2017.11.27 カテゴリー|医療に関する迷信
高血圧の新基準、最高140を130に 改善必要な「黄信号」 米ガイドライン
http://www.afpbb.com/articles/-/3150432
米国心臓協会(AHA)は13日、高血圧の診断基準について、これまでの140(最高血圧)/90(最低血圧)mmHgよりも低い130/80 mmHgとし、血圧がこの数値に達した時点で治療を開始すべきとの再定義を発表した。
従来の基準値では米国民の約3分の1に当たる32%が高血圧と見なされていたが、新たな基準値では国民の半数近い46%が高血圧と定義されることになる。
米国民の半数近くが高血圧って・・・・
半数の人がかかっているなら、もうそれは病気じゃなくて正常な状態なんじゃないの?
先日の講演会で林先生は「入院してきた高齢の患者さんの血圧の薬を中止すると、みんな元気になる。でも退院してまた血圧の薬を飲み始めるとまた元気がなくなる」とおっしゃっていました。
一般的に、血圧が高くなると動脈硬化が進んで、脳卒中などの危険が高くなるから血圧を下げなければいけないと考えられています。
でも、これもコレステロールの話と同じで原因と結果が逆になっているんじゃないでしょうか?
老化や喫煙、糖質のとりすぎ、肥満などが原因で血管が硬くなって、血管の通りが悪くなるから、脳や消化管、筋肉などの臓器に血液を届けるために心臓ががんばって働いて血圧を上げるのです。
それなのに、薬で血圧を下げちゃったら臓器に血液が行渡らなくなって元気もなくなりますよ。
老化はどうしようもありませんが、禁煙して糖質制限をして、加圧トレーニングをして肥満を解消すれば、動脈硬化を防ぐことができます。
私が医学生だった頃は最高血圧160以上で高血圧と診断されていました。
1993年から最高血圧140以上の人を境界型高血圧と診断されるようになりました。
2004年、日本高血圧学会は、診療指針を改定し、65歳以上の高齢者については、「降圧目標値」(下げるべき数値)を従来のグレーゾーンの「140~160」から「140未満」に引き下げました。ところが、奇妙なことに、この診療指針には「この目標値が妥当かどうか、現在のところエビデンス(証拠)がない」と書かれているそうです。
証拠がないのに基準を厳しくするとか怪しくね。
血圧の薬を売るために、製薬会社に対して学会の偉い先生が忖度してんじゃないの?
とりあえず、血圧が160以下で特に症状もなければ血圧の薬を飲まなくてもいいと思うよ。
2017.11.15 カテゴリー|トリガーポイント注射
40代の男性
5年前から、首こり、肩こり、背中の張り、腰痛、左耳なりに悩んできました。
整形外科を受診してストレイトネックと診断され体操の指導を受けてまじめにやったけど良くなりませんでした。
また、耳鼻科で調べてもらいましたが耳鳴りの原因はわかりませんでした。
先月、知人に勧められて当院を受診しました。
下図の部位にトリガーポイントを認めたので、トリガーポイント注射を行いました。
また、既往歴を聞くと、高コレステロール血症があり5年くらい前からクレストールを内服しているということでした。
「クレストールが筋肉の痛みの原因かもしれません。内科の先生に行ってクレストールを止めてもいいか相談してください。」
と説明しました。
1週間後、再診しました。
「痛みも耳鳴りもだいぶ良くなった。クレストールは医者に相談せずに勝手に止めたけど、それからすごく調子がいい」
トリガーポイント注射も効いたのだと思いますが、やっぱりクレストールの副作用だったのでしょう。
昨日ブログで紹介した林先生も、講演会の中で
「コレステロールは体の壊れた部分をなおす修理屋です。下げてはいけません!」
と言ってました。
全くその通りだと思います。
人間の細胞を取り囲んでいる細胞膜はコレステロールが主成分です。
筋肉が壊れたとき、コレステロールが足りないと修復されず痛みが残ってしまいます。
歳をとったらあちこち壊れるんだから、歳とともにコレステロールが上がるのは当たり前です。
スタチン系の抗コレステロール薬は全部、筋肉痛になるのですが、その中でもクレストール(ロスバスタチン)が一番ひどい印象です。
中高年以上の人で、全身の痛みで苦しんでいるような人のお薬手帳を見るとクレストールを飲んでいることが非常に多いです。
マジでクレストールを発売中止にして欲しいと思う、今日この頃です。
2017.11.10 カテゴリー|医療に関する迷信
先日、笠間市の夜間診療所で当番医をしたときのことです。
筑波大学医学部の5年生の学生さんが2人、見学に来ていました。
患者さんが来れば、レントゲンや血液検査などができない状況での、診察や治療のやり方を見せてあげることができるのですが、残念ながら(?)患者さんが一人も来なかったので、代わりに医師の先輩として偉そうにいろいろ語りました。
「医学は日々進歩しているので、先輩のいうことや教科書に書いてあることを鵜呑みにせず、自分で考えて新しい治療をどんどん取り入れなければいけない」という話をする中で「湿潤療法について知ってる?」と聞いたら、二人とも「知りません」と答えていました。
「創は消毒しないで乾かさないほうが早くきれいに治るんだよ。」と説明したら、二人とも驚いていました。
今の若い医師の間では湿潤療法が主流になっていると勝手に思い込んでいたので、こっちが逆に驚きました。
でも、よく考えたら、医学部の学生さんが湿潤療法について知らないのは仕方がないんですよ。
だって、医学部では傷の治療について、何一つ教えてくれませんから。
だから医学生の傷の治療に対する知識は一般人と同じレベルです。
今回の学生さん達にも、「暇があったら「湿潤療法」でググってみてね。」って言ったけど、ググったかなぁ。
ググっているようなら見込みがあるね。
2017.7.14 カテゴリー|トリガーポイント注射
70代の男性
8年前、健康診断で、腹部レントゲンを診た健診医から
「腰の骨が変形しているから、そのうち腰が痛くなるでしょう。」
と言われました。
その3年後から、草刈りをすると腰が痛むようになりました。
先日当院を受診しました。
そのときのレントゲンです。
確かに変形しているし、曲がっています。
でも70歳にもなれば、ほとんどの人が腰の骨に多少の変形があります。
骨が変形が腰痛の原因ならば、70歳以上の人のほとんどが常に腰痛を訴えていなければいけないはずです。
でもそんなことはありません。
実際に、この患者さんも草刈りをした後以外は腰痛はありません。
草刈りで痛くなるのは腰の周りの筋肉です。骨じゃありません。
「腰の骨の変形は痛みとは関係ありません。草刈りをすると痛くなるのは腰の筋肉が疲れて硬くなるからです。草刈りをする前に痛み止めを飲んで、終わったら湿布を貼ってください。」
と説明しました。
健診医をしているのはたいてい内科が専門の先生です。
腰痛のことはたいして勉強もしてないでしょう。
よく知らないなら、余計なことを言って患者さんに呪いをかけないで欲しいです。
2017.3.01 カテゴリー|医療に関する迷信
スタチン系と呼ばれるコレステロール低下薬があります。リピトールとかクレストールなどが代表的です。
高コレステロール血症があるメタボの中年男性や高齢者はほとんどみんな飲まされています。
このスタチン系の薬には横紋筋融解症という怖い副作用があります。
横紋筋融解症は、薬の副作用で筋肉にある横紋筋細胞が溶けて、細胞成分が溶け出して、最悪の場合は腎不全になってしまうこともあります。
横紋筋融解症の初期症状に筋肉痛があります。
スタチンを飲んでいる患者さんが筋肉痛を訴えると、内科の先生は横紋筋融解症を疑って、血液検査を行います。横紋筋融解症の場合、クレアチニンキナーゼ(CK)やカリウム(K)が上昇するので血液検査で診断をすることが出来ます。
血液検査の結果に異常がなければ「薬の副作用じゃないから心配ないです」と診断されます。
もちろん薬を中止したり変更したりはしてくれません。
内科の先生には直接言えないけど、そうじゃないんだよなぁ。
筋肉痛=横紋筋融解症じゃないんだよね。
スタチン系の薬には横紋筋融解症とは別に筋肉痛という副作用があるんだよね。
リピトールやクレストールの添付文書にもちゃんと記載があります。
リピトールの横紋筋融解症の発生頻度は「頻度不明」、肩こりや筋肉痛など発生頻度は0.1~5%です。
クレストールの横紋筋融解症の発生頻度は0.1%未満、肩こりや筋肉痛など発生頻度は0.1~2%です。
頻度不明というのは、ほとんどないと同じような意味なので、横紋筋融解症よりもずっと多い確率で肩こりや筋肉痛などが発生していることがわかります。
私はコレステロールは下げる必要がないと考えているので、筋肉痛がある患者さんは速やかにスタチン系の薬の内服をやめてほしいと思っていますが、内科の先生に治療方針にケチをつけるわけにもいかないのでなかなか難しいところです。
コレステロールは下げる必要ない
https://nishibori-seikei.com/blog/2015/02/post-479.html
コレステロールは下げる必要ないのつづき