2013.9.05 カテゴリー|トリガーポイント注射
40代男性
20年前から腰痛があり、7月にぎっくり腰になりました。
某整形外科でMRIを撮り、椎間板が変性していると言われました。
7月末ごろから両足のしびれと右下肢の脱力感が出現しました。
しびれと灼熱感のため夜も眠れなくなりました。
某大学病院の整形外科と神経内科と脳外科で精密検査を受けましたが、痺れと脱力感の原因はわかりませんでした。
ネットで調べて、MPSについて知り、MPS治療の第一人者である加茂整形外科の加茂淳先生にメールで相談したところ、当院を受診するように勧められました。
先日、当院を受診しました。
触診したところ、右腸腰筋と両ヒラメ筋にトリガーポイントを見つけました。
1回の注射で、しびれや灼熱感はほとんど消え、夜も眠れるようになりました。
右下肢の脱力感もだいぶ改善しました。
しびれや脱力感は、MPSの症状だったのです。
大学病院の偉い先生たちは、たくさん勉強や研究をしているのにMPSについては全然知らないようです。
関連ブログ
筋筋膜性疼痛症候群(MPS)とは
https://nishibori-seikei.com/blog/2013/05/mps.html
加茂整形外科
http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/
2013.9.03 カテゴリー|トリガーポイント注射
80代の男性
2年前から右首から背中、肩、腕、手にかけての痛みと、指先の痺れが出現しました。
あちこちの病院を受診して、頸椎のMRI検査などを受けましたが、原因がわからず、ひどい時だけトラムセットを飲んでしのいでいましたが、夜も眠れないほどの痛みが続いていました。
知人の紹介で当院を受診しました。
下図のごとく、僧帽筋、棘下筋、橈側手根伸筋、母指CM関節に圧痛を身と見ました。圧痛点にトリガーポイント注射をしたら、1回で痛みが軽減し、夜もよく眠れるようになりました。
僧帽筋のトリガーポイントはいわいる肩こりです。
棘下筋のトリガーポイントはいわいる五十肩です。
橈側手根伸筋のトリガーポイントはいわいるテニス肘です。
この方はそのほかに、母指CM関節症と手根管症候群も合併していました。
原因不明の痛みじゃなく、いろんな病気が合併したための痛みだったのです。
首から腕にかけての痛みやしびれ=頸椎の異常と決めてかかって、思考停止してしまうから痛みの原因がわからなくなってしまうのです。
2013.9.02 カテゴリー|医療に関する迷信
痛みにはプラセボ効果が効きやすいと言われています。
プラセボ効果とは、まったく有効成分が入っていないニセの薬(プラセボ)を「痛みによく効く薬です。」と説明して、飲ませると本当に痛みがとれてしまうことを言います。
「この薬はよく効く」という思い込みによって、痛みそのものが楽になってしまうのです。
痛みとは、心理的状況で強くも弱くもなります。
例えば、サッカーのゴン中山選手は、試合中に骨折していたのに、試合が終わるまで痛みに気が付きませんでした。
試合にものすごく集中していたので、痛みを感じなかったのです。
逆に、たいしたことない痛みでも、一日中痛みのことばかり考えていたら、どんどん痛みが悪化していきます。
「この薬を飲めばよくなる」という安心感が、心理的状況を改善し痛みを楽にするのです。
前回のブログに書いたような「痛み止めは、痛みを抑えるだけで、痛みの原因がなくなるわけではありません」なんてことを言って、痛み止めを出したら、プラセボ効果が効かなくなってしまいます。なので、そういう意味でもこのような説明はダメです。
プラセボ効果は、飲み薬だけじゃなく、注射や手術でも発揮されます。
腰痛の患者さんに対し手術をしたふりだけして、実際は皮膚を切開して縫っただけでも、7割の人の腰痛が楽になったという米国の報告もあります。
「この先生はテレビにも出ている有名な先生だから、手術してもらえばきっと良くなる」と信じていれば、たとえ手術自体が意味のないものであっても痛みは楽になるのです。
当院にくる患者さんでも、知人から「にしぼり整形外科で注射してもらえばすぐに良くなる」と聞かされて来院した患者さんは、他の患者さんに比べて、注射が効く確率が明らかに高いです。
これもプラセボ効果です。
「この先生に治療してもらえばよくなる」と信じることで、治療の効果は格段にアップします。
まさに「信じる者は救われる」なのです。
関連ブログ
プラセボ効果とは
https://nishibori-seikei.com/blog/2013/06/post-279.html
痛み止めは痛みを抑えるだけじゃないからね
2013.8.30 カテゴリー|医療に関する迷信
「痛み止めは、痛みを抑えるだけで、痛みの原因がなくなるわけではありません」
と説明して、痛み止めを処方する整形外科医が未だにいるようです。
痛みの生理学について、何も勉強してないこと丸出しです。
患者さんの痛みをとることが、整形外科の仕事なのに・・・・・
痛みには痛みの悪循環という現象があります。
強い痛みを我慢していると、自律神経が狂い、患部の血流が悪くなり、痛みがますますひどくなる。
痛みがストレスになり、ストレスが自律神経を狂わせ、患部の血流が悪くなり、痛みがますますひどくなる。
痛みの悪循環に陥ると、痛みの原因そのもの(打撲や捻挫や骨折など)が治っても痛みが続きます。
痛み止めを飲むことで、痛みの悪循環が止まり、痛みそのものが治ります。(重度の慢性疼痛の場合は、それだけでは治らないこともありますが・・・)
実際の臨床でも、痛み止めを飲んだだけで痛みが消えてしまい、その後痛み止めを飲まなくても痛みが再発しない患者さんはたくさんいます。
痛み止めは、単に痛みを抑えているだけではなく、痛みそのものを治すのです。
関連ブログ
痛みの悪循環
https://nishibori-seikei.com/blog/2012/12/post-149.html
2013.8.29 カテゴリー|その他の治療について
6歳の女の子
ヒップホップダンスを習っていて、しゃがんだ状態から体をひねって立ち上がる時に、左膝がぽきっとなって痛みが出ました。
それ以来、ダンスで同じ動作をすると痛みが出るということで、某総合病院の整形外科を受診。
そこで円盤状半月板と診断され、手術を勧められました。
両親が手術をうけさせたほうがいいかどうか不安になり、当院を受診しました。
私の診断は、膝窩筋の筋筋膜性疼痛症候群でした。
そして、こう説明しました。
「円盤状半月板が痛みの原因ではないので、手術は必要ないと思います。ダンスの時だけ痛みがあり、日常生活では痛くないのであれば、ダンスを休ませれば治ると思います。」
そしてこう続けました。
「もし、自分の娘だったら、手術など受けずに、ダンスを止めさせます。」
しかし両親は、
「本人がダンスをやりたがっているから。」と言って、手術を選択しました。
手術を受けましたが、痛みがとれず。結局ダンスはやめたようです。
私には6歳の子供が、本当に自分に意志でダンスを続けたがっていたとは、到底思えません。
本当はダンスを止めたいのに、親の顔色を見て、親を落胆させないため「続けたい」といっていたのだと思います。
だからダンスの時だけしか痛みが出なかったのでしょう。
あの時ダンスを止めさせていれば、トリガーポイント注射も何もしなくても、自然と治った可能性が高いと思います。