2013.5.31 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
78歳の女性
5月上旬に重いものを持ってから腰が痛くなりました。動けないほどの激痛です。
最初は鍼灸院に通いましたが、痛みがとれませんでした。
2週間後に某総合病院の整形外科を受診しました。そこで、 レントゲンを撮り「腰椎すべり症」と診断され、痛み止めのお薬を処方されました。
しかし、それでも痛みがとれないため、その3日後に当院を受診しました。
レントゲン上、第3腰椎圧迫骨折を認めました。(腰椎すべり症も認めますが、これは痛みとは無関係です。)
骨粗しょう症治療薬テリボン皮下注射と、骨折部周辺の筋肉に対するトリガーポイント注射を開始しました。
1週間後には、杖をついて歩ける程度に回復しました。
若い人が重いものを持って、急に腰が痛くなった場合は「ぎっくり腰」です。ぎっくり腰は、腰や臀部の筋肉の痙攣なので、鍼灸やマッサージなどの筋肉に対する治療でも良くなります。(トリガーポイント注射のほうが効きますが、)
しかし、高齢の女性が急に腰が痛くなった場合は「圧迫骨折」です。筋肉に対する治療だけでは良くなりません。
安静と骨粗しょう症に対する治療が必要です。
2年前に発売された骨粗しょう症治療薬テリボン皮下注射は圧迫骨折の痛みに対して劇的に効きます。
高齢の女性が急に腰を痛めた場合は、鍼灸院やマッサージ、接骨院に行かず、すぐに整形外科を受診してレントゲンを撮ってもらいましょう。
関連ブログ
ぎっくり腰の治療
https://nishibori-seikei.com/blog/2012/12/post-145.html
圧迫骨折による腰痛に対するテリボンの効果
2013.5.29 カテゴリー|医療に関する迷信
40代後半の男性
3日月くらい前から膝を伸ばすときにボキボキ鳴って痛みが出るようになり、当院を受診しました。
お話をよく聞くと、毎日10㎞くらいのウォーキングをしているそうです。
その時点で、「そりゃ、ウォーキングのやりすぎでしょ。」と思いましたが、本人の希望もあり念のためレントゲンを撮りました。
レントゲンでは異常ありませんでした。触診で、内側広筋に数カ所のトリガーポイントを認めました。
思った通り、ウォーキングのやりすぎによる筋筋膜性疼痛症候群(MPS)でした。
「ウォーキングのやりすぎで、筋肉が硬くなっているため、関節がスムーズに動かなくなりボキボキ鳴るのです。早く治すなら、トリガーポイント注射が有効ですが。ウォーキングを1か月くらい休めば、それだけでよくなる可能性もあります。」
と説明しました。
「じゃあ、しばらくウォーキングを休みます。」
と返事をして、お帰りになりました。
でもどうでしょう。本当にウォーキングを休むとは思えません。
毎日10㎞歩いているということは、毎日3時間近くウォーキングのために時間を費やしているということです。もう完全に「ウォーキングしないと死んじゃう病」です。
ウォーキングは体にいい!
ウォーキングさえしていれば健康でいられる!
ウォーキングしないと病気になる!
ウォーキングしないと歩けなくなる!
と思い込んでいるはずです。
でも残念ですが、ウォーキングには痛みを我慢してまでやるほどの効果はありません。
関連ブログ
ウォーキングをしないと死んじゃう病
https://nishibori-seikei.com/blog/2013/01/post-172.html
筋筋膜性疼痛症候群とは
2013.5.28 カテゴリー|トリガーポイント注射
40代の女性
5月3日ごろより右膝後面の痛みが出現しました。
5月5日に普通に歩いていたら、膝の裏がブチッとなり、痛くて歩けなくなりました。
すぐに某整形外科を受診し、レントゲンには異常がなく、「後十字靭帯損傷」と診断されました。
松葉づえ歩行を2週間行い、歩けるようにはなりましたが、痛みと違和感が残っているため、当院を受診しました。
経過を聞いて、後十字靭帯損傷ではなく、膝窩筋の筋筋膜性疼痛症候群(MPS)だろうと診断しました。
触診をしてみると、予想通り膝窩筋に圧痛を認めました。
「膝の裏側にある膝窩筋という筋肉の肉ばなれみたいなものですよ。」と説明してトリガーポイント注射を行いました。
注射1回で痛みは消えました。
肉ばなれもMPSの一種です。
筋筋膜性疼痛症候群(MPS)とは?
https://nishibori-seikei.com/blog/2013/05/mps.html
後十字靭帯は1㎝位の太さがある丈夫な靭帯です。スキーのジャンプで転んだとか、車に跳ねられたなどの、かなり大きな衝撃が加わらないと切れません。歩いているだけで切れるわけありません。
2013.5.28 カテゴリー|トリガーポイント注射
40代の男性
1年前に、急に右股関節周囲に強い痛みが出現しました。某整形外科医院を受診し、レントゲンを撮ってもらいましたが異常はありませんでした。
「骨に異常がないから原因はわからない」と言われ、痛み止めの薬を貰いました。
薬を数週間飲んだら痛みがなくなりました。
数日前に、同じ場所が夜中に急に痛くなり、歩くことも困難になったため、当院を受診しました。
お話をよく聞くと、痛くなる前の日に重いものを持って運ぶ作業をしたそうです。
触診をすると、下図のように小殿筋と中臀筋にトリガーポイントを認めました。
「筋肉の痙攣が原因の痛み」であることを説明して、トリガーポイント注射を打ったら、次の日には普通に歩けるまでに回復しました。
この方の痛みの原因は筋筋膜性疼痛症候群(MPS)だったのです。
筋筋膜性疼痛症候群(MPS)とは?
https://nishibori-seikei.com/blog/2013/05/mps.html
整形外科を含む、ほとんどの医師はMPSという病気があることを知りません。
筋肉が原因で痛みやしびれが起こるということを知りません。
痛みやしびれは、骨や軟骨の変形などの構造異常が原因で起こると思っています。
だから、レントゲンやMRIで異常がないと「原因不明の痛み」になってしまうのです。
2013.5.27 カテゴリー|トリガーポイント注射
筋筋膜性疼痛症候群(きんきんまくせい とうつうしょうこうぐん、Myofascial Pain Syndrome:MPS)は、筋肉が原因となって痛みやしびれを引き起こす病気です。 日本では筋痛症とも呼ばれることもあります。
この病気は1980年代にアメリカで『Travell & Simons’ Myofascial Pain and Dysfunction: The Trigger Point Manual (筋筋膜性疼痛と機能障害: トリガーポイントマニュアル)』(Janet G. Travell 医師とDavid G.Simons医師の共著)という医学書にて発表されました。
通常、我々が急激に重い物を持ったり、無理な姿勢等により繰り返し筋肉に負荷をかけると筋肉に微小損傷が発生します。いわゆる筋肉痛の状態です。通常、この痛みは数日程度で自己回復をします。しかし、さらに、繰り返し筋肉に負荷を与えたり、寒冷にさらされたりりて血行の悪い状態を作ると、その部分が痙攣(けいれん)状態になり短期間で自己回復できなくなります。この状態が筋筋膜性疼痛症候群(MPS)になった状態です。
筋筋膜性疼痛症候群(MPS)では一般的な筋肉痛とは異なり、痛みやしびれの強さが相当激しいものになり、更に痛みやしびれの範囲が広範囲に発生します。
筋筋膜性疼痛症候群(MPS)では、筋肉に圧痛を伴うしこりを認めます。このしこりをトリガーポイントと言います。
トリガーポイントは、痛みやしびれがある位置と一致しないことが多いです。例えば、下肢の外側にしびれと痛みがある場合は、臀部の外側にある小臀筋にトリガーポイントがあります。
肩こり・腰痛・五十肩・テニス肘・坐骨神経痛・膝痛・手足のしびれ・顎関節症・頭痛・めまいなど、様々な病気がこのMPSが原因で起こります。
さらに詳しく知りたい方はMPS研究会のHPをご参照ください。