2015.9.30 カテゴリー|その他の治療について
喫煙の健康影響は深刻 年間600万人が死亡 世界禁煙デー
2年前、WHOはタバコが原因で死亡する人が年間600万人を超えると発表しました。600万人という数はすごい数です。広島の原爆による死亡者数の約60倍です。ある意味、タバコは核兵器より危険なものといえます。タバコの煙に毒が含まれていることは、喫煙者の方でも否定はしないと思います。
もう7年前になりますが、中国製の餃子にメタミドホスという農薬が含まれていたために大騒ぎになりました。幸い一人の死亡者も出なかったのですが、農薬が入っているかもしれない、という理由で中国製の冷凍食品を誰も買わなくなってしまいました。それなのに100%毒物が入っているタバコは、年間600万人も殺しているのにほとんど何の抵抗もなく買われ続けています。メタミドホスは摂取した人にしか被害は出ませんが、タバコは周りにいる人にも被害が出ます。どちらがより有害なものかは明らかなのに、不思議な話です。
最近の生命保険は非喫煙者というだけで、保険料が30~50%割引になるものもあります。タバコを吸っていない人は、それだけ保険期間内に死亡する確率が低いのだから、当然と言えば当然の割引です。ところが健康保険は、喫煙者も非喫煙者も関係なく収入に応じて同じ額を負担させられています。タバコを吸っている人のほうが病気になる確率がずっと高いのだから、非喫煙者にとっては非常に不公平な負担といえます。これを是正するためには、タバコ税をもっと上げてヨーロッパ並みの1箱1,000円くらいにして、その税収を医療費に回すようにすればよいと思います。医療費などの社会保障費が不足しているため、消費税をさらに上げることがほぼ決まっていますが、その前にタバコ税をあげるべきです。そのほうが公平です。
農薬入り餃子を輸入していたのは、奇しくもJT(日本たばこ産業)でした。良い機会なので、食の安全と共にタバコの毒についてもよく考えてみてください。
2015.9.30 カテゴリー|医療に関する迷信
某大学の教授が論文にこんなことを書いていました。
「ほとんどお風呂に入らないような地域にはアトピー性皮膚炎の子供はいない、赤ちゃん用石鹸を発売中止にすれば、アトピー性皮膚炎はなくなる。」
世間の常識とかけ離れている意見なので驚いた方もいるかと思いますが、私もこの意見は正しいと思います。その理由を説明します。
目には見えませんが、人間の皮膚の上には、皮膚常在菌という善玉菌がびっしりと繁殖しています。この皮膚常在菌がいることによって、皮膚や人体に害を与える悪玉菌が進入できなくなっているのです。皮膚を健康に保つには、この常在菌を上手に育ててあげる必要があります。常在菌を育てるために必要なのは、皮膚の脂である皮脂です。皮脂は常在菌の栄養になり、また皮膚の乾燥を防ぐことで常在菌が住みやすい環境を作ります。また、皮脂に含まれる脂肪酸は常在菌以外の菌には毒となるので、悪玉菌の繁殖を防ぐ効果もあります。皮膚の健康を守るためには皮脂と常在菌がとても大切なのです。
生まれた直後の赤ちゃんの皮膚には常在菌がいません。お母さんの子宮の中は無菌状態だからです。赤ちゃんはお母さんとスキンシップを取ることにより、お母さんの常在菌を移してもらうのです。常在菌は皮脂を栄養として徐々に繁殖をしていきます。赤ちゃんは常在菌の繁殖がまだ十分でないので、大人に比べて皮膚の病気になりやすいと考えられます。赤ちゃんにとっては皮脂や常在菌は大人以上にとても大切なものなのです。ところが、日本のほとんどのお母さんは、「赤ちゃんにバイ菌がついたら大変だ。」と、毎日、殺菌剤入りの薬用石けんで赤ちゃんの体を丁寧に洗っています。すると、赤ちゃんの皮膚からは皮脂も常在菌も無くなってしまいます。その結果、黄色ぶどう球菌などの悪玉菌にとって居心地のいい皮膚になり、乾燥し、肌があれ、湿疹を起こしアトピー性皮膚炎になりやすくなります。肌に優しいといわれている弱酸性のボディーソープで洗っても、皮脂がなくなってしまうのは同じです。赤ちゃんの肌にいい石鹸などないのです。
では、どうしたらいいのでしょう。簡単です。石鹸を使わずお湯だけでやさしく洗ってあげればいいのです。出来ればお母さんも裸になって抱っこして一緒にお風呂に入れば、お母さんの常在菌を赤ちゃんに分けてあげることが出来るのでより効果的です。汗や垢による汚れは水溶性なので、お湯だけで十分に落とすことが出来ます。もともと石鹸は機械油などの水では落ちない汚れを落とすために発明されたものであって、汗や垢を落とすためのものではないのです。大人の場合も、においの元になるアポクリン汗腺の多い部分、陰部、わきの下、手のひら、足の裏などは石鹸で洗ったほうがいいかもしれませんが、その他の部位については、お湯で流してタオルで拭くだけで十分だと思います。私も実際に実行しています。おかげで冬でも乾燥することなく、つやつやの玉肌を保っています。また、我が家の末っ子は軽いアトピー性皮膚炎だったのですが、石鹸を使わなくなってから、肌の乾燥がなくなりすっかり良くなりました。
肌が乾燥しやすく、汗もあまりかかない冬の間だけでも試してみてはいかがでしょうか。
2015.7.21 カテゴリー|その他の治療について
60代の男性です。
2月頃、急に左小指の先が腫れて痛くなり近所の整形外科を受診しました。そこで切開排膿を受けて、そのあとずっとイソジン消毒を続けていましたが、2ヶ月たっても痛みが取れないため、T大附属病院に紹介されました。大学病院でレントゲン検査と血液検査を受けましたが、何も異常がなかったため、治療は特にないから様子をみるようにいわれました。
様子をみていても痛みが取れないため、親戚の紹介で当院を受診しました。
左小指が赤黒く変色していて、浮腫と関節拘縮を認めたので、軽いCRPS(複合局所疼痛症候群)と診断し、ノイロトロピンを処方して様子をみることにしました。
1ヶ月くらいして少し浮腫がひいたら、患者さん本人が小指のつけ根にしこりがあることに気がつきました。エコー検査でガングリオンと腱鞘の肥厚を認めました。
あれ、もしかして腱鞘炎かもと思って、ケナコルトの注射をしたら劇的に痛みが消えました。
すっかり痛みが取れた患者さんから「先生はやっぱり評判通りの名医だと」と褒められました。
しかし、これは私一人の手柄じゃないんですよね。
医学界には昔から「後医は名医」という言葉があります。最初に診た医者より後から診た医者の方が情報が多いのでその分診断や治療がしやすいのです。
今回の症例も大学病院で検査をして何も異常がなかったということが大きなヒントになっています。私が名医だから診断できたわけじゃないんですよ。
2015.5.24 カテゴリー|その他の治療について
40代のマラソンランナー
足首の腱鞘炎があり、当院で注射や貼り薬(ゼポラステープ)などで治療を受けていた方です。
しばらく来ないなあと思っていたら、貼り薬を貼ったら皮膚がかぶれたと言って、当院を受診しました。
足首の靴に隠れていない部分が、ヤケドのようにただれています。
「人からもらった貼り薬を使いませんでしたか?」と聞いたら、
「友達からモーラステープをもらって貼りました。」と答えました。
典型的なモーラステープによる日光過敏性皮膚炎です。
モーラステープは非常に良く効く貼り薬なのですが、貼った部分を日光に当てるとこのようなひどい日光過敏性皮膚炎になってしまします。
だから、私は、モーラステープは腰や殿部など服で隠れるところにしか処方しません。
医師でも薬剤師でもないのに、他の人に勝手に貼り薬を譲るのは、それが親切心からでも医師法や薬事法違反です。その結果、このようなひどい副作用を起こしてしまったら、過失傷害で訴えられても文句は言えません。
たとえ貼り薬でも病院で処方された薬は他の人に譲ってはいけません。特にモーラステープは危険なので絶対ダメです。
2015.5.22 カテゴリー|その他の治療について
質問メールへ返事をメールしましたが、PCからのメールをブロックする仕様になっているらしく、送れないのでここに返事の内容を載せます。
初めて✉させて頂きます
午前中に診察してもらった
Nの娘です
骨折との診断だそうで痛み止めの注射を打ってもらって、
1週間後にまた行くと聞きましたが、それまでの間は今まで通りに生活しても…? コルセットとかは必要いらないのですか?
お問合せありがとうございます。
第12胸椎圧迫骨折は認めましたが、おそらく古い骨折なので、コルセットなどは不要と思います。また、安静も必要ないでしょう。
骨粗しょう症がひどいので、週1回通院して骨を強くする注射(テリボン)を打った方がいいと思います。
にしぼり整形外科 院長 西堀靖広