HOME > 院長BLOG

院長BLOG

画像所見ばかり見ているから五十肩も診断できない

2019.11.11 カテゴリー|その他の治療について

 60代の女性

 半年前から左肩から腕にかけての痛みが出現しました。

 近くの整形外科を受診して、首と肩のMRIを撮り、頚椎に軽いヘルニアがあると診断され、首の牽引と電気治療を受けていましたが、ちっとも良くならず、痛みで夜も眠れなくなりました。主治医にそのことを相談すると「頚椎の影響って言ったでしょ」と言われロキソニンが処方されただけで、何もしてもらえず、困ってしまってメールで相談後、車で2時間かけて当院を受診しました。 

 ちなみに、メールの相談に対する返事はこんな感じです。

 診察していないので何とも言えませんが、頚椎のせいではないと思います。五十肩または棘下筋など肩甲骨周囲の筋肉の筋痛症じゃないでしょうか。トリガーポイント注射や関節ブロック、サインバルタの内服などが有効かもしれません。
 
 診察した結果、可動域制限もある典型的な五十肩(肩関節周囲炎)でした。
 関節内ブロックをして、カロナールとリボトリールを処方して、毎晩、お風呂上がりにストレッチをするように指導しました。
 
 画像所見ばかり見ていて、問診や理学所見をちゃんと診ないから、こんな典型的な五十肩さえ診断できないのです。
 画像所見による診断を信じて疑わないから、うまく治らなくても、他の疾病の可能性を疑わない。
 そして、治らないのは患者のせいと考えて切れる。
 
 後輩だったら、よくよく指導して間違いを正してあげられるんだけどね。どうしようもないね。
 
 
 
 

右足ブロック????

2019.11.08 カテゴリー|その他

 小学校1年生の男の子

 右足首が時々痛くなるので受診しました。

 お母さん「学校の検診で『右あしブロック』と言われているので心配なんです。」

 「右足ブロック?????」

 聞いたことありません。私がボーっと生きている間に、新しい病態が発見されたのでしょうか?私も学校医をやっているで知らないでは済まされません。ちょっと焦りました。

 「右足ブロックって、聞いたことないんだけど、膝とか足首が引っかかって動かなくなるの?」

 「そういうことはありません。私もよくわからないんです。」

 仕方ないのでグーグル先生に教えてもらうことにしました。

 一番上に出てきたのは、「心電図」の文字、そして「右脚(うきゃく)ブロック」・・・

 「それって、もしかして心電図の話げ?」

 「そうです」

 「それは右脚ブロックといって心電図の波の異常で、右足首の痛みとは全然関係ないよ」

 ホッとしました。

 

 ちなみに、右足首の痛みは成長痛でした。

 1歳下に弟がいるそうなので、「さみしいとか悲しいとか感じたときに、足の筋肉がつって痛くなるんです。痛みを訴えたら、抱きしめてなでなでしてあげてください。」と説明しました。

すぐに治しちゃっても患者さんはいなくならないよ

2019.11.07 カテゴリー|トリガーポイント注射

 70代後半の女性

 2ヶ月前から右膝痛が出現しました。近所の病院を受診してレントゲンを撮り軟骨が減っていると言われ、痛み止め内服薬と湿布が処方されました。3週間、薬を飲んでも治らなかったのでMRIを撮ることになり、その結果「手術をしないと治らない。」と医師から言われ怖くなって、知人のKさんの紹介で当院に逃げてきました。

 診察の結果、右膝の内側にトリガーポイントを認めました。筋肉ではなく腱の痛みだっったので、ケナコルト注射を行いました。

 

 1週間後に再診した際に患者さんはこう言いました。

 「おかげですっかり良くなった。こんなにすぐに治しちゃったら患者さんいなくなっちゃうんじゃないの。」

 私はこう答えました。

 「よくなった患者さんが別の患者さんを連れてきてくれるから、大丈夫。」

 「そうだと思って、今日は私も2人連れてきた。」

 「それは、どうもありがとう。」

 

 この患者さんを紹介してくれたKさんはすばらしい人格者で、Kさんの紹介で受診してくれる患者さんも皆さんいい方ばかりです。

 いい人はいい人を紹介してくれるので、客層がどんどん良くなります。

 

 逆に、職員に暴言を吐くような馬鹿をのさばらせていると、馬鹿が馬鹿仲間を連れてくるので客層がどんどん悪くなります。

 なので職員に暴言を吐くような奴は治してやりません。

 

 しかし、痛み止め飲み薬が効かなかっただけで手術を勧めるってどうよ。

 トリガーポイント注射やヒアルロン酸の注射、サインバルタ内服など手術以外の方法を試しからでも遅くないはずです。

 まあ手術の方がお金になるからね。でもそれで患者が逃げちゃったら意味ないよね。

16歳で腰部脊柱管狭窄症の手術をやられた気の毒な患者さん

2019.10.31 カテゴリー|トリガーポイント注射

 30代の女性

 2週間前から腰が痛くなったと当院を受診しました。

 トリガーポイント注射をしようと服をまくってみると、腰に約20センチの大きな傷がありました。

 話を聞くと、16歳の時に腰部脊柱管狭窄症の手術を受けたそうです。

 「じゅ、じゅ、じゅ、十六歳で、脊柱管狭窄症の手術をうけたのぉぉぉぉぉ。」

 びっくりして叫んでしまいました。

 16歳で腰部脊柱管狭窄症とか、ありえねぇからね。

 腰部脊柱管狭窄症は加齢性変化で腰の骨や椎間板や靭帯が変形して神経を圧迫する病気です。

 16歳で神経を圧迫するほど腰の骨や靭帯が変形するわけないじゃん。

 手術後約20年たった現在のレントゲンを示します。

20625ap.jpg20625lt.jpg

 手術で骨を削ったあとはあるけど、全然老化してないし・・・

 マジで藪医者。腰にでっかい傷が残って、自分の娘だったらマジで泣く。

 

 ちなみに、今回の腰痛はトリガーポイント注射2回でよくなりました。

 

腰椎MRI所見で将来歩けなくなることを予言することは不可能です

2019.10.29 カテゴリー|トリガーポイント注射

50代の女性

腰痛と右殿部痛で某病院を受診しました。

そこで、X線検査とMRIを受け、

「腰部脊柱管狭窄症でこのままだと将来歩けなくなるから手術したほうがいい。」

と言われ、不安になって、家族に相談して当院を受診しました。

 

念のため腰椎のレントゲンを撮ると、年齢相応の変化だけでした。

「MRIを見ただけで、将来歩けなくなることを予言することは不可能です。だから、手術をしないと将来歩けなくなるという話は100%嘘です。」

「痛みの原因は腰やお尻の筋肉痛です。固くなっている筋肉に注射をして筋肉の緊張をとれば治ります。」

と説明しました。

一応納得してくれて、安心して帰って行きました。

でも注射は嫌いだそうで、トリガーポイント注射は受けていきませんでした。

注射して痛みが取れればもっと安心できるのにね。

 

腰椎MRI所見で、将来歩けなくなることを予言することは不可能です。

MRIでひどい腰部脊柱管狭窄症になっていても、何の症状もなくスタスタ歩いている高齢者がいくらでもいるからです。

MRI所見と痛みやしびれや歩行能力に相関関係がないことは科学的研究で証明されています。

 

そもそも、将来歩けなくなるから手術をした方がいいって考え方自体おかしくないですか。

だって、実際に歩けなくなってきてから手術したって全然遅くないもの。

 

まさか、金儲けのために患者を脅して手術を勧めているわけじゃないとは思うけどね。

最近の記事

カテゴリー

月別アーカイブ