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2012.3.13 カテゴリー|トリガーポイント注射
当院のホームページhttps://nishibori-seikei.com/qanda.phpを見たお父さんから問い合わせの電話がありました。
「硬式テニスをしている中学生の息子が、2か月くらい前から右手首を痛がっている。近くの整形外科でTFCC損傷と診断され、治療を受けているがよくならず、今では鉛筆を握ることもつらいようだ。選抜のメンバーに選ばれていて、近々海外遠征にも行く予定なので、トリガーポイント注射で治せないだろうか?」
「診察してみないと何とも言えませんが、トリガーポイント注射で治る可能性はあります。」
と答えました。
それならぜひ診てもらいたいということで、車で2時間かけて、息子さんを連れてこられました。
診察したところ、痛みは確かに手首の小指側にあるのですが、TFCC損傷を疑う所見は少なく、前腕に数か所の圧痛点を認めました。
軽いTFCC損傷と前腕の筋筋膜性疼痛症候群と診断し、圧痛点にトリガーポイント注射を行いました。
5日後に、再度診察に来てくれました。疼痛はかなり軽減し、日常生活では痛みを感じなくなったそうです。圧痛点の数も少なくなっていました。
痛みが出たらすぐやめるという条件でテニスを再開することを許可しました。このままよくなり、将来、日本を代表するようなテニスプレイヤーになってくれると嬉しいです。
2012.3.07 カテゴリー|湿潤療法
当院のホームページhttps://nishibori-seikei.com/に次のようなお問い合わせがありました。
祖母の褥瘡で悩んでおります。
先生のところでは、褥瘡の治療は行っていらっしゃいますでしょうか。
例えば、イソジンゲル、ユーパスタ等の薬を処方して頂き、家でラップ療法を行うことはできるのでしょうか。
お忙しいところ申し訳ありませんが、お返事下さいますと幸いでございます。
どうぞ宜しくお願い致します。
それに対する私の返事
お問合せありがとうございます。
当院でも褥瘡の治療は行っています。
当院は湿潤療法(ラップ療法)を行っていますが、イソジンゲルやユーパスタなど傷を深くするだけで、感染予防効果がない有害な軟膏は使用してません。
何度か通ってもらい処置のやり方を覚えて頂き、褥瘡の状態が落ち着いたら、創傷治療用の材料(プラスモイストトップなど)を購入していただき、自宅で処置してもらいます。
褥瘡の状態にもよりますが、その後の通院は2週間に1度程度になると思います。
その後、この患者さんは受診してません。
現在やっているイソジンゲルやユーパスタによる治療を、私が否定したからかもしれません。
褥瘡に対するラップ療法と、キズやヤケドに対して行っている湿潤療法は基本的に同じものなので、ラップ療法でも褥瘡の消毒や、消毒薬を含んだ軟膏の塗布は行いません。
イソジン等の消毒薬は、褥瘡の中の細菌の数を一時的に減らしますが、1時間もすると元に戻ってしまいます。いくら消毒しても、細菌感染を防ぐことはできません。
消毒薬は、最近を減らす以上に褥瘡の中の正常な細胞を傷つけてしまいます。その結果、消毒をすると褥瘡はより深くなってしまいます。
湿潤療法やラップ療法では、創を消毒しないことが大原則です。イソジンゲルやユーパスタなど、創の中の細胞を著しく傷害する軟膏を使うことは決してありません。
褥瘡は、ウェットティッシュなどできれいに拭いてもらい、乾かないようにラップやプラスモイストなどの創傷被覆材で覆うだけで、よくなっていきます。
2012.3.05 カテゴリー|トリガーポイント注射
S総合病院にS先生というベテランの整形外科医がいます。S先生は、痛みやしびれで受診した患者さんに、
「ばぁちゃん、悪いのはスジだ。心配ねぇ。スジさ注射すればなおっから。」
と説明し、局所注射をしていました。
研修医だったころの私は、痛みの原因は椎間板ヘルニアや変形性関節症などの骨や軟骨の構造異常が原因だと教わっていたので、S先生がいうスジが原因の痛みなどないと考えていました。
なので、当時の研修医たちは、なんでもスジのせいにするS先生の外来を、スジクリニックと揶揄していました。
しかし、その後、構造異常は痛みの原因でないことや、筋肉(スジ)が原因で痛みやしびれがでる病気(筋筋膜性疼痛症候群)があることがわかってきました。
そして、痛みの原因になっている筋肉にトリガーポイント注射をすることで痛みが楽になることもわかってきました。
つまり、S先生は何十年も前から筋筋膜性疼痛症候群に対するトリガーポイント注射を実践していたのです。
現在、外来を受診した患者さんに私はこう説明しています。
「痛みの原因は筋肉の緊張です。緊張している筋肉に注射をすればよくなりますよ。」
2012.2.29 カテゴリー|トリガーポイント注射
50代の男性の患者さんが受診してきました。数年前から、発作性に右後頸部の激しい痛みとめまいと吐気が出現するようになり、あちこちの病院でMRIや脳波などさまざま検査を受けましたが原因がわからず、途方に暮れていたそうです。
ある日、インターネットを見ていて、筋筋膜性疼痛症候群(以下MPS)という病気があることを知りました。
MPSとは、筋肉の繊維の一部が緊張してしこりとなり、そのしこりが原因で痛みやしびれなどの様々な症状が出る病気です。しこりの部分は圧痛を伴いトリガーポイントとよばれています。腰痛や肩こりの大部分はこのMPSが原因です。
診察したところ、右後頸部に圧痛のあるしこり(トリガーポイント)を認めました。この部位にトリガーポイントがあると、めまいや吐き気を起こすことがよくあります。
筋肉の緊張を緩めるため同部位にトリガーポイント注射を行い、抗癲癇薬のリボトリールを内服してもらうことにしました。
治療効果はてきめんでした。その日以来、発作は起こらなくなり、快適に過ごせるようになったそうです。
MPSはまだ医師の間でも認知度が非常に低い病気なので、病院で診察や検査を受けても原因不明と診断されてしまう方がたくさんいます。
私は筋骨格系の痛みのほとんどがこのMPSが原因で起こっていると思っています。
原因不明の痛みでお困りの方は是非当院で診察を受けてください。
2012.2.21 カテゴリー|その他の治療について
2週間前に、10歳の女の子が両手両足のしもやけで受診してきました。
両手両足の指が著しく腫れあがっていて、見るからにかゆそうで、かわいそうでした。
痒みのため夜も眠れないということだったので、抗アレルギー剤とステロイド軟こうを処方しましたが、1週間たっても症状は改善しませんでした。
そこで「新しい創傷治療」のhttp://www.wound-treatment.jp/を参考にして、血管拡張薬プロサイリン(ドルナー)を処方してみました。
すると、薬を飲んだその日から痒みが引いて、夜も眠れるようになり、1週間後には腫れもすっかり引いていました。
あまりの効果に、処方したこちらまで驚いてしまいました。
今後は、しもやけの患者さんにはプロサイリンを処方することにします。
しもやけどお悩みの方は是非当院を受診してください。