2016.8.23 カテゴリー|その他の治療について
交通事故にあって、どこも痛くも痒くもないのに、保険会社から
「念のため病院に行ってください」
といわれたからといって受診する患者さんがいます。
こういう患者さんが来ると、対応に困ってしまいます。
どこも痛くない患者さんのどこを診察したらいいのでしょう。
どこも痛くない患者さんのどこのレントゲンと撮ったらいいのでしょう。
手当たり次第に全身のレントゲンを撮ればいいのでしょうか?
交通事故で、骨や関節や筋肉を損傷すれば、必ず痛みが出ます。
痛くないと言うことは、どこも損傷されていないということです。
筋肉痛などの場合、事故の3日後くらいに痛みが出ることもありますが、痛みが全然ないときに、後から出る痛みを予測することは不可能です。
もしかして、私が知らないだけで、保険会社の社員は、後から痛みが出るところを見つける方法を知っているのでしょうか?
知っているなら是非教えてほしいものです。
交通事故の3日後くらいに出る痛みは、99%筋肉痛です。
ほっといても、1週間くらいで治ります。
なかなか治らない場合はトリガーポイント注射をすれば治ります。
受診するのは痛みが出てからで十分です。
どこも痛くないのに、症状が何もないのに、念のため病院を受診するは意味ありません。
時間の無駄です。
保険会社の担当に
「念のため病院に行ってください」
と言われたら、
「どこも痛くないのに、病院で何を調べてもらえばいいのですか?」
と質問してみてください。
たぶん何も答えられないと思います。
ちなみに、実際にこういう患者さんが来た場合は、上に書いたことと同じように、
「事故で、骨や関節や筋肉を損傷していれば、必ず痛みが出ます。痛みがないということはどこも損傷されていないということです。心配いりません。後から出る痛みは、筋肉痛なので、ほとんどの場合自然と治りますし、痛みが出てから治療をすれば大丈夫です。」
と説明しています。
2016.8.14 カテゴリー|トリガーポイント注射
最近、あるご婦人からこんな指摘を受けました。
「整形外科は進歩が遅いのではないですか?」
ドキッとしました。
このご婦人の言わんとしたことをまとめると
「がんの治療などは、どんどん新しい技術や薬が開発されて変化しているが、整形外科の治療は、昔とあまり変わっていない。ほかの分野に比べて進歩が遅いのではないですか?」
ということでした。
整形外科の治療が昔とあまり変わってないというのは、レントゲンを撮って、シップや痛み止めを出して、電気をかけて、それで治らなければ手術という治療体系が変わっていないという意味と、手術をしてもよくならない人が相変わらずたくさんいるという両方の意味だと思いました。
私はこう答えました。
「実は、痛みに対する治療の研究は最近始まったばかりなのです。痛みというのは脳が感じるものなので、とても複雑で、簡単には解明できません。それでも痛みについてだいぶわかってきているのですが、ほとんどの整形外科医はそのことを学ぼうとせず、相変わらず、骨や軟骨の変形を直せば痛みが取れると信じています。そういう意味で、ほかの分野に比べて進歩が遅いと言われれば遅いかもしれません。」
「整形外科は進歩が遅いのでは」と指摘され、否定できない現状はとても残念です。
骨や軟骨の変形を治せば痛みが取れるという前提自体が間違っているので、頭のいい偉い先生がいくら研究を重ねても治療結果がよくならないのです。
だから、ちっとも進歩しないのです。
体の痛みの原因はほとんどは筋肉の痙攣で、慢性痛の原因は脳の勘違い。
骨や軟骨の変形は痛みとは関係ない。
この点を踏まえて、研究がすすめられて、トリガーポイント注射よりもっと有効な画期的な治療が開発されて、はじめて整形外科の治療が進歩したと感じてもらえるのかもしれません。
2015.11.18 カテゴリー|医療に関する迷信
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とある病院が掲げていた「正しい医療のための10箇条」に賛否両論
とある病院が掲げていた「正しい医療のための10箇条」がネットで話題になっています。
ネット上では賛否両論のようですが、私はこの10箇条におおむね賛成です。特に「10.不調なときは、何かをするよりも何かをやめる方がうまくいくと知ること」に大賛成です。肥満や糖尿病を治すなら糖質摂取をやめればいい。ウォーキングのしすぎで膝が痛いならウォーキングをやめればいい。タバコが原因で掌蹠膿疱症になったらタバコをやめればいい。私が普段から主張していることとほぼ同じです。
同意しかねるのは「8.西洋医学は緊急疾患用の医療と知ること」です。ちょっとこれは言い過ぎです。慢性疾患に対しても西洋医学は有効だからです。むしろ伝統医学は急性疾患に対してあまり有効ではありません。こう言い換えればいいともいます。「緊急疾患は伝統医学では治せないので西洋医学にたよること」
2015.11.13 カテゴリー|医療に関する迷信
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高齢者の骨粗鬆症にカルシウムが無効なことは、高齢者の骨粗鬆症の原因を考えれば当たり前の話です。高齢者の骨粗鬆症は骨を作る工場(造骨細胞)の働きがわるくなるからであって、原材料(カルシウム)が不足しているからではありません。原材料ばかり仕入れても工場が働いてないのだから、原材料が余ってしまい心筋梗塞や尿管結石症のリスクが高まります。
また、骨はタンパク質で出来た柱にカルシウムがくっついている構造です。タンパク質も一緒にとらないとカルシウムだけでは骨になりません。転倒予防のために運動をしても、タンパク質をとらなければ筋肉は増えません。ところが、骨粗鬆症のおばあちゃんにかぎって、肉を食べずに米と野菜ばっかり食っているので困ったものです。野菜は体にいい、肉は体に悪いという古い間違った説に洗脳されているのだと思います。
現在はテリパラチドやビスフォスフォネート製剤など骨粗鬆症の骨折予防に有効な薬があるので、カルシウムのサプリなんか飲まずに整形外科にかかりましょう。
2015.9.30 カテゴリー|医療に関する迷信