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下肢痛=腰からきている神経痛じゃないからね

2017.3.14 カテゴリー|トリガーポイント注射

 60代の茨城県南地区にお住まいの男性です。

 1月にゴルフをたくさんした後から、右殿部から右大腿前面にかけて強い痛みが出ました。

 近所の整形外科を受診したら、腰からきている神経痛だと診断され、痛み止めを処方され、毎日のように牽引治療に通いました。

 しかし、痛みはだんだんひどくなり、あぐらもかけず、自分で靴下をはくことも出来なくなり、夜も痛みで眠れないようになりました。

 家族の紹介で今月初めに当院を受診しました。

 下図のごとく、大腿前面(たぶん縫工筋)と殿部(たぶん中殿筋)にトリガーポイントを認めました。

12523.jpg

 トリガーポイント注射1回で、あぐらもかけるようになり、靴下もはけるようになり、夜も眠れるようになりました。

 ゴルフのやり過ぎによる、筋肉痛でした。

 

 「ゴルフをたくさんやった後に、太ももやおしりが痛くなった」って聞いたら、

 普通の人は「それは筋肉痛だろう」って答えるのではないでしょうか。

 ところが、整形外科医だけは違います。

 殿部や太ももの痛みは、腰からきている神経痛と診断してしまいます。

 「殿部や下肢の痛み=腰からきている神経痛」と教え込まれていて、そこで思考停止しているからです。

 

 おしりや太ももの筋肉が痛いのに、腰引っ張ったって効くわけないよね。

 

 

慢性疼痛に対する整形外科の治療満足度は20%だって、やばくね

2017.2.21 カテゴリー|トリガーポイント注射

 先日、慢性疼痛に関する治療の勉強会に参加してきました。

 その中で、講師の先生が提示したデータがやばかったので紹介します。

 慢性疼痛で治療中の患者さんに治療満足度をアンケート調査したものです。

 その結果、治療満足度は、ペインクリニックが約80%、接骨院と鍼灸院が約60%、そして整形外科がたった20%でした。

 これ、マジでやばくないですか?

 

 理由はわかっています。

 ほとんどの整形外科医が、骨や軟骨の構造異常が慢性疼痛の原因と勘違いしているからです。

 だから、MRIやCTを行って、必死になって構造異常を探そうとします。

 たまたま構造異常が見つかると、それが痛みの原因と断定して手術などで構造異常を治そうとします。

 しかし、その構造異常は慢性疼痛とは無関係なことが多いので手術をしても治りません。

 構造異常が見つからなければ原因不明です。

 原因不明なので、ろくに説明もなく薬や湿布を出して終りです。

 構造異常が原因だと思っているので、コンピューターの画面ばかり見ていて、患者さんに見ることも触ることもしません。

 これじゃ、治療満足度20%も仕方がないです。

 

 ペインクリニックの先生は慢性痛の原因が脳や筋肉の機能異常だと知っているので、そのことを説明して患部を見て、触診し神経ブロックやトリガーポイント注射をしてくれます。

 接骨院や鍼灸院の先生も、患部を直接触って治療してくれます。

 だから治療満足度が高いのです。

 

 数日前に当院を受診した60代の患者さん。

 1年くらい前から右殿部からふくらはぎの痛みがあり某総合病院の整形外科にかかっていました。画像所見で異常が無く坐骨神経痛と言われて痛み止めをもらっているけど、全然よくならなかったそうです。

 診察するために、「ズボンと股引を脱いでベットに寝てください」と指示すると、「前の病院の先生は、コンピューターの画面ばかり見ていて、ズボンを脱がすどころか、痛いところを触ろうともしなかった。」と驚いていました。

 

 日本では昔から治療のことを「てあて」といっていました。

 「てあて」とは、患部に手を当てることです。

 治療者の原点を忘れてしまって、コンピューターの画面ばかり見ていてるから、治療満足度が低いのです。

「筋肉由来の腰痛もある」←そこまでわかっていて、なぜMPSにたどり着かない!

2017.2.10 カテゴリー|トリガーポイント注射

 昨日は、水戸に講演会を聞きに行きました。

 

 演題1は精神科の先生によるサインバルタの作用と使い方のお話でした。

 ざっくりまとめると「双極性感情障害(躁うつ病)の患者さんにサインバルタを処方すると躁状態になって大変なことになることがあるので、処方前に必ず躁うつ病の既往を確認してください」って感じでした。

 

 演題2は若い整形外科の先生の話でした。

 慢性腰痛に対する治療のついてでしたが、はっきり言って「それって、20年前に菊地臣一教授に教わった話だよ。つまね。」って感じでした。

 ただ、演題終了後の質疑応答でちょっと面白い質問がありました。

 「腰痛に対して、鍼灸マッサージが効くことがありますが、その機序はどのようなものだと考えていますか?また、どういった患者さんに鍼灸マッサージが効くと思われますか?」

 それに対して縁者の先生の答えは

 「鍼灸マッサージが効く機序はわかりません。ただ、サルコペニアの予防のためにリハビリをさせると腰痛が良くなることが多いしので、筋肉由来の腰痛もけっこうあるのかなと思います。また、椎間板の痛みの患者さんに腰部の筋力強化のリハビリをさせると痛みが取れることが多いので、筋肉を鍛えることで腰椎の安定性が得られて痛みが取れるのだろうと考えています。」

 う~~~ん。答えになってないよね。

 私だったらこう答えます。

 「腰痛の95%は腰や殿部の筋肉に出来たトリガーポイントが原因です。鍼灸マッサージでトリガーポイントを直接治療することで腰痛が良くなります!ほとんどの腰痛患者に鍼灸マッサージは有効です。無効なのは残りの5%の骨折、感染、癌転移の患者さんだけです。」

 超シンプルでわかりやすい答えだと思いませんか。

 「筋肉由来の腰痛もある」までわかったのなら、「もしかして、今まで椎間板や椎間関節、仙腸関節由来だと思っていた腰痛も筋肉由来なのでは?」と思いつき、ネットでググって「MPS(筋筋膜性疼痛症候群)」にたどり着けないかな。

 大学の先生だからね。学会や論文ばっかり見ていてネットとか見ないんだろうね。

腰のトリガーポイント注射では寝たきりにはならないよ!

2017.1.12 カテゴリー|トリガーポイント注射

 80代のおばあちゃん

 10年前の開業当初から、時々受診して、首や腰や手の痛みに対して、トリガーポイント注射や関節ブロックを時々受けていた患者さんです。

 先日、2年ぶりくらいに当院を受診しました。

 畑仕事をたくさんしたら腰が痛くなったそうです。久しぶりだったので、念のため腰椎のレントゲンを撮りましたが、老化現象のみで新しい圧迫骨折などは認めませんでした。

 腰の筋痛症と診断して、トリガーポイント注射を勧めようとしましたが、「腰には絶対に注射しない!」と言われました。

 「前にも、腰にも注射しているじゃん。何で?」と聞いたら。

 「近所のばあちゃんが、腰痛で入院して、腰の注射を受けたら、そのまま寝たきりになっちゃったから、絶対にやらない!」と言われました。

 

 『それって、俺がやった注射じゃないじゃん』とか

 『前にうちで注射して何ともなかったじゃん』とか

 『近所のばあちゃんも本当に注射のせいで寝たきりになったのかどうか、わからないじゃん』とか

 『本当に注射のせいで寝たきりになったとしたら、神経根ブロックや腰椎硬膜外ブロックを受けて感染症か血腫による麻痺を起こしたのだろうけど、そんな危険な注射、うちではやらないし』とか

 いろいろ言いたいことはありましたが、思い込んじゃっているおばあちゃんに何を説明しても無駄だろうと思って黙ってました。

 

 それで、「わかりました。では薬と貼り薬だけで様子みてちょうだい。」とだけ言って、帰そうと思ったのですが、なんだかもやもやしていたもんで、続けていろいろ言ってしまいました。

 「でもね、『腰の注射を打つと寝たきりになる』なんてデマを広げられると、うちにとって営業妨害になるから止めてくれ。俺に腰の注射をしてもらうために県外からも患者さんが来ているんだから、そんなデマを広げられたら非常に困る。」

 おばあちゃんはびっくりして「そんなこと誰にも言わないよ」と言ってたけど、絶対言うだろうな。

 

 当院で行っている腰の注射はトリガーポイント注射です。筋肉に局所麻酔薬を打つだけなので危険性はほとんどありません。

顎関節痛にトリガーポイント注射が効いた

2016.12.19 カテゴリー|トリガーポイント注射

 60代の女性

 8月末頃から両顎関節に痛みがあり、口腔外科を受診しました。画像診断上、関節には異常がなく咀嚼筋の筋痛症と診断されました。加茂先生が出演したテレビ番組を見て、近所の整形外科でトリガーポイント注射をお願いしましたが、「そんなの効かないよ」いわれて断られました。ネットで調べて12月に当院を受診しました。

 顎関節周囲(たぶん咬筋)にトリガーポイントを見つけたので、右に3カ所、左に1カ所トリガーポイント注射をしました。また、朝起きたときが一番つらいということだったのでリボトリール0.5を寝る前に1錠飲んでもらうことにしました。

 

 1週間後に再診した際に、「だいぶ良くなりました」と喜んでいました。

 

 整形外科医ではないのに筋痛症という病気があることを知っていた口腔外科の先生には拍手を送りたいと思います。

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