2019.7.29 カテゴリー|その他の治療について
70代の女性
5年くらい前に転倒して左殿部を打撲してから、ずっと左殿部が痛いそうです。
○○整形外科に通院して湿布と電気治療を受けているけど良くならないため、知人に勧められて当院を受診しました。
○○整形外科の湿布の種類を確認するためにお薬手帳をみせてもらったら、△△病院の整形外科からも別の湿布をもらっていました。
「なんでこれ、2カ所の病院から湿布もらっているの?」
「怪我してすぐに△△病院にかかって、そのままずっと治療を受けています。」
「てことは、ずっと2カ所の病院で治療を受けていたってことなの。そのことを○○整形外科の先生や、△△病院の先生は言ってある?」
「いえ、言ってません。」
「それ一番ダメな治療の受け方だよ。痛みの治療に関しては医者と患者の信頼関係が一番大切です。医者に内緒で、同じ病気で別の医者にかかっていたら信頼関係は築けません。医者によって診断や治療は変わります。特に俺は、他の医者とは違う診断と治療をするので、○○整形外科の先生や△△病院の先生とは全然違う説明をするでしょう。すると患者さんは混乱してよけいに治りが悪くなってしまします。」
「二股かけている人とは信頼関係は築けないでしょ。浮気しちゃダメ、本命一本に絞らないとダメ。」
「今後、○○整形外科や△△病院の通院を止めて、治療を当院一本に絞る決心がついたら、また受診してください。」
と説明して、一度お帰りいただきました。
信頼関係が大切だからね。二股かけちゃダメだよ。
2019.5.10 カテゴリー|その他の治療について
30代の女性
半年ほど前から、歩くと両足の親指の付け根が痛くなるようになりました。
近くの整形外科を受診して、「外反母趾じゃありませんか?」と質問したところ、「レントゲン画像で、親指の角度を測った結果、曲がりが少なく外反母趾ではない。」と説明されました。
腰から来ている両足の痛みと診断され、腰の牽引治療と電気治療を受けましたが良くなりませんでした。
また、ミオナール(筋弛緩薬)、メチコバール(ビタミンB12)、ノイロトロピン(鎮痛薬)が処方されましたが、全然効かないので飲まなかったそうです。
先日当院を受診しました。
視診のみで、軽い外反母趾とひどい開帳足があることがわかりましたので、以下のように説明しました。
「これは外反母趾の痛みです。外反母趾は足の親指が外側に曲がる病気だと思っていると思いますが、親指が曲がるのは原因ではなく結果です。外反母趾の原因は、足の裏の筋肉が弱くなって、足の甲がぺたっと平らに広がってしまうからです。その結果、親指が外側に曲がってしまうのです。」
「足の甲がぺたっと広がっている状態を開帳足といいます。開帳足を治すために、包帯療法をします。足の裏の筋力を鍛えるために足のグーパー体操もやりましょう。2週間くらいで痛みがなくなると思います。」
外反母趾を手術しないで治す(包帯療法)
https://nishibori-seikei.com/blog/2012/06/post-9.html
足のグーパー体操のすすめ
https://nishibori-seikei.com/blog/2018/04/post-744.html
腰の牽引治療を100万回やっても外反母趾は治らないよね。
画像診断にたよって、患部をよく見ないから、こんなごじゃっぺな診断になっちゃうんだよね。
2019.2.26 カテゴリー|医療に関する迷信
民放の健康番組は嘘ばっかりなのでほとんど見ませんが、昨日リビングのソファーでスマホをいじりながら、何となくテレビをかけていたら、これまた嘘ばかりの健康番組をやっていてました。
「名医のTHE太鼓判」https://www.tbs.co.jp/the-taikoban/archive/
番組に出ていた客員教授という先生が、「足の冷えはおしりのコリからきている」といっていました。
「おしりにある梨状筋が凝るとその隣にある坐骨神経が圧迫されて下肢の血流が悪くなり足が冷える」というのです。
つっこみ① 筋肉が凝ったくらいで神経が圧迫されることはないよ!筋肉がどんなに凝っても骨や靱帯みたいに固くなることはないから神経を圧迫することはありえません。本当に神経が圧迫されているなら、手根管症候群のように知覚障害や運動麻痺がおこるはずです。
つっこみ② 坐骨神経が圧迫されると下肢の血流が悪くなるという生理現象は存在しません。神経には2種類あります。脳の命令を筋肉に伝えたり痛みなどの情報を脳に伝える体性神経と、内臓や血管の働きを自動調節している自律神経です。坐骨神経は体性神経です。自律神経じゃないのでいくら圧迫されても足の血流障害をおこすことはありません。
番組でも、坐骨神経が圧迫されると下肢の血流が悪くなる理由については全く説明してませんでした。
それで、足の冷えを治すための治療として梨状筋をソフトボールでマッサージすることを勧めていました。
「あれれれ、それってトリガーポイントマッサージじゃないの?」
梨状筋じゃなくて小殿筋にトリガーポイントが出来ると下肢がしびれます。(なせそうなるかはわかっていません。)おしりをマッサージしたら小殿筋のトリガーポイントが良くなって、足のしびれが改善して冷えが良くなったように感じるのでしょう。
それにしても「足の冷えはおしりのコリからきている」は言い過ぎだよね。
足の冷えは、タバコによる動脈硬化や、糖尿病による末梢循環障害、運動不足による筋力低下、自律神経失調などいろんな理由でおこるのに、全部おしりのコリのせいにしちゃダメでしょ。
「足に冷えはおしりのコリが原因の場合があるかもしれない」くらいが医学的に正確な表現でしょう。
民放の健康番組は全部こんな感じです。嘘ばかりで馬鹿らしくて見てられません。
2019.2.21 カテゴリー|その他の治療について
昨日、ライオンズクラブの例会で急遽インフルエンザの予防法について聞かれて、そのときにアドリブで話した内容を書きたいと思います。
インフルエンザの予防と言えばワクチンです。でも今年はあまり効いてないようです。
ワクチンはその年にはやるであろうインフルエンザウイルスのタイプを予測して作られますが、今年はワクチンを打った人も軒並みインフルエンザにかかっているのでおそらく予測が外れたのだろうと思います。
ちなみに、私はインフルエンザにかかったことが一度もありません。
娘たちの誰かがインフルエンザにかかっても、家庭内で感染が広がることもありません。
それはインフルエンザを予防するコツを知っているからです。
インフルエンザは空気中に漂っているウイルスを吸い込むことによって感染すると思っている人が多いと思いますが、そんなことはありません。
ほとんどは接触感染でうつります。
インフルエンザ患者さんが咳をしたりくしゃみをしたりして飛び散った唾や鼻水がテーブルや椅子などにくっつきます。
その唾や鼻水にはインフルエンザウイルスがくっついているので、それを触ることで指先にインフルエンザウイルスがくっつきます。
その指で目や鼻の穴や口の中の粘膜を触るとそこからウイルスが侵入してインフルエンザウイルスに感染してしまいます。
なので感染予防には、目や鼻や口などの粘膜をなるべく触らないことが一番大事です。
指先についているウイルスは水やお湯で手洗いすればすぐに落ちます。薬用石ケンや消毒薬を使う必要はありません。
マスク自体にインフルエンザウイルスの侵入を防御する効果はありません。
しかし、マスクをすることで不用意に口や鼻を触ることが減るのでそういう意味では予防効果があるでしょう。
喉が乾燥すると免疫力が落ちてウイルス感染をおこしやすくなるので、部屋の中を加湿することが大切です。マスクをしていると吸気が加湿されるので、パーソナルな加湿器としての効果はあると思います。
家庭内での感染を予防するには、タオルやコップなど唾や鼻水がつくものを共用しないことが重要です。
うがいはほとんど効果がありません。粘膜についたウイルスは数秒で粘膜内に入ってしまうからです。5秒に1回くらいうがいをするなら効果あるかもしれませんが(笑)。
ここで、「テレビで緑茶や紅茶を飲むとインフルエンザの予防が出来ると言っていたが本当か?」という質問を受けました。
お茶に含まれるカテキンやビタミンCがインフルエンザを予防するということなのでしょうが、そんなに効果があるなら予防薬として健康保険が使える製剤になっているはずです。なのでそれは嘘です。
そもそも、テレビでやっている医療情報の9割は嘘です。あてになるのはNHKの「今日の健康」と「ドクターG」くらいです。
特に民放の健康番組でやっている内容はほとんど嘘です。だいたいテレビに出ている医者は暇だからテレビに出てられるのであって、まともな医者じゃありません。テレビ局の要望通りのコメントをいうタレント医者なので信じちゃいけません。
アドリブにしてはなかなかうまくしゃべれました。
2018.12.19 カテゴリー|トリガーポイント注射
60代の女性
5月にゴルフの練習をしてから左殿部が痛くなりました。
近所の整形外科を受診してMRIを撮り「軽い椎間板ヘルニア」といわれてブロック注射を受けましたが良くなりませんでした。
そのあと某総合病院を受診して、またMRIを撮り「軽い椎間板ヘルニアだけど手術するほどじゃない」といわれトラムセットとリリカが処方されました。
それでも良くならないので、インターネットで調べて名古屋の病院でPLDD(椎間板ヘルニアのレーザー治療)を受けました。
「最新医療だから保険がきかないので1回45万円かかる。」と言われ、PLDDを2回受け90万円払いましたが、良くなりませんでした。
その後で当院を受診しました。
下図の位置にトリガーポイントを認めました。
「ヘルニアは痛みと関係ないよ。ゴルフの練習中におしりの筋肉を痛めただけだよ。トリガーポイント注射を続ければ良くなるよ」
「PLDDに保険がきかないのは、最新医療だからじゃないよ。効果がないからだよ。だって、PLDDは実際は20年以上前からやられているんだから、効果が認められればとっくに保険適応になってるはずだよ。だまされちゃったね。」
と説明しました。
週2回ほどトリガーポイント注射に通ってもらって、1ヶ月後には薬も必要なくなり、ゴルフのラウンドも出来るようになりました。
椎間板ヘルニアとは椎間板の中にある髄核が椎間板の外にはみ出して神経を圧迫する病気です。
PLDDはヘルニアになっている椎間板に、太い針を刺して針先からレーザーを出してなかの髄核を灼いて消失させてはみ出したヘルニアをへっこませるという手術です。
でも考えても見てください。あんパンをつぶして、あんこがはみ出たとき。アンパンの中に残っているあんこを取り除いてもはみ出たあんこは元に戻りませんよね。ヘルニアだって同じですよ。
だからPLDDなんて効くわけないんです。中にはPLDDで治った人もいるでしょう。それはヘルニアが引っ込んだからではなく「こんなに高い金を払ったんだから良くなるはずだ」という思い込みで痛みが良くなったのです。99.9%プラセボ効果です。
そもそも椎間板ヘルニアは痛みと無関係だからね。PLDDなんて効くわけないのよ。
椎間板ヘルニアは腰痛の原因ではない
https://nishibori-seikei.com/blog/2016/10/post-638.html