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ウォーキングをしないと死んじゃう病 その2

2013.5.29 カテゴリー|医療に関する迷信

40代後半の男性

 

3日月くらい前から膝を伸ばすときにボキボキ鳴って痛みが出るようになり、当院を受診しました。

 

お話をよく聞くと、毎日10㎞くらいのウォーキングをしているそうです。

 

その時点で、「そりゃ、ウォーキングのやりすぎでしょ。」と思いましたが、本人の希望もあり念のためレントゲンを撮りました。

 

レントゲンでは異常ありませんでした。触診で、内側広筋に数カ所のトリガーポイントを認めました。

 

思った通り、ウォーキングのやりすぎによる筋筋膜性疼痛症候群(MPS)でした。

 

「ウォーキングのやりすぎで、筋肉が硬くなっているため、関節がスムーズに動かなくなりボキボキ鳴るのです。早く治すなら、トリガーポイント注射が有効ですが。ウォーキングを1か月くらい休めば、それだけでよくなる可能性もあります。」

と説明しました。

 

「じゃあ、しばらくウォーキングを休みます。」

と返事をして、お帰りになりました。

 

でもどうでしょう。本当にウォーキングを休むとは思えません。

毎日10㎞歩いているということは、毎日3時間近くウォーキングのために時間を費やしているということです。もう完全に「ウォーキングしないと死んじゃう病」です。

 

ウォーキングは体にいい!

ウォーキングさえしていれば健康でいられる!

ウォーキングしないと病気になる!

ウォーキングしないと歩けなくなる!

 

と思い込んでいるはずです。

 

でも残念ですが、ウォーキングには痛みを我慢してまでやるほどの効果はありません

 

関連ブログ

ウォーキングをしないと死んじゃう病

https://nishibori-seikei.com/blog/2013/01/post-172.html

筋筋膜性疼痛症候群とは

https://nishibori-seikei.com/blog/2013/05/mps.html

がん治療で殺されない七つの秘訣

2013.5.27 カテゴリー|その他の治療について

慶応大学病院放射線科教授 近藤誠先生の著書

「がん治療で殺されない七つの秘訣」を読みました。

http://www.amazon.co.jp/dp/4166609130

 

 要約すると、以下のような内容です。

 

 現在がんの標準治療として行われている外科手術や抗がん剤治療には、延命効果がなくむしろその侵襲と毒性のために死を早めてしまう。

 がんは症状がなければ治療をせず、症状が出たら症状に合わせて放射線療法や鎮痛剤の投与を受けたほうが、長生きできる。

 どうせ、症状がなければ治療をしないのだから、無症状の人ががん検診を受けてがんを見つけるのは無意味。

 

 僕はがん治療に関しては専門外なので、近藤先生の理論が正しいかどうかわかりません。

 だから、患者さんにがん治療は受けないほうがいいとか、がん検診は受けないほうがいいと勧めることはけっしてありません。

 でも僕自信は近藤先生の理論を信じることにしました。

 

 がんは老化現象のひとつです。もしがんになったら、それ受け入れてがんと共生する方法を選びたいと思います。

 

 まあでも、うちの家系はみんな長命だし、タバコも吸ってないし、糖質制限もしてるし、加圧トレーニングもしているから100歳くらいまでは余裕で元気で生きられる気がしてるんだけどね。

最初は開業医にかかったほうがいいですよ

2013.5.16 カテゴリー|その他の治療について

50代男性

 

3か月前から歩くと右足首の内側に痛みが出るようになりました。

 

2か月前に某総合病院の整形外科を受診しました。レントゲンを撮ってもらった結果

「骨には異常ないので、痛み止めで様子をみてください。」

と言われました。

 

痛み止めを飲んでも治らないため、先日、当院を受診しました。

内くるぶしの少し下に圧痛と腫脹を認めました。

腱鞘炎と診断し、圧痛部にステロイド注射をしたらすぐに良くなりました。

 


大病院ではほとんどの場合、初めて受診した患者さん(新患)は、若手の医師(研修医など)が担当しています。

なぜなら、部長クラスのベテラン医師はすでに大勢の患者さんを担当しているため、新患に手が回らないからです。

患者さんの病状を診断するうえで最も重要なものが経験です。

若手の医師には経験が不足しています。それを補うためレントゲンなどの画像所見に頼ります。

それで、画像所見に異常がないと診断がつけられないので

「痛み止めで様子をみてください」となります。

 

私を含めて、ほとんどの開業医は、大きな病院の部長や副部長を歴任したベテラン医師です。

診断技術においては、大病院の若手医師より優れています。

また、経験上、自分の限界がわかっているので、手に余ればしかるべき医療機関に紹介してくれます。

 

救急車を呼ぶほどの急病でなければ、最初は開業医にかかったほうがいいですよ

坐骨神経痛は病名じゃないよ!

2013.4.25 カテゴリー|トリガーポイント注射

 坐骨神経痛を病名だと思っている患者さんがたくさんいますが、坐骨神経痛は病名じゃありません。

 

 坐骨神経痛とは、坐骨神経があるあたりの臀部から脚にかけての痛みの総称です。つまり、頭痛や腹痛などと同じ、症状名です。

 

 坐骨神経痛はほとんどの場合、臀部の筋肉に出来たトリガーポイントが原因で起きます。

 zakotu.jpg

 おしりの外側にある小臀筋にトリガーポイントができると、(上の図の赤丸)

 臀部からふくらはぎの外側にかけて痛みとしびれが出ます。(上の図のピンクの部分)

 

 おしりのふくらみの真ん中の上のほうにある中臀筋にトリガーポイントができると、(上の図の青丸)

 臀部から太ももの後ろ側にかけて痛みとしびれが出ます。(上の図の水色の部分)

 

 どちらの場合も、トリガーポイント注射が有効です。

「五十肩はほっとけば治る」とか言ってる奴を訴えたい!

2013.4.19 カテゴリー|医療に関する迷信

以前に『「五十肩はほっとけば治る」は迷信』という記事を書きました。

https://nishibori-seikei.com/blog/2012/11/post-129.html

 

ほっといても自然に五十肩が治る人がいることも確かです。しかし、ほっといたことによって悪化してしまう人がいることも事実です。

 

先日来院した40代の女性も、痛くなってすぐに治療を開始すれば、数回の治療で治った可能性が高いのに、4ヶ月くらいほっといたために悪化し、肩の周りの筋肉がカチカチに固まった状態でした。

 

こうなってしまうと治療が大変です。しばらく、注射と可動域訓練で治療をしてみますが、もしそれで良くならなければ手術をして関節の動きをよくしなければいけないかもしれません。

 

医師でもないのに、不適当なアドバイスをして、患者さんの具合が悪くなったら、それはもう立派な傷害罪です。先ほどの患者さんにも冗談交じりに、

 

「間違ったよけいなアドバイスをした人を、傷害罪で訴えてください。」

 

といったら、

 

「大勢いすぎて、訴えられません。」

 

と答えられてしまいました・・・・・・・・・・・・・・・

 

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