2014.5.20 カテゴリー|トリガーポイント注射
仕事は運動ではなく労働です。
腰痛や肩こりの患者さんに原因を聞かれ、「疲労や運動不足や精神的ストレスなどが原因です。」と答えると、「俺は仕事をたくさんしているから運動不足はないな。」と答える患者さんがいます。でも仕事は運動ではなく労働です。
運動と労働は何が違うのでしょう。労働は基本的に同じ動作を繰り返すことが多いので、常に同じ筋肉ばかりに負担がかかってしまいます。その結果、その筋肉が痛くなってきます。また労働には精神的ストレスが伴います。精神的ストレスは痛みを強くします。
仕事が楽しくてしょうがないからストレスは感じないという方も稀にいますが、たいていの人は仕事にストレスを感じているはずです。私だって、整形外科医という職業が好きで楽しんで働いていますが、やっぱり休みが恋しいです。休みの日に家族と過ごしたり、ゴルフに行ったりした方が仕事よりずっと楽しいです。それはやはり、いくら楽しくても仕事にストレスを感じているからです。
運動で、普段仕事に使っていない筋肉を使うことで、筋肉のバランスが整い、痛みが軽くなります。また、何と言っても運動することでストレスが解消されます。その精神的効果は絶大です。
まあでも、運動しなくちゃいけないと思い込んで、痛いのに無理に運動して、余計痛みと精神的ストレスをため込んでは逆効果です。運動の目的はあくまでストレス解消です。運動で余計ストレスがたまるようならやめたほうがいいです。
2014.4.10 カテゴリー|その他
先日、中学校の入学式でPTA会長として挨拶してきました。そこから抜粋。
「部活動は学生時代しかできないことなので、積極的に参加してください。これはPTA会長というより整形外科医としての意見なのですが、運動が苦手な子ほど、中学校の時くらいは運動部に入ってほしいと思っています。私もそうでしたが、運動が苦手な子は運動が嫌いです。中学校の時に運動部に入らないと、おそらく一生ちゃんとしたスポーツをしないので、スポーツの楽しさを知ることなく過ごしてしまいます。それはとてももったいないことです。ぜひ運動部に入って頑張ってください。」
何度かこのブログに書いていますが、私はものすごい運動音痴です。かけっこは断トツのビリで、スポーツテストはいつも級外でした。だから運動することが嫌いでした。しかしだからこそ運動をした方がいいだろうと考え、中学校の時は卓球部に入りました。同級生の中で一番へたっぴでしたが最後まで続けました。高校では部活をやりませんでしたが、医大に入ってから野球部に入りました。レギュラーにはなれませんでしたが6年間続けました。おかげで体力が付き、体力勝負の整形外科の研修を乗り切ることが出来ました。大学卒業後は忙しさにかまけて、何も運動をしませんでしたが、8年前にダイエットのために加圧トレーニングを始めました。加圧トレーニングをする上でも、野球部時代に筋トレのやり方を覚えたことが役に立ちました。8か月前にゴルフを始めたばかりですが、つい先日104で回ってきました。もうすぐ100がきれそうな勢いです。これも野球や加圧トレーニングをしていたおかげでしょう。すべては中学校時代に苦手な運動から逃げずに卓球部に入ったことがよかったんだと思います。
中学生の頃は体が一気に成長します。なかでも持久力が付きやす時期です。この時期に運動をすることで基礎体力を強くすることが出来ます。また苦手なことでも最後まで続けられたという自信がその後の人生を支えてくれることでしょう。
運動が苦手と言っても、もしかしたら短距離走が遅いだけで、長距離走がものすごい得意かもしれません。もしかしたら球技が苦手なだけで、柔道などの格闘技には抜群のセンスを持っているかもしれません。また、急激に背が伸びて、バスケットやバレーボールのエースになることだってあるでしょう。それもこれも挑戦してみなければわかりません。
運動が苦手な子こそ中学校の時くらいは運動部に入って体をきたえることをお勧めします。
2014.4.02 カテゴリー|医療に関する迷信
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140327/k10013291181000.html
消費者庁によりますと、これらの会社は、販売する合わせて25の除菌グッズについて、ホームページなどに「二酸化塩素を発生させて生活空間の細菌やウイルスを取り除く」などと表示していました。
こうした表示について、消費者庁は、裏付けとなる根拠を示すようすべての会社に求めましたが、いずれの会社からも十分な根拠は示されなかったということです。
要するに、去年の冬に販売を開始されて、爆発的にヒットした首から下げるカード型の除菌グッズには、インフルエンザや花粉症を予防する効果を示す根拠は全くないということです。二酸化塩素は昔から除菌に使われていた化学物質です。首から下げただけで、周囲空間の除菌が出来るわけがないことは、高校レベルの科学をちゃんと勉強した人にはすぐに分かることです。だから去年まではこんなインチキ商品は存在しませんでした。
ここからは私の推測ですが、どっかの会社の商品開発者が、「この二酸化塩素をカードにしみこませて、首から下げるだけでインフルエンザを予防できると銘打って販売したら、馬鹿な消費者が騙されて買うんじゃね。」と思いつき販売したら、嘘みたいに売れたのでほかの会社も真似して続々と販売したということだったのではないでしょうか。(二酸化塩素は昔から知らている物質なので特許も何もありません)
まんまとだまされた人がたくさんいました。今年は去年よりかなり減りましたが、いまだにぶら下げている人がたまにいますね。すぐに外したほうがいいですよ。あんなのぶら下げてたら、「私は科学的に物事を考えるのが苦手で騙されやすい人間です」って看板をぶら下げているのと一緒だからです。詐欺がよってきてしまいます。
詐欺がよってくると言えば、飲むヒアルロン酸とかグルコサミンとか、やはり効果を示す根拠がない健康食品の購入者のリストが詐欺組織に出回っているそうです。要するに「騙されやすい年寄りのリスト」ってことですね。
2014.3.12 カテゴリー|その他
岩間中学校の卒業式で、PTA会長として来賓祝辞をしてきました。我ながらうまくできたので、ここに載せちゃいます。
ただいまご紹介いただきました。PTA会長の西堀です。
卒業生のみなさん、本日はおめでとうございます。
保護者の皆様におかれましても、大きな区切りの日となることでしょう。
PTAを代表いたしまして、ひとことご挨拶を申し上げます。
これから卒業生のみなさんは、それぞれの新しい世界へと旅立って行かれます。皆さんは今、様々な能力が人生の中で最もレベルアップしやすい年頃です。いろいろなことに積極的にチャレンジすることによって、思いもかけない能力が覚醒し、たくさんのスキルを身に着けることが出来ます。このチャンスを無駄にしないために、あえて厳しいところにも飛び込んで自分を磨き、世の中の役に立つ人間に育ってください。岩間中学校で培った力を持って、大きく進化してほしいと願っています。
保護者のみなさまには、3年間PTAの活動にご協力いただきまして、本当にありがとうございました。
本日は誠におめでとうございます。
子供たちにわかりやすいように、レベルアップとかスキルとか能力覚醒とか進化とかパズドラの用語を入れときました。 「挨拶は短くわかりやすく、よけいなアドリブを入れない。」そのように心がけています。
2014.3.05 カテゴリー|トリガーポイント注射
福島県中央部に在住の60代の男性
3か月ほど前から右臀部からふくらはぎにかけての強い痛みが出現しました。近所の整形外科でMRIを撮り、「軽いヘルニアがあるが手術するほどじゃない」と言われ、硬膜外ブロックや神経根ブロックを受けましたが、症状が改善しなかったため、ネットで調べ、MPSについて知り、車で3時間かけて当院を受診しました。
右臀部や右ふくらはぎに8か所のトリガーポイントを認めたため、トリガーポイントを認めたので、トリガーポイント注射を打ちました。その後週1~2回通院してもらいました。
1回目の注射で、痛みが10分の9に減りました。
2回目の注射で、痛みが10分の8に減りました。
3回目の注射で、痛みが10分の7に減りました。
「少しずつですが、確実に良くなっているので、根気よく治療をしましょう。」と声をかけたら、
「腹減ったとこに飯食ったみたくは治らねぇことは、わがってっから大丈夫だ」と答えられました。
福島県で診療していたころは、この「腹減ったとこに飯食ったみたくは治らない」という言い回しを、患者さんからよく聞きました。茨城県ではこういう言い方をする患者さんはあまりいません。福島県特有の言い回しなのかな?