も何もなく軟膏を処方されただけだったのに、ここに来てよかった。」といたく感心されてしまいました。

 ところで、肉体労働者の塩分摂取を6g以下に制限するのは、脱水症になってくれと言っているようなものです。以前、読んだ「健康神話に騙されるな」という本には、塩分をかなり厳密に制限しても血圧は2~3㎜Hgしか下がらないと書いてあって、塩分制限て本当に必要なのかな?なんて考えてしまいます。

 この「漢方と塩分不足」,「高血圧対策としての塩分制限の妥当性」についてご存知の先生がいらっしゃいましたら,ご教示いただけましたら幸いに存じます 

 

それに対する反応

塩分と高血圧について早速教えていただきました。
 まず,心療内科の先生から。

 三石巌氏の書。減塩指導する医者の愚かさが記載されています。

「医学の常識はウソだらけ 分子生物学が明かす「生命の法則」」

http://www.amazon.co.jp/dp/4396314892/ref=as_li_tf_til?tag=woundtreatmen-22&camp=243&creative=1615&linkCode=as1&creativeASIN=4396314892&adid=1AN62K2TDTFTDS70BH4E&&ref-refURL=http%3A%2F%2Fwww.wound-treatment.jp%2Fnew.htm 

 

 そしてもう一つ。

 塩分制限と高血圧の話ですが、これが正確です。 ⇒食塩感受性 http://www.geocities.jp/t_hashimotoodawara/salt7/salt7-health-93-04.html 
 糖質制限同様、個体差があるものと理解しております。ご参考になりましたら幸甚です。

 「すべての人に減塩を勧めるのではなく、食塩感受性の人だけに勧めるべきであるという考え方が強くなってきている。減塩で血圧降下が期待できるのは食塩感受性者だけであり、しかも、その比率が低いものであることも分かってきたからである」というのを読んで,ちょっとびっくり。私の高血圧に関する知識,間違っていたんだ。

汗疱と塩分不足」の発端となったメールを寄せていただいた方(素人の方です)からの追伸です。

 汗疱の症状改善に役だった例があったようで嬉しい限りです。
 現在の世の風潮としてとかく誰に対しても「減塩!減塩!」と叫ばれており、まるで塩が毒かのような扱いを受け、その結果知らず知らずのうちに「塩は出来るだけ摂らない方がいい」「塩を摂らない方が健康的」などと思ってしまってる人が非常に多いと感じております。私も実際数年前までは漠然とそう思っておりました。

 しかしふと疑問をもち色々調べてみると塩分摂取を控えるようにという理由がどれもはっきりした根拠が無く、逆に塩分不足による弊害の方が非常に多いのではないかと思うに至りました。
 塩分過剰により
   ・高血圧になる
   ・胃がんになりやすい
   ・腎臓に負担がかかる
 この様な事が云われておりますが、どれも疑問に思うことばかリです。

 高血圧に関しては今日紹介があった食塩感受性もそうですし、胃がんになりやすいというのは東北の人が胃がんが多いのと食塩摂取量が多いのを結びつけているだけで明確な理由がありません。塩分が胃がんを招きやすい理由として胃に食塩という刺激物が入る事によってガンになりやすいなどと説明している先生もいますが塩酸から保護されている粘膜が食塩なんかでダメージを受けるでしょうか?

 又、腎臓は塩分を排出するので塩分が多いと負担がかかるなんて話も腎臓の塩分排出の仕組みから考えたら噴飯ものだと思います。糸球体で血液を物理的ろ過した水分から尿細管で塩分を最吸収する事を考えると塩分(ナトリウム)が少ないほど腎臓は仕事をしなくてはならず、ナトリウムが多いほど楽が出来るという事になると思うのですが。

 昔に比べると熱中症で倒れる人が非常に多いような気がします。(これはデータを調べてないのではっきり言えませんが)
 高校駅伝で脱水症状でリタイヤしたり学校の屋外授業で倒れる事例も相次いでるのは、慢性的な塩分不足の人が増えている結果という可能性も考えられます。

 一昔の人が消毒しないとバイキンが入って大変になるよという呪縛に縛られていたように、塩分に関しても大部分の人が控えなきゃいけないという呪縛にしばられているのではないかと思います。
 消毒や糖質制限と同じように間違った呪縛にとらわれて不健康な生活を送っている人が健康的な生活を取り戻せるよう、塩の重要性についても話題としてとりあげていただければ幸いです。

 

 

 ざっくりとまとめるとこんな感じでしょうか。

  1. 塩分制限で血圧が下がるのは食塩感受性がある人だけで、その割合はあまり高くない。
  2. つまり、ほとんどの高血圧患者は、塩分制限をしても血圧は下がらない。
  3. 不必要な塩分制限による塩分不足が原因で、熱中症が増えている可能性がある。

最近の記事

カテゴリー

月別アーカイブ