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湿布は気休めじゃないよ!

2013.6.27 カテゴリー|医療に関する迷信

40代の女性

 

追突事故に遭い、後頸部に重いような痛みが出現し、某総合病院を受診しました。

レントゲン上異常なく、「頸椎捻挫いわゆるムチウチ」と診断されました。

担当医に、湿布が欲しいと要望したら、

 

「湿布じゃ痛みはとれないよ!スースーするだけで、気休めにしかならない!」

と説明され、出してもらえなかったそうです。

 

湿布じゃ痛みがとれないって、あんた。

自分で使ったことないのかしら?

というか、「痛みとは何か?」について、何もわかってないようです。

整形外科医としてマジで恥ずかしいよ。

 

追突による後頸部の痛みの原因は、事故の衝撃で、首の周りの筋肉が損傷されるからです。

わかりやすく言えば、「筋肉痛」です。

難しく言うと、「急性外傷性筋筋膜性疼痛症候群」です。

筋肉痛なので、ほとんどの場合2~3日後に痛みが悪化して、そのあと1週間くらいで自然と治ります。

 

現在処方されているシップには、痛み止め(NSAID)が配合されています。

この痛み止めが皮膚から筋肉に移行して、筋肉の痛みを改善します。

また、湿布にはスース―する成分(メントールなど)やビリビリする成分(カプサイシン)なども配合されています。

これらの成分には筋肉の血流を改善させる効果があり、やはり筋肉の痛みを改善します。

 

もし、これらの成分が全く効果が無いモノだったとして、湿布が気休めにしかならないモノだったとしても、それでも湿布には痛みをとる効果があります。

なぜなら、湿布にもプラセボ効果があるからです。

 

湿布を貼ったから、これで痛みがよくなるはずだ。」という安心感が、痛みを改善させます。

 

私も、肩こりや腰痛がある時はすぐに湿布を貼ります。

貼れば大抵すぐに痛みが楽になります。

それでも治らない時はトリガーポイント注射を打ってもらえば、治ります。

 

関連ブログ

筋筋膜性疼痛症候群(MPS)とは?

https://nishibori-seikei.com/blog/2013/05/mps.html

プラセボ効果とは?

https://nishibori-seikei.com/blog/2013/06/post-279.html

プラセボ効果とは?

2013.6.27 カテゴリー|医療に関する迷信

 プラセボ(偽薬)とは、有効成分が全く入っていない乳糖や澱粉で作られた薬理作用のない偽のお薬です。

 

 このプラセボを、「これは痛みによく効くよ」と言って、患者さんに飲ませると3~7割の人の痛みが楽になります。

 

 痛みはストレスや不安などの心理的な影響を受け易いので、たとえ薬理学的に効果がない薬であっても、飲む側が「これでよくなる」という安心感を持つことにより、痛みが緩和されるのです。これがプラセボ効果です。

 

 コンドロイチン酸やグルコサミンやヒアルロン酸などの薬理作用がほとんどないサプリメントや医学的にはインチキとしかいえないような健康機具で痛みが楽になる人がいるのも、このプラセボ効果です。

 

 数年前に米国でプラセボについて面白い研究報告があったので紹介します。

 

 被検者82人を無作為に分けて、同じプラセボを飲ませました。

 片方のグループには「この薬は最近開発されたばかりで1錠2万5千円します。」と説明して飲ませました。

 もう一方のグループには「最近値下げされた10円の薬です。」と説明して飲ませました。

 

 その結果、高い薬だと説明されたグループでは85%で鎮痛効果が認められたのに、安い薬だと説明されたグループでは61%しか効果がありませんでした。

 

 「高価な薬の方が効く」という思い込みによる暗示で薬のプラセボ効果がアップしたのです。

 

 このことから考えると、サプリメントや健康機具も高価なほどプラセボ効果があがりよく効くことになります。

 たとえ医学的に根拠のない治療でもプラセボ効果で患者さんが楽になるなら、それはそれで良いと思いますが、「健康になりたい」という弱みに付け込んで、原価の何十倍もの法外な値段でサプリメントや健康機具を売りつけるのは倫理的にかなり問題があると思います。

 また、サプリメントの中には有害物質を含んでいるものや、摂り過ぎによりかえって健康被害を起こすものもありますので注意が必要です。

ウォーキングには転倒予防効果はあまりない

2013.6.24 カテゴリー|医療に関する迷信

足腰が弱ると、転倒しやすくなります。

転倒して、腰や股関節を骨折してしまい寝たきりになってしまう高齢者がたくさんいます。

 

転倒しないため、足腰を鍛えるために、ウォーキングをしてる方がたくさんいると思いますが、残念ながらウォーキングには転倒を予防する効果はあまりありません。

 

筋肉には、速筋遅筋の2種類の筋肉があります。

速筋は素早い動きをするための筋肉です。

遅筋はゆっくりとした動きをするための筋肉です。

 

何かに躓いてふらついたときは、素早く体を動かしてバランスを取らなければ、転んでしまいます。

その時、使われる筋肉は速筋です。

 

ウォーキングで鍛えられるのは遅筋だけです。

ウォーキングのような軽い負荷の運動を何時間やろうとも速筋を鍛えることは出来ません。

なので、ウォーキングには転倒予防効果があまりないのです。

 

速筋を鍛えるには、筋肉トレーニングが必要です。

 

当院で行っている加圧トレーニングなら、週1回15分程度の運動で、足腰の速筋を強化することが可能です。

 

関連ブログ

ウォーキングはダイエットにいいは迷信

https://nishibori-seikei.com/blog/2012/11/post-135.html

ウォーキングをしないと死んじゃう病

https://nishibori-seikei.com/blog/2013/01/post-172.html

「ブルーベリーを食べると目がよくなる」は迷信

2013.6.14 カテゴリー|医療に関する迷信

「ブルーベリーには、目にいいビタミンAがたくさん含まれているから、たくさん食べると目がよくなる」と巷では思われているようですが、これは迷信です。

 

確かに、ビタミンAが欠乏すると「夜盲症」といって、夜に目が見えにくくなる病気(いわゆる鳥目)になります。

ビタミンA欠乏性夜盲症の人にビタミンAを投与すると、症状が改善します。

しかし、日本のようなものが豊かな国で普通に食事をしていれば、ビタミンA欠乏症になることはありません。

なので、健康な人がビタミンAをたくさん摂取したからといって、目がよくなることはありません。

 

逆に、ビタミンAを過剰に摂取すると、脱毛皮膚剥奪などの副作用が出ます。

まあでも、ブルーベリージャムやブルベリーヨーグルトを毎日食べたからといって、ビタミンA過剰にはなりません。(糖質の過剰摂取が気になりますが・・・)

問題は目がよくなると思い込んで「ブルーべりー〇イ」のようなサプリメントを大量に摂取してしまうことです。

 

「ブルーベリーを食べると目がよくなる」というのは迷信です。

 

 

 

高齢者こそ肉を食わなきゃダメ

2013.5.31 カテゴリー|糖質制限

 77歳の男性

 

 7年前から両ひざ痛があり、2か月くらい前から当院に2週間に1回くらい通院している方です。

 

 先日来院した時に、こんなことを言われました。

 

「数日前から体がふらふらして心配だ。実をいうと、娘に『膝の痛いのは太ってきたせいだ。痩せるために肉を食べるのを止めなさい』と言われ、1週間前から肉を食べていない。自分は元々は養豚業をやっていて、肉が大好きで、1日三食とも肉を食べていた。男の一人暮らしであまり料理を作らないし、魚は嫌いだから、肉を食べない分、米ばかり食べていた。」

 

 急に、肉を食べなくなったので、筋力が低下したこと、米ばかり食べていたせいで、ビタミン不足になったことがふらつきの原因と診断しました。

 

「肉を食べると太るというのは迷信です。肉を食べないと筋肉が減ってよけい太りやすくなるし、ビタミンも不足します。今日から元通り肉を食べてください。」

と説明しました。

 

 肉を食べると太るというのは迷信です。太る原因は米や小麦、砂糖などに含まれる炭水化物です。痩せるためには肉ではなく米を止めるべきでした。

 

  肉に多く含まれるたんぱく質は、骨や筋肉を作るために必要な栄養素です。高齢者は何もしなくても、筋肉量も骨量も減っていきます。肉を食べないと、それが加速してしまいます。

 

 高齢者こそ肉を食べなければいけません!

 

 

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