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2013.5.30 カテゴリー|その他
先日、20代の女性が受付に来ました。
「通勤中に、自損事故を起こしてしまった。自分の自動車保険の代理店に聞いたら、健康保険で治療を受けるように言われた。」
通常の自損事故の場合は、これでいいのです。健康保険で治療うけて、その自己負担分の領収書を保険会社に送ると、その分を保険会社から貰えます。
しかし、通勤中や帰宅中の交通事故では、この方法は使えません。
なぜなら、通勤中の交通事故は労災(労働災害)に該当するからです。
労災の治療費は、労働保険から全額でます。自己負担はゼロです。
労災の治療費を、健康保険に請求することは、健康保険に対する詐欺行為です。
以上のことを説明し、労災の手続きが済むまでは、自費診療になることを告げたら、
「じゃあ、他の病院にかかります!」といって帰っちゃいました。
ほかの病院に行っても同じだと思うけどなぁ。
その辺を適当にやっている病院もあるのかな。
2013.5.30 カテゴリー|その他の治療について
ばね指とは、手の指の腱鞘炎のことです。
手のひらの指の付け根のところには、指を曲げる腱(屈筋腱)が通るトンネルがあります。このトンネルを腱鞘と言います。
手を使いすぎたりすると、この腱鞘が炎症を起こして、硬く厚くなります。腱鞘が硬くなると、腱が通るトンネルが狭くなるので、引っかかるようになります。引っ掛かりが外れるときに、ばねの様に指が跳ねるので、ばね指とよばれています。強い痛みも伴います。
ばね指に対しては、ステロイドの腱鞘内注射が標準治療です。
腱鞘内注射を3回やってもよくならない時は、手術(腱鞘切開術)が行われます。
以前は、デカドロンというステロイドの注射を行っていました。しかし、デカドロンはばね指にあまり効果がなく、すぐに痛みが再発してしまい、結局ほとんどの患者さんに手術を行っていました。
10年くらい前から、ステロイドをケナコルトに変更しました。ケナコルトのばね指に対する効果は劇的でした。
注射をした患者さんの全員、翌日には痛みが消えます。引っ掛かりも1か月くらいで消えます。
半分くらいの患者さんは、半年くらい経つと再発しますが、もう一度注射すると、治ります。
その半分くらいの患者さんは、また半年後に再発しますが、3回目の注射をすると、ほとんどの患者さんで再発しなくなります。
ケナコルトを使う前は、ばね指の患者さんのほぼ全員を手術をしていました。
ケナコルトを使うようになってから、手術をした患者さんは数例程度です。
ばね指はケナコルトの腱鞘内注射で治ります。
2013.5.29 カテゴリー|医療に関する迷信
40代後半の男性
3日月くらい前から膝を伸ばすときにボキボキ鳴って痛みが出るようになり、当院を受診しました。
お話をよく聞くと、毎日10㎞くらいのウォーキングをしているそうです。
その時点で、「そりゃ、ウォーキングのやりすぎでしょ。」と思いましたが、本人の希望もあり念のためレントゲンを撮りました。
レントゲンでは異常ありませんでした。触診で、内側広筋に数カ所のトリガーポイントを認めました。
思った通り、ウォーキングのやりすぎによる筋筋膜性疼痛症候群(MPS)でした。
「ウォーキングのやりすぎで、筋肉が硬くなっているため、関節がスムーズに動かなくなりボキボキ鳴るのです。早く治すなら、トリガーポイント注射が有効ですが。ウォーキングを1か月くらい休めば、それだけでよくなる可能性もあります。」
と説明しました。
「じゃあ、しばらくウォーキングを休みます。」
と返事をして、お帰りになりました。
でもどうでしょう。本当にウォーキングを休むとは思えません。
毎日10㎞歩いているということは、毎日3時間近くウォーキングのために時間を費やしているということです。もう完全に「ウォーキングしないと死んじゃう病」です。
ウォーキングは体にいい!
ウォーキングさえしていれば健康でいられる!
ウォーキングしないと病気になる!
ウォーキングしないと歩けなくなる!
と思い込んでいるはずです。
でも残念ですが、ウォーキングには痛みを我慢してまでやるほどの効果はありません。
関連ブログ
ウォーキングをしないと死んじゃう病
https://nishibori-seikei.com/blog/2013/01/post-172.html
筋筋膜性疼痛症候群とは
2013.5.28 カテゴリー|トリガーポイント注射
40代の女性
5月3日ごろより右膝後面の痛みが出現しました。
5月5日に普通に歩いていたら、膝の裏がブチッとなり、痛くて歩けなくなりました。
すぐに某整形外科を受診し、レントゲンには異常がなく、「後十字靭帯損傷」と診断されました。
松葉づえ歩行を2週間行い、歩けるようにはなりましたが、痛みと違和感が残っているため、当院を受診しました。
経過を聞いて、後十字靭帯損傷ではなく、膝窩筋の筋筋膜性疼痛症候群(MPS)だろうと診断しました。
触診をしてみると、予想通り膝窩筋に圧痛を認めました。
「膝の裏側にある膝窩筋という筋肉の肉ばなれみたいなものですよ。」と説明してトリガーポイント注射を行いました。
注射1回で痛みは消えました。
肉ばなれもMPSの一種です。
筋筋膜性疼痛症候群(MPS)とは?
https://nishibori-seikei.com/blog/2013/05/mps.html
後十字靭帯は1㎝位の太さがある丈夫な靭帯です。スキーのジャンプで転んだとか、車に跳ねられたなどの、かなり大きな衝撃が加わらないと切れません。歩いているだけで切れるわけありません。
2013.5.28 カテゴリー|トリガーポイント注射
40代の男性
1年前に、急に右股関節周囲に強い痛みが出現しました。某整形外科医院を受診し、レントゲンを撮ってもらいましたが異常はありませんでした。
「骨に異常がないから原因はわからない」と言われ、痛み止めの薬を貰いました。
薬を数週間飲んだら痛みがなくなりました。
数日前に、同じ場所が夜中に急に痛くなり、歩くことも困難になったため、当院を受診しました。
お話をよく聞くと、痛くなる前の日に重いものを持って運ぶ作業をしたそうです。
触診をすると、下図のように小殿筋と中臀筋にトリガーポイントを認めました。
「筋肉の痙攣が原因の痛み」であることを説明して、トリガーポイント注射を打ったら、次の日には普通に歩けるまでに回復しました。
この方の痛みの原因は筋筋膜性疼痛症候群(MPS)だったのです。
筋筋膜性疼痛症候群(MPS)とは?
https://nishibori-seikei.com/blog/2013/05/mps.html
整形外科を含む、ほとんどの医師はMPSという病気があることを知りません。
筋肉が原因で痛みやしびれが起こるということを知りません。
痛みやしびれは、骨や軟骨の変形などの構造異常が原因で起こると思っています。
だから、レントゲンやMRIで異常がないと「原因不明の痛み」になってしまうのです。